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カバーガール Cover Girl 1944 |キャスト・あらすじ【ネタバレ】

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夢か愛か、表紙を飾る微笑みの裏側で。ジーン・ケリーとリタ・ヘイワースが舞い踊る、色彩の祭典。

ブルックリンの小さなナイトクラブの踊り子が、雑誌の看板娘(カバーガール)に選ばれ一躍スターダムへ。成功への階段を駆け上がる彼女と、取り残された恋人の葛藤を、テクニカラーの鮮烈な映像と圧倒的なダンスナンバーで描く、コロンビア映画黄金時代の最高傑作ミュージカル。

カバーガール
Cover Girl
(アメリカ 1944)

[製作] アーサー・シュワルツ
[監督] チャールズ・ヴィダー
[原作] アーウィン・S・ゲルシー
[脚本] ヴァージニア・ヴァン・アップ/マリオン・パーソネット/ポール・ガンジェリン/ジョン・H・カフカ
[音楽] ジェローム・カーン/ソール・チャップリン
[撮影] ルドルフ・マテ/アレン・M・デイヴィー
[ジャンル] コメディ/ミュージカル
[受賞] アカデミー賞作曲賞

キャスト

リタ・ヘイワース 
(ラスティ・パーカー/マリーベル・ヒックス)

ジーン・ケリー 
(ダニー・マクガイア)

リー・ボウマン (ノエル・ホィートン)
フィル・シルヴァーズ (ジニアス)
ジンクス・フォルケンバーグ (本人)
レスリー・ブルックス (モーリン・マーティン)
イヴ・アーデン (コーネリア・‘ストーンウォール’・ジャクソン)

受賞・ノミネートデータ

受賞年部門結果
1945第17回アカデミー賞ミュージカル映画音楽賞(M・ストロフ、C・ドラゴン)受賞
1945第17回アカデミー賞撮影賞(カラー:ルドルフ・マテ、A・M・デイヴィ)ノミネート
1945第17回アカデミー賞歌曲賞(「ロング・アゴー」)ノミネート
1945第17回アカデミー賞室内装置賞(カラー)ノミネート
1945第17回アカデミー賞録音賞ノミネート
  • 評価
    • コロンビア映画がMGMのミュージカルに対抗して放った、同社初のテクニカラー大作です。「愛の女神」リタ・ヘイワースの絶頂期の美しさと、当時MGMから貸し出されていた若きジーン・ケリーの革新的な振付が融合。特にケリーが自分の影と踊る「オルター・エゴ(分身)・ダンス」は、後の映画表現に革命をもたらした名シーンとして語り継がれています。ジェローム・カーンとアイラ・ガーシュウィンによる珠玉の楽曲群も、作品に永遠の品格を与えています。

あらすじ:ブルックリンからマンハッタンへ

ブルックリンのナイトクラブで踊るラスティ(リタ・ヘイワース)は、店主で振付師のダニー(ジーン・ケリー)と恋人同士。ある日、ラスティは有名ファッション誌の「カバーガール」コンテストに応募し、見事優勝。彼女は一躍時の人となり、マンハッタンの豪華な舞台への誘いを受ける。

かつて自分の祖母が愛と成功の間で揺れ、最後は愛を選んだ歴史を知ったラスティ。しかし、目の前の華やかな成功と、自分を突き放そうとするダニーの間で、彼女の心は千々に乱れる。友情、嫉妬、そして忘れられないメロディ。彼女が最後に選ぶのは、スポットライトの輝きか、それとも小さなクラブの片隅にある真実の愛か。


豪華なショービジネスの世界に身を置くラスティだったが、リッチなプロデューサーとの結婚式の直前、自分の心がダニーにあることを確信する。彼女は煌びやかなドレスを脱ぎ捨て、再びブルックリンの小さなクラブへと戻る。

