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ホスピタル The Hospital 1971

ホスピタル
The Hospital
(アメリカ 1971)

[製作]  ハワード・ゴットフリード/ジャック・グロスバーグ
[監督]  アーサー・ヒラー
[脚本]  パディ・チャイエフスキー
[撮影]  ヴィクター・J・ケンパー
[音楽]  モーリス・サーディン
[ジャンル]  コメディ/ドラマ
[受賞]
アカデミー賞オリジナル脚本賞
英国アカデミー賞脚本賞
ベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞/審査員特別賞
ゴールデン・グローブ賞脚色賞

キャスト

ジョージ・C・スコット
(Dr.ハーバート・‘ハーブ’・ボック)


ダイアナ・リグ (バーバラ・ドラモンド)
バーナード・ヒューズ (エドマンド・ドラモンド)
リチャード・A・ダイサート(Dr.ウェルベック)
スティーヴン・エリオット(Dr.ジョン・サンドストロム)
アンドリュー・ダンカン(ウィリアム・‘ウィリー’・ミード)
ドナルド・ハロン(Dr.ミルトン・ミード)
ナンシー・マーチャンド(クリスティ夫人)
ジョーダン・チャーニー(ヒッチコック)
レニー・ベイカー(Dr.ハワード・シェファー)
リチャード・ハミルトン(Dr.ロナルド・ケイシー)

ストッカード・チャニング
(看護師)


パディ・チャイエフスキー(ナレーター)

クリストファー・ゲスト
(実習医)




概要

『ホスピタル』(The Hospital)はアーサー・ヒラー監督、パディ・チャイエフスキー脚本のブラックコメディ。

混乱と不条理が渦巻くニューヨークの大病院を舞台に、医療現場の問題や社会の矛盾を鋭く風刺する作品。

ジョージ・C・スコットが主演を務め、医師としての苦悩と人間としての再生を描く。




ストーリー

ニューヨーク市の大病院で、医師たちは混乱した医療現場の中で日々奮闘している。主人公のハーバート・ボック(ジョージ・C・スコット)は、病院の主任医師であり、患者の治療だけでなく、職員のミスや医療システムの不備に頭を悩ませている。彼自身もプライベートでは家族との関係が破綻し、自己嫌悪に陥り、アルコールに頼る生活を送っていた。

そんな中、病院内で一連の奇怪な死亡事件が発生する。医師やスタッフが次々と不審な死を遂げ、その原因が特定できない。医療事故が疑われるが、調査を進める中で、事件の裏には意図的な何かが潜んでいることが明らかになっていく。

ボックは事件の渦中で、患者の一人である元インディアンの女性バーバラ・ドラモンド(ダイアナ・リグ)と出会う。彼女の自由奔放でユニークな性格に触れ、閉塞感に苛まれていた彼の心に少しずつ変化が生まれる。バーバラとの交流を通じて、ボックは自分の人生を見つめ直し、新たな希望を見出していく。

一方、事件の真相は、病院の医療システムの歪みや無関心の中で拡大していった悲劇であることが浮き彫りになる。ボックは自らの職務や使命感と向き合いながら、人生の新しいステージへと進む決意をする。

物語は、混乱の中でも希望を見つけたボックが病院を去る場面で締めくくられる。医療現場のリアルな問題と人間的な弱さが描かれながらも、再生と希望のテーマが力強く伝えられる。



エピソード

  • パディ・チャイエフスキーの脚本は、医療業界の内情や社会問題を反映した鋭い風刺が評価された。
  • ジョージ・C・スコットは、この映画で自身の得意とする強烈なキャラクターを演じ、高い評価を得た。
  • ジョージ・C・スコットは、主人公ボックの複雑な心理を表現するため、役作りに徹底的にこだわった。彼は医師や医療現場を徹底的にリサーチし、実際に病院を訪問して医師の仕事を観察したという。また、撮影中も自身の演技に妥協せず、納得がいかないシーンでは何度も撮り直しを要求した。スコットのこの姿勢は、共演者やスタッフから「完璧主義者」として知られていた。
  • ダイアナ・リグは、もともと舞台女優としてキャリアを積んでおり、映画では『女王陛下の007』でのボンドガール役が有名だった。本作では、舞台演技の経験を活かしてユーモアと情感豊かな演技を披露。撮影中、ジョージ・C・スコットとの掛け合いシーンでは、即興的な演技が多く取り入れられ、スコットのシリアスな演技スタイルとの対比が観客に好評を博した。
  • スコットは多くのシーンで脚本に忠実だったが、バーバラとの会話シーンではアドリブを織り交ぜ、リグとの自然なやり取りを演出した。この即興性が、2人のキャラクターの親近感を増幅させる結果となった。
  • 撮影中、スコットとリグは良好な関係を築き、リグはスコットの重厚な演技に敬意を払いながらも、彼の完璧主義にユーモアで応じる場面があったという。リグが撮影現場の緊張を和らげるために冗談を飛ばしたことで、スコットが思わず笑ってしまい、場が和やかになったというエピソードがある。
  • チャールズ・ダーニングは、この映画の小さな役をきっかけに注目されるようになった。彼はジョージ・C・スコットに「現場での振る舞い」を学んだと後に語り、スコットのプロフェッショナルな姿勢に大きな影響を受けたという。
  • 映画のタイトルは、当時のアメリカの医療制度の象徴として批判的な意味を込めている。
  • 映画内の医療ミスや患者の扱いの問題は、公開当時大きな議論を呼んだ。
  • 医療現場の風刺だけでなく、個人の再生や救済のテーマが同時に描かれている。




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