グッド・シェパード
The Good Shepherd
(アメリカ 2006)
[製作総指揮] クリス・ブリガム/フランシス・フォード・コッポラ/ハワード・カプラン/ガイ・マケルウェイン/デヴィッド・ロビンソン
[製作] ロバート・デ・ニーロ/ジェームズ・G・ロビンソン/ジェーン・ローゼンタール/アンディ・フレイザー/ロレイン・レイエス
[監督] ロバート・デ・ニーロ
[脚本] エリック・ロス
[撮影] ロバート・リチャードソン
[音楽] ブルース・ファウラー
[ジャンル] ドラマ/歴史/スリラー
キャスト
マット・デイモン
(エドワード・ウィルソン)
アンジェリーナ・ジョリー
(マーガレット・「クローバー」・ラッセル)
アレック・ボールドウィン
(サム・ムラッハ)
タミー・ブランチャード (ローラ)
ビリー・クラダップ
(アーチ・カミングス)
ロバート・デ・ニーロ
(ビル・サリバン)
キール・デュリア (ジョン・ラッセル・シニア上院議員)
マイケル・ガンボン
(フレデリックス博士)
マルティナ・ゲデック (ハンナ・シラー)
ウィリアム・ハート
(フィリップ・アレン)
ティモシー・ハットン
(トーマス・ウィルソン)
マーク・イヴァニール (バレンティン・ミロノフ#2)
ガブリエル・パワー (ジョン・ラッセル・ジュニア)
リー・ペイス (リチャード・ヘイズ)
ジョー・ペシ
(ジョゼフ・パルミ)
エディ・レッドメイン
(エドワード・ウィルソン・ジュニア)
ジョン・セッションズ (ヴァレンティン・ミロノフ#1 /ユーリ・モディン)
オレグ・ステファン (ユリシーズ/スタス・シヤンコ)
ジョン・タトゥーロ
(レイ・ブロッコ)
オースティン・ウィリアムズ (若きエドワード・ウィルソン)
ソフィー・サットン (コニー・ウィルソン)
ラース・ゲルハルト (ハウプト氏)
ピーター・キバート (マンハイム博士)
ライラ・ロビンズ (トディ・アレン)
概要
『グッド・シェパード』(The Good Shepherd)は、CIAの創設と冷戦時代を背景に、諜報活動に従事する一人の男の葛藤を描いたスパイサスペンス映画。
監督はロバート・デ・ニーロ、主演はマット・デイモン、共演にアンジェリーナ・ジョリー、ウィリアム・ハート、ジョー・ペシなど豪華キャストが揃う。
CIA創設者の実話をベースにしたフィクションで、冷徹なスパイの世界をリアルに描きつつ、主人公の家族との関係や人間的な弱さにも焦点を当てている。
ストーリー
イェール大学の秘密結社「スカル・アンド・ボーンズ」に所属するエドワード・ウィルソン(マット・デイモン)は、その知性と冷静な性格を買われ、第二次世界大戦中にOSS(戦略事務局)にスカウトされる。戦後、新たに設立されたCIAのメンバーとなり、次第に諜報活動の中核を担う存在となる。
エドワードは任務を遂行する中で、祖国への忠誠と家族への愛の間で揺れ動く。妻マーガレット(アンジェリーナ・ジョリー)との結婚生活は次第に冷え切り、息子との関係にも溝が生まれる。エドワードが進む道は、国家のためにすべてを犠牲にする孤独な道であった。
冷戦下、CIAはソ連との情報戦を繰り広げ、エドワードはスパイ活動の世界で信頼や裏切りが入り交じる中、危険なゲームを続ける。やがて、ある任務で家族や自身のキャリアに致命的な危機が訪れ、エドワードは人生をかけた選択を迫られる。
国家のために自らを犠牲にするエドワードの姿を通して、愛と忠誠、そして裏切りの深いテーマが描かれる。
エピソード
- 『ブロンクス物語』以来13年ぶりの監督作となり、デ・ニーロはCIAの成り立ちを描く重厚なドラマに挑戦した。
- エドワードの冷徹さと孤独を表現するため、マット・デイモンは表情や身振りを抑え、寡黙ながら緊張感のある演技を追求した。
- アンジェリーナ・ジョリーは家族を優先しない夫に苦しむ妻マーガレットを感情豊かに演じた。彼女は役柄に共感しつつも、家庭内の不安定さをリアルに表現することに集中した。
- 撮影にあたり、元CIA職員が諜報活動のリアルなプロセスや秘密結社の内部事情を監修。映画のディテールに深みを与えた。
- 物語は第二次世界大戦から冷戦時代までをカバーし、20年以上にわたる時間軸を行き来しながら展開される。
- 映画終盤に登場するマフィアの役で、長らくスクリーンを離れていたジョー・ペシが特別出演し、その存在感を示した。
- 物語は実在のCIA創設者アレン・ダレスやジェームズ・アングルトンを参考にしており、事実を元にした架空の物語として描かれる。
- ワシントンD.C.やイェール大学など、歴史的な舞台での撮影が行われ、映画のリアリティを高めている。
- デ・ニーロは演技経験が豊富なだけに、キャストに対して細かい指示を出しながらも、自由な解釈を許す柔軟なアプローチを取った。
- ジェームズ・ホーナーの音楽が、映画全体の緊張感を高め、ドラマの深さを際立たせている。
- 衣装や美術セットは、冷戦期の雰囲気を徹底的に再現し、観客をその時代へ引き込む工夫が施されている。
- エドワードのキャラクターは、国家のために私生活を犠牲にする矛盾を象徴し、スパイの孤独を生々しく描いた。
- 160分以上の長尺は賛否を呼び、観る者に高い集中力を要求するが、その分濃密な体験を提供している。
- スパイ映画でありながら、家族との関係がストーリーの核となっており、父としてのエドワードの葛藤が重層的に描かれる。
コメント