そこには、彼女を待ち続けていたダニーと親友たちの姿があった。二人は再会を喜び、共に踊り出す。表紙を飾る一時的な「顔」ではなく、一人の愛される女性としての幸せを掴んだラスティ。彼女の微笑みは、どの雑誌のカバーよりも美しく輝いていた。


エピソード・背景

  • リタとジーンの化学反応
    リタ・ヘイワースの優雅な身のこなしと、ジーン・ケリーのアスレチックなダンススタイルが見事に調和。ケリーは本作の成功により、MGMに戻った後、名作『踊る大紐育』や『雨に唄えば』を生み出す足がかりを築きました。
  • 驚異の「分身」ダンス
    ジーン・ケリーが夜の街角で、自分自身の影(もう一人の自分)と競い合うように踊るシーンは、当時の特殊撮影技術の限界に挑んだもので、一秒の狂いも許されない計算された動きが必要でした。
  • ルドルフ・マテの色彩美
    『打撃王』のルドルフ・マテが担当したテクニカラーの映像は、リタの赤い髪と色鮮やかな衣装を神々しいまでに美しく捉え、観客を夢の世界へと誘いました。
  • 名曲「ロング・アゴー」
    ジェローム・カーンが作曲したこのバラードは、戦時中の恋人たちの心に寄り添い、全米で大ヒット。今なおジャズ・スタンダードとして歌い継がれています。
  • リタの歌声の秘密
    リタ・ヘイワースはダンスの天才でしたが、歌声は専属のゴーストシンガー(マーサ・ミアーズ)によって吹き替えられていました。しかし、その歌声とリタの表情は完璧に同調し、誰もが彼女自身の声だと信じ込みました。
  • 実在のカバーガールたち
    映画の中のコンテストシーンには、当時実際に活躍していた本物のカバーガールたちが特別出演しており、華やかさにリアリティを添えています。
  • 戦争を忘れさせる輝き
    1944年、戦火の絶えない時代に公開されたこの贅沢な娯楽作は、人々に「明日の希望」を見せる最高のビタミン剤となりました。

まとめ:作品が描いたもの

『カバーガール』は、華やかなファッション業界を舞台にしながら、本当に大切なものは形ある成功ではなく、心を通わせる相手との絆であることを、明るく力強く描き出しました。リタ・ヘイワースの圧倒的なスター性は、単なる「着せ替え人形」に留まらない、意志を持った一人の女性としての魅力を放っています。

音楽、ダンス、映像――そのすべてが高い次元で結実した本作は、ミュージカル映画が最も贅沢で、人々に夢を与える使命を負っていた時代の幸福な記憶です。本人の映画人生は、こうした煌びやかなステージを通じて、美しさと情熱、そして愛の尊さを銀幕に永遠に焼き付けたものと言えるでしょう。


〔シネマ・エッセイ〕

赤い髪をなびかせ、ルドルフ・マテが捉える魔法のような光の中に現れるリタ・ヘイワース。彼女が階段を降りてくるだけで、スクリーンは多幸感に包まれます。けれど、本作の真の魔法は、ジーン・ケリーが夜の舗道で見せた、孤独と葛藤のステップにこそ宿っています。

自分の影と踊るケリーの姿は、単なる技術誇示ではありません。成功に近づく恋人を、心から祝福したい自分と、引き止めたい自分。その二つの心を引き裂かれるようなリズムで表現した、極上の心理描写でした。モリス・ストロフたちの音楽は、その揺れ動く感情に寄り添い、観客の胸を熱くさせます。

「ロング・アゴー」の旋律が流れるとき、私たちは気づかされます。どれほど時代が変わっても、私たちが求めているのは、完璧な表紙の笑顔ではなく、自分の弱さを分かち合える誰かの温もりなのだと。映画が終わっても、二人の軽やかなステップは、私たちの心の中にある「ブルックリン」という名の愛着ある場所で、いつまでも鳴り響き続けているのです。

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