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オクラホマ! Oklahoma! 1955 |キャスト・あらすじ【ネタバレ】

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青い空、見渡す限りのトウモロコシ畑。ロジャース&ハマースタインが描く、新しき国への希望と恋の調べ。

20世紀初頭、州への昇格を控えたオクラホマ。カウボーイのカーリーと農場の娘ローリーの恋模様を軸に、新しい時代を切り拓こうとする人々の活気と葛藤を、数々の名曲と共に綴る。ブロードウェイの伝説的ミュージカルを、巨匠フレッド・ジンネマンが映画化。

当時の最新技術トッドAOによる圧倒的な映像美と、アグネス・デ・ミルの革新的なダンスが融合した、明るくも深みのある傑作。

オクラホマ!
Oklahoma!
(アメリカ 1955)

[製作] アーサー・ホーンブロー・ジュニア
[監督] フレッド・ジンネマン
[原作] リン・リッグス/オスカー・ハマースタイン
[脚本] ソーニャ・レヴィン/ウィリアム・ルートヴィヒ
[撮影] ロバート・サーティーズ
[音楽] リチャード・ロジャース
[ジャンル] ミュージカル/恋愛/ウエスタン
[受賞] アカデミー賞 作曲賞/音響賞

キャスト

ゴードン・マクレイ (カーレイ・マクレーン)

シャーリー・ジョーンズ
(ローリー・ウィリアムズ)

ロッド・スタイガー
(ジャド・フライ)

グロリア・グレアム (アニー・カーンズ)
ジーン・ネルソン (ウィル・パーカー)
シャーロット・グリーンウッド (エラー・マーフィ叔母)
エディ・アルバート (アリ・ハキム)
ジェームズ・ホィットモア (カーンズ)
バーバラ・ローレンス (ガーティ・カミングス)
ジェイ・C・フリッペン (アイク・スキッドモア)


受賞・ノミネートデータ

受賞年部門結果
1956第28回アカデミー賞ミュージカル映画音楽賞/録音賞受賞
1956第28回アカデミー賞撮影賞(カラー)/編集賞ノミネート

評価

舞台版がミュージカルの歴史を「歌と物語の融合」へと変えたように、映画版もまた、広大な屋外ロケと緻密な心理描写をミュージカルに持ち込みました。特に「ドリーム・バレエ」と呼ばれる幻想的なダンスシーンは、登場人物の潜在的な不安や欲望を象徴的に描き出し、単なる娯楽作に留まらない芸術性を与えています。

若きシャーリー・ジョーンズの透明感ある歌声と、ゴードン・マクレイの朗々たるバリトンが、西部の開放感を見事に体現している点も見逃せません。


あらすじ:陽光の下の恋と、忍び寄る影

オクラホマが州になる前の良き時代。カウボーイのカーリー(ゴードン・マクレイ)は、勝ち気な農場の娘ローリー(シャーリー・ジョーンズ)をダンス・パーティーに誘おうとするが、二人は素直になれず口喧嘩ばかり。当てつけにローリーは、陰気で執念深い雇い人のジャド(ロッド・スタイガー)の誘いに乗ってしまう。

一方、ローリーの友人アニー(グロリア・グレアム)は、遠征から帰った恋人ウィル(ジーン・ネルソン)と、都会的な行商人アリ(エディ・アルバート)との間で心を揺らしていた。それぞれの恋が交錯する中、ローリーはジャドの異常な独占欲に恐怖を感じ始め、夢の中で自分の運命に怯える。


ダンス・パーティーの競売で、カーリーは全財産を投げ打ってローリーとの食事権を競り落とし、二人はようやく心を通わせる。結婚式を挙げ、幸せの絶頂にいた二人だったが、そこへ復讐に燃えるジャドが現れ、カーリーに襲いかかる。

もみ合いの末、ジャドは自分のナイフの上に倒れて命を落とす。カーリーは正当防衛を認められ、村人たちの祝福を受けながら、ローリーと共に新しい生活へと旅立つ。新しい「州」として生まれ変わろうとするオクラホマの輝かしい未来を象徴するように、希望に満ちた歌声が荒野に響き渡る。


エピソード・背景

  • トッドAO方式の導入
    70mmワイドスクリーンによる圧倒的な没入感を目指し、製作のマイケル・トッドが開発した新方式で撮影された。
  • シャーリー・ジョーンズのデビュー
    本作で鮮烈なデビューを飾り、後に『エルマー・ガントリー』でオスカーを手にする彼女の、輝くような魅力が凝縮されている。
  • アグネス・デ・ミルの振付
    舞台版から引き続き、バレエの要素を取り入れた物語性の高いダンスを構築。ミュージカルにおけるダンスの概念を確立した。
  • 二重撮影の苦労
    当時、最新の70mmと標準的な35mmの両方で全シーンを2回ずつ撮影するという、気の遠くなるような作業が行われた。
  • ロッド・スタイガーの存在感
    ミュージカルには珍しいメソッド派の俳優であるスタイガーが、ジャドを単なる悪役ではなく、孤独で歪んだ人間としてリアルに演じ、作品に緊張感を与えている。
  • 名曲のスタンダード化
    タイトル曲「Oklahoma!」や「Oh, What a Beautiful Mornin’」は、今やアメリカの準国歌的な人気を誇る。

まとめ:作品が描いたもの

本作は、未開の地が「国家の一部」へと成熟していく過程を、人々の愛と命の輝きを通して記録した壮大な抒情詩でした。農耕者と牧畜者の対立という西部の現実を描きつつも、それを歌声で調和へと導く物語は、当時のアメリカが持っていた楽観主義と力強さを象徴しています。

影の部分であるジャドの死を乗り越えて進む若者たちの姿には、新しい時代を築くための痛みを引き受ける覚悟が、明るい旋律の裏に秘められているのです。


〔シネマ・エッセイ〕

どこまでも続く青い空と、風に揺れる金色のトウモロコシ。ゴードン・マクレイが馬に乗り、のびやかに歌いながら登場する冒頭の数分間だけで、この映画が約束する至福の時間が伝わってきます。シャーリー・ジョーンズの、まるで朝露のような清純な歌声が重なるとき、映画館という空間は一瞬にして100年前のオクラホマへと変貌を遂げます。

しかし、この物語が単なるお気楽なミュージカルで終わらないのは、ドリーム・バレエで見せるあの不穏な紫色の煙や、ロッド・スタイガーの暗い情念が、陽光の中に確かな「陰影」を落としているからに他なりません。光が強ければ強いほど、その影もまた深く、物語に血の通ったリアリティを与えています。

最後、真っ白なオープンカーに乗って旅立つ二人の背景に流れる大合唱。それは、失われてしまった古き良きアメリカへの郷愁であると同時に、明日を信じて疑わなかった時代への、心からの賛辞のように聞こえてやみません。見終わった後、自分の中の「新しい朝」が動き出すような、そんな清々しい余韻に包まれます。

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