ニューヨークの最高級アパートを舞台に、玉の輿を狙う3人の美女が巻き起こすロマンチック・コメディの金字塔

名匠ジーン・ネグリスコ監督が、マリリン・モンロー、ベティ・グレイブル、ローレン・バコールという豪華3大女優を迎えて贈るロマンチック・コメディの傑作。
富裕層との結婚を夢見て最高級アパートを借り切った3人のモデルが、お金と真実の愛の間で揺れ動きながら本物の幸せを見つけ出していく姿を華やかに描く。
百万長者と結婚する方法
How to Marry a Millionaire
(アメリカ 1953)
[製作] ナナリー・ジョンソン
[監督] ジーン・ネグレスコ
[原作] ゾエ・エイキンズ
[脚本] ナナリー・ジョンソン/キャサリン・アルバート/デイル・ユーンソン
[撮影] ジョー・マクドナルド
[音楽] アルフレッド・ニューマン/シリル・J・モックリッジ
[ジャンル] コメディ/恋愛
キャスト

ベティ・グレイブル
(ロコ)

マリリン・モンロー
(ポーラ)

ローレン・バコール
(シャッツィ)
デヴィッド・ウェイン (フレディ・デンマーク)
ロリー・カルホーン (エベン・セーラム)
キャメロン・ミッチェル (トム・ブルックマン)
アレクサンダー・ダーシー (J・スチュワート・メリル)
フレッド・クラーク (ウォルド・ブルースター)

