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アンダルシアの犬 Un chien andalou 1929 |キャスト・あらすじ【ネタバレ】

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理屈を切り裂く16分、脳裏に焼き付く不条理の迷宮

論理も物語も拒絶し、夢の深層心理をスクリーンに叩きつけたシュルレアリスム映画の最高峰。映画史上最も有名な『眼球の切断』が、観客の既成概念を粉砕する。

アンダルシアの犬
Un chien andalou
(フランス 1929)

[製作] ルイス・ブニュエル
[監督] ルイス・ブニュエル
[原作・脚本] ルイス・ブニュエル/サルバドール・ダリ
[撮影] アルバート・デュヴェルジェ/ジミー・バーリエット
[ジャンル] ショートフィルム/シュール




キャスト

ピエール・バチェフ (男)
シモーヌ・マレイユ (少女)

ルイス・ブニュエル
(男(プロローグ) )

サルバドール・ダリ (神学校生)

概要

「アンダルシアの犬」は、スペインの映画監督ルイス・ブニュエルと画家サルバドール・ダリが共同で制作した前衛的な短編映画である。この作品は、シュルレアリスム映画の代表作として広く知られており、その斬新な映像表現と挑発的な内容で映画史に名を刻んでいる。


ストーリー

剃刀を研ぐ男(ルイス・ブニュエル)が、夜空に浮かぶ細い雲が満月を横切るのを見つめる。それと同時に、男の手によって女性(シモーヌ・マルイユ)の眼球が剃刀で切り裂かれる。

物語は「8年後」や「夜の3時」といった、物語の連続性を無視したテロップを挟みながら、脈絡のない夢のようなイメージが連鎖していく。手のひらの穴から湧き出す蟻、路上に落ちた切断された手首、ピアノに乗せられたロバの死骸と、それを引く男(ピエール・バチェフ)。男は女性を執拗に追い回し、別の自分自身を射殺する。最後は、海岸で砂に埋もれた男女の静止した姿で、この奇妙な視覚体験は突如として幕を閉じる。

エピソード・背景

  • ダリとブニュエルの夢
    二人がそれぞれ見た「蟻が湧き出す手」と「月を切り裂く雲」という夢の話を持ち寄ったことが、この映画の出発点となりました。
  • 徹底した論理の排除
    制作の際、二人は「いかなる論理的、心理的、文化的な説明もつかないイメージのみを採用する」という厳格なルールを自分たちに課しました。
  • 観客の怒りを期待
    ブニュエルは観客が激怒して暴動が起きると予想し、身を守るためにポケットに石を詰めて初日の舞台挨拶に立ちましたが、予想に反して映画は絶賛されました。
  • 眼球切断のトリック
    衝撃的な眼球のシーンでは、人間の代わりに死んだ牛の眼が使われました。あまりにリアルな映像だったため、当時の上映では失神する観客が続出したといわれています。
  • サウンドトラックの変遷
    当初はサイレントでしたが、上映時にはワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』とタンゴのレコードが交互にかけられました。後にブニュエル自身の手で音響版も作られています。
  • 若き日の巨匠たち
    当時まだ無名に近かったダリとブニュエルが、親から借りた資金などで作り上げた自主制作的な作品でした。


まとめ:作品が描いたもの

本作は、「映画は物語を語るものである」という既存の枠組みを根底から覆しました。描かれているのは、人間の潜在意識下にある欲望、恐怖、そして残酷さです。それぞれのイメージに特定の「正解」を見出そうとすること自体が、制作者たちの意図に反するとさえいえます。

視覚的な衝撃を通じて、観客の意識を直接揺さぶり、論理では到達できない感情の深淵を覗かせる。その革新的な手法は、公開から100年近く経った今でも、アヴァンギャルド映画の金字塔として、観る者に強烈な違和感と魅惑を与え続けています。

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