ウェンディ&ルーシー
Wendy and Lucy
(アメリカ 2008)
[製作総指揮] ジョシュア・ブラム/トッド・ヘインズ/フィル・モリソン/ラジェン・サヴジャニ
[製作] ラリー・フェッセンデン/ニール・コップ/アニッシュ・サヴジャニ
[監督] ケリー・ライカート
[ストーリー] ジョナサン・レイモンド
[脚本] ジョナサン・レイモンド/ケリー・ライカート
[撮影] サム・レヴィ
[ジャンル] ドラマ
[受賞]
カンヌ国際映画祭 パームドッグ賞(ルーシー)
キャスト

ミシェル・ウィリアムズ
(ウェンディ)
ルーシー (犬/ルーシー)
ウォルター・ダルトン (警備員)
ジョン・ロビンソン (アンディ)

ウィル・パットン
(メカニック)
ゲイブ・ネヴァンス (少年)
ストーリー
若い女性ウェンディは、愛犬ルーシーとともにアラスカでの仕事を目指し、古い車で長い旅を続けている。所持金はわずかで、道中のスーパーマーケットで食料を万引きしてしまったことから、彼女の旅は思わぬ方向へ転がり始める。拘束を解かれて外に出たとき、そこにいるはずのルーシーの姿はなく、ウェンディは街の片隅で犬を探し回ることになる。
見知らぬ町、動かなくなった車、減っていくお金。ウェンディは少しずつ追い詰められながらも、誰かに大きく助けを求めることができない。警備員の男性や動物保護施設の職員など、彼女の前に現れる人々は決して冷酷ではないが、決定的な救いを与えてくれるわけでもない。ルーシーを探す時間だけが過ぎ、彼女は自分が社会のどこにも属していない存在であることを、静かに突きつけられていく。
やがて再会の可能性が見えたとき、ウェンディは残酷な選択を迫られる。ルーシーを愛しているからこそ、自分のそばに置くことが最善ではないと悟る瞬間は、胸が締めつけられるほど切実である。この映画は、大きな事件も劇的な展開もない。ただ、ひとりの女性と一匹の犬が共有した短い時間を通して、貧しさ、孤独、そしてそれでも前に進もうとする人間の尊厳を、淡々と、しかし深く描き出している。観終わったあと、静かな余韻が長く心に残る一本である。