ウィリアム・パウエル
(J・D・ハンレー)
ジョージ・ダン (マイク)
受賞・ノミネートデータ
| 受賞年 | 賞 | 部門 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 1954 | 第26回アカデミー賞 | 衣装デザイン賞(カラー部門) | ノミネート |
| 1955 | 第8回英国アカデミー賞 | 最優秀総合作品賞 | ノミネート |
評価
20世紀フォックスが本格的に打ち出した映画界初のシネマスコープ(超ワイド画面)長編劇映画として歴史に名を刻む作品です。 当時のトップスターであるベティ・グレイブル、新進気鋭のローレン・バコール、そして大ブレイク中のマリリン・モンローという世代とタイプの異なる3大美女の豪華な競演が高く評価されています。
華やかな50年代ニューヨークのファッションと、軽妙洒脱なテンポで展開するラブコメディの最高峰として現在も親しまれています。
あらすじ
ニューヨークで働くモデルのシャッツィ(ローレン・バコール)、ロコ(ベティ・グレイブル)、ポーラ(マリリン・モンロー)の3人は、「金持ちの男と結婚する」という野望のために結託。税金逃れでヨーロッパへ逃亡中の富豪が所有するニューヨークの最高級ペントハウスを密かに借り込む。
家具を勝手に質に入れながら生活費をやりくりし、金持ちが集まるパーティーへ繰り出す3人。極度の近視ながら眼鏡をかけるのを嫌がるドジなポーラ、料理上手で愛嬌たっぷりのロコ、そしてクールで野心家なリーダー格のシャッツィは、それぞれ目的の富豪たちと知り合いデートを重ねていく。
しかし、ポーラは怪しい投機家に騙されそうになり、ロコは既婚者の富豪に連れ出された山小屋で素朴な森林監視員エベン(ロリー・カルホーン)と出会い、シャッツィは年配の大富豪に求婚されながらも、しつこく言い寄ってくるラフな服装の青年トム(キャメロン・ミッチェル)が気になり始めてしまう。
ロコは山小屋で出会った素朴な青年エベンが富豪だと勘違いして恋に落ち、貧しいと分かった後も愛を選んで結婚。ポーラは空港で偶然出会ったペントハウスの本来の持ち主フレディ(デヴィッド・ウェイン)と、眼鏡をかけたありのままの自分を受け入れ合って結ばれる。
一方、シャッツィは年配の石油王J・D・ハンリー(ウィリアム・パウエル)との豪華な結婚式を迎えるが、式直前に自分の本当の気持ちがトムにあることを悟る。ハンリーも彼女の決断を温かく後押しし、シャッツィは無事にトムと結婚する。
安食堂でハンバーガーを食べながら、3組の新婚夫婦はささやかなお祝いをする。シャッツィが貧乏だと思い込んでいた夫トムは、食後に札束の山を取り出し、自分が本当の超大富豪(石油王)であることを明かす。驚愕した3人の妻たちが失神する中で物語はハッピーエンドを迎える。
エピソード・背景
- 映画界初の大型シネマスコープ長編作品
テレビの普及に対抗するため20世紀フォックスが開発した横長ワイド画面「シネマスコープ」の劇映画第1号として制作されました(公開順は『聖衣』に次ぐ2作目)。豪華なペントハウスや衣装をワイド画面いっぱいに映し出す演出が大話題となりました。 - ベティ・グレイブルとマリリン・モンローの主役交代劇と友情
当時フォックスの看板女優だったベティ・グレイブルから、新星マリリン・モンローへのトップスター交代期に撮影されました。周囲は二人の不仲やキャットファイトを期待しましたが、ベティは「自分の時代は終わった。これからはあなたの時代よ」とマリリンを温かく励まし、終始良好な関係を保ちました。 - マリリン・モンローの近視キャラと「眼鏡」のキュートな名演
劇中で演じたドジで極度のド近視のモデル役は、マリリンのコミカルな才能を開花させました。「眼鏡をかけた女性は魅力的ではない」と信じ込んであちこちにぶつかる姿や、眼鏡をかけた瞬間の愛らしさが観客を魅了しました。 - ローレン・バコールの実夫ハンフリー・ボガートをネタにしたセリフ
劇中、ローレン・バコール演じるシャッツィが「私、ハンフリー・ボガートみたいな年上の渋い男が大好きなの」と語るジョークが存在します。現実の彼女の夫であるボガートをセルフパロディにした楽屋落ちのセリフとして有名です。 - 名優ウィリアム・パウエルの映画出演最終盤
『影なき男』シリーズなどで知られる大ベテラン俳優ウィリアム・パウエルが、シャッツィを優しく包み込む紳士的な大富豪役で出演。本作の2年後(1955年)に引退したため、彼の晩年を代表する味わい深い名演となりました。 - 大ヒットを記録し、後の「女子会コメディ」の金字塔に
興行収入において同年屈指の大ヒットを記録し、3人の女性が同居しながら愛とキャリアに奮闘するストーリーラインは、後に『セックス・アンド・ザ・シティ』など数多くの女性主役ドラマやコメディ作品の原点・モデルとなりました。
まとめ
最高級のファッションとシネマスコープの豪華な映像美で贈る、ロマンチック・コメディの至高の名作です。お金を目当てに奮闘しながらも、最終的には心のつながりと真実の愛を選び取る3人のヒロインたちの愛らしさが、時代を超えて観る者を笑顔にしてくれます。
〔シネマ・エッセイ〕
絢爛豪華なペントハウスの窓から見下ろすマンハッタンの夜景と、スクリーンを彩る華やかな衣装の数々。超ワイド画面に広がる50年代ニューヨークの煌めきが、夢を追うヒロインたちの情熱とともに観る者の胸を躍らせます。
計算高く立ち回りながらも、最後には自分の心に嘘をつかけず素直になっていく3人の姿が、軽快なコメディ以上に私の心を強く揺さぶります。見栄や欲目を脱ぎ捨て、不器用ながらも本当の自分を愛してくれる相手の手を取る決断。富や地位を超えた場所にある真実の愛の尊さに、思わず笑みがこぼれます。
眼鏡をかけて微笑むポーラの瞳と、安食堂で札束を前に目を丸くする妻たち。幸せの形は計算通りにいかなくても、自分らしく生きて掴み取った愛こそが人生最高の財産なのだと、温かい余韻が胸いっぱいに広がります。

