ビッグ・ビジネス
Big Business
(アメリカ 1988)
[製作] マイケル・ペイサー/スティーヴ・ティッシュ/ボニー・ブラッカイマー
[監督] ジム・エイブラハムズ
[脚本] ドリー・ピアソン/マーク・ライド・ルーベル
[撮影] ディーン・カンデイ
[音楽] リー・ホールドリッジ
[ジャンル] コメディ
[受賞] アメリカン・コメディ賞 主演女優賞(ベット・ミドラー)
キャスト

ベット・ミドラー
(セイディ・ラトリフ/セイディ・シェルトン)

リリー・トムリン
(ローズ・ラトリフ/ローズ・シェルトン)

フレッド・ウォード
(ルーン・ディミック)

エドワード・ハーマン
(グレアム・シャーボーン)
ミシェル・プラシード (ファビオ・アルベリッチ)
ダニエル・ゲロル (チャック)
バリー・プリマス (マイケル)
マイケル・グロス (Dr.ジェイ・マーシャル)
デボラ・ラッシュ (ビンキー・シェルトン)
ニコラス・コスター (ハント・シェルトン)
パトリシア・ゴール (イオナ・ラトリフ)
J・C・クイン (ガース・ラトリフ)

セス・グリーン
(ジェイソン)
レオ・バームスター (バム)
ストーリー
1940年代、ウェストバージニア州の田舎町の病院で、NYから来た富豪の夫人と地元の貧しい夫人が同時に双子の姉妹を出産する。しかし、混乱の中で看護師が赤ん坊を取り違えてしまい、それぞれの家族に「血の繋がらない双子」が引き取られてしまう。
40年後、NYの巨大企業モラマックス社の冷徹な社長セイディ・シェルトン(ベティ・ミドラー)と気弱な妹ローズ・シェルトン(リリー・トムリン)は、田舎町にある家具工場の売却を計画する。一方、その町で工場の閉鎖を阻止しようと立ち上がったのが、ローズ・ラトリフ(リリー・トムリン)と姉セイディ・ラトリフ(ベティ・ミドラー)の二人だった。
田舎の姉妹は直訴のためにNYへ乗り込み、シェルトン姉妹が滞在する最高級ホテル「プラザ・ホテル」にチェックインする。同じホテルに、顔も名前も同じ二組の双子が居合わせたことで、ホテル内は大混乱に陥る。セイディ・シェルトンの愛人が別人のセイディにプロポーズしたり、ローズの待ち合わせ相手が入れ替わったりと、勘違いの連鎖が止まらない。しかし、鏡合わせのような自分の片割れと鉢合わせたことで、ついに四人は自分たちが取り違えられた双子であるという事実に気づく。
セイディ・シェルトン(NY側)は当初、田舎の姉妹を疎ましく思うが、自分と瓜二つの情熱的なセイディ・ラトリフ(田舎側)と接するうちに、心の奥底にあった自分らしさを取り戻していく。最終的に、四人は協力して工場の売却を阻止し、会社を私物化しようとしていたセイディ・シェルトンの不誠実な夫を追い出すことに成功する。彼女たちは血の繋がった本当の片割れと再会した喜びを分かち合い、それぞれが新しい人生のパートナーと共に、晴れやかな笑顔でホテルの回転ドアから別々の道へと踏み出していく。
受賞・ノミネートデータ
- 1989年 ゴールデングローブ賞
- ノミネート:主演女優賞(コメディ/ミュージカル部門:ベティ・ミドラー)
- 1989年 アメリカン・コメディ・アワード
- 受賞:最も面白い主演女優賞(ベティ・ミドラー)
- 興行・評価
- 豪華な二大女優の競演と、クラシカルな「取り違え」プロットが功を奏し、1988年の夏のヒット作となった。特撮を駆使した一人二役の自然な掛け合いが当時高く評価された。
エピソード・背景
- 二大コメディエンヌの激突
ベティ・ミドラーとリリー・トムリンという、共にエミー賞やトニー賞を持つ実力派二人の共演は、公開当時「夢のカード」として大きな話題を呼びました。 - 一人二役の特殊撮影
同じ画面に二人のミドラーや二人のトムリンを登場させるため、当時はまだ珍しかったコンピューター制御のカメラ(モーション・コントロール・カメラ)が駆使され、自然な掛け合いを実現しました。 - プラザ・ホテルの再現
舞台のほとんどを占めるNYの名門プラザ・ホテルの内部は、スタジオに巨大なセットを組んで再現されました。あまりの精巧さに、本物の宿泊客が迷い込みそうになったという逸話があります。 - 対照的な衣装デザイン
NY側の洗練されたハイファッションと、田舎側のカントリー風の衣装。それぞれのキャラクターを一目で判別させるため、アカデミー賞受賞デザイナーによる緻密なキャラ分けがなされました。 - 監督ジム・エイブラハムズの手腕
『フライングハイ』などのパロディ映画で知られるエイブラハムズ監督ですが、本作では正統派のスクリューボール・コメディに挑戦し、テンポの良い演出を見せました。 - 幻のキャスティング
当初、制作陣は双子役として、実の双子である俳優を探していましたが、演技力のバランスを考慮して、最終的に一人二役というスタイルに落ち着きました。
まとめ:作品が描いたもの
本作は、育った環境がいかに人間の性格を形成するかをユーモラスに描きつつ、最終的には「血縁」を超えた個人の意志と友情を肯定しています。都会の孤独と田舎の素朴さ、二つの異なる世界が交差することで、登場人物たちが自身のアイデンティティを再発見する物語となっています。
ベティ・ミドラーの圧倒的なエネルギーと、リリー・トムリンの繊細なコメディ・センスが融合し、80年代ハリウッド・コメディの黄金期を象徴する、多幸感溢れる作品として完成しました。


