コン・エアー
Con Air
(アメリカ 1997)
[製作総指揮] リン・ビグロウ/ピーター・ボガート/ジョナサン・ヘンスリー/ジム・カウフ/チャド・オーマン
[製作] ケニー・ベイツ/ジェリー・ブラッカイマー
[監督] サイモン・ウエスト
[脚本] スコット・ローゼンバーグ
[撮影] デヴィッド・タターサル
[音楽] マーク・マンシーナ/トレヴァー・ラビン
[ジャンル] アクション/サスペンス
キャスト

ニコラス・ケイジ
(キャメロン・ポー)

ジョン・キューザック
(ヴィンス・ラーキン)

ジョン・マルコヴィッチ
(サイラス・ザ・ヴァイラス)

スティーヴ・ブシェミ
(ガーランド・グリーン)

ヴィング・レイムス
(ダイアモンド・ドッグ)

コルム・ミーニー
(ダンカン・マロイ)

ミケルティ・ウィリアムソン
(ベビー・O)

レイチェル・ティコティン
(サリー・ビショップ)

モニカ・ポッター
(トリシア・ポー)
デヴィッド・シャペル (ピンボール)
M・C・ゲイニー (スワンプ・シング)
ジョン・ローズリウス (デヴァース)
リノリー・サンティアゴ (サリー・キャント・ダンス)

ダニー・トレホ
(ジョニー23)
ジェシー・ブレーゴ (フランシスコ・シンディーノ)
ニック・チンランド (ビリー・ベドラム)
アンジェラ・フェザーストーン (ジニー)
ホセ・ズニーガ (シムズ)
スティーヴ・イースティン (ファルゾン)
ストーリー
元レンジャー部隊の精鋭キャメロン・ポーは、除隊の日に愛する妻を守るため暴漢を殺めてしまい、8年の実刑判決を受ける。獄中で文通を続け、まだ見ぬ娘の成長だけを糧に耐え抜いた彼は、ついに仮釈放を認められる。彼は娘への誕生日プレゼントとしてハミングバードのぬいぐるみを抱え、凶悪犯たちを最新の警備システムを誇る移送専用機「コン・エアー」に乗り込む。
しかし、機内には知能犯サイラスが密かに練り上げたハイジャック計画が潜んでいた。離陸後、囚人たちは一斉に蜂起。警備員を制圧し、機内はたちまち凶悪犯たちの楽園と化す。ポーは混乱に乗じて機外へ逃げるチャンスを得るが、糖尿病の発作で死にかけている親友ベイビー・オーを救うため、そして異常な犯罪者たちが民間に紛れ込むのを阻止するために、あえて地獄の機内に残ることを決意する。
地上では、連邦保安官のラーキンが機内の異変をいち早く察知。軍の強硬派が機体ごと爆破しようとするのを必死に止めながら、機内に潜入している「正体不明の味方」ことポーが発信するわずかなサインを頼りに、孤独な追跡を開始する。
機体は砂漠の給油地で警察隊と激しい銃撃戦を繰り広げた後、中立国への逃亡を目論む。しかし、ポーが密かに機体の燃料を操作し、さらにラーキンが地上から援護したことで、コン・エアーはついに制御不能に陥る。巨大な機体は煌びやかな不夜城、ラスベガスのストリップ通りへと猛スピードで不時着。カジノのネオンをなぎ倒し、高級ホテルを破壊しながら停止する大惨事となった。
瓦礫の中から這い出したサイラスは消防車を奪って逃走を図るが、バイクに飛び乗ったポーとラーキンの執念の追跡により、最期は工事現場の粉砕機へと突き落とされ、壮絶な報いを受ける。
全ての騒動が収まり、炎上するラスベガスの路上で、ボロボロになったポーの前に妻と幼い娘が現れる。砂埃にまみれた手で、彼は大切に守り抜いたぬいぐるみを娘に手渡す。初めて触れる父の温もりに娘が微笑み、三人は固く抱擁を交わした。一方、その喧騒をよそに、最も危険な殺人鬼ガーランド・グリーン(スティーヴ・ブシェミ)だけが、カジノのテーブルで平然とギャンブルに興じている姿を最後に、物語は幕を閉じる。
エピソード・背景
- ニコラス・ケイジの肉体改造
それまで演技派の印象が強かったケイジですが、本作のために猛特訓を行い、見事なアクションスターの体を作り上げました。彼の真面目なヒーロー像が、荒唐無稽な物語に説得力を与えています。 - 強烈すぎる悪役たち
ジョン・マルコヴィッチの冷徹な知性、スティーヴ・ブシェミの不気味な静けさ、ヴィング・レイムスの圧倒的威圧感。主役級の俳優たちが「誰が一番ヤバい奴か」を競い合うような怪演が見どころです。 - ラスベガスでの本物の衝突
クライマックスの不時着シーンでは、廃業が決まっていた本物のホテル「サンズ」のロビーに、実際に模型や機体の一部を突っ込ませる大規模なロケが行われ、凄まじい迫力を生み出しました。 - ジョン・キューザックのサンダル
ラーキンを演じたキューザックは、アクション映画にありがちな「タフな捜査官」ではなく、どこか軽妙で知的な役柄を提案。劇中でサンダルを履いているスタイルも、彼のアイデアによるものです。 - ハミングバードのぬいぐるみ
ポーが娘に贈るために持ち歩くボロボロのぬいぐるみは、このバイオレンス映画における唯一の「純粋さ」の象徴として、多くの観客の涙を誘うアイコンとなりました。 - 主題歌のヒット
リアン・ライムス(劇中ではトリーシャ・イヤウッド版)が歌う「How Do I Live」は、アカデミー歌曲賞にノミネートされる大ヒットとなり、映画の感動的なラストを彩りました。
まとめ:作品が描いたもの
本作は、90年代アクションの美学を詰め込んだ、過剰なまでに熱い「男たちの挽歌」です。物語の骨格はシンプルなハイジャックものですが、そこに「家族への帰還」という強いテーマを据えることで、単なる破壊映画に留まらないエモーショナルな深みを持たせています。
作品を通して描かれるのは、社会のゴミとして扱われる「囚人」の中にある、奇妙な掟と一握りの正義感です。主人公ポーが示す、暴力の渦中にあっても失われない誠実さは、同じ機内にいながら破壊を楽しむサイラスたちとの対比を鮮明にし、観客に「真の強さとは何か」を問いかけます。豪快な爆発と知的な駆け引き、そして不器用な親子の愛が混ざり合い、エンターテインメントとしてのカタルシスを最高潮まで引き上げた、スカッとする名作です。


