ラッキーナンバー7
Lucky Number Slevin
(アメリカ・イギリス・ドイツ・カナダ 2006)
[製作総指揮] ジェーン・バークレー/ドン・カーモディ/AJディックス/シャロン・ハレル/イーライ・クライン/ハンナ・リーダー/アンドレアス・シュミット/ウィリアム・シブリー
[製作] クリストファー・エバーツ/チャールズ・ジュード・フォイヤー/アンドレアス・グロッシュ/キア・ジャム/ロバート・クラヴィス/タイラー・ミッチェル/アンソニー・ルーレン/クリス・ロバーツ
[監督] ポール・マクギガン
[脚本] ジェイソン・スマイロヴィック
[撮影] ピーター・ソーワ
[音楽] J・ラルフ
[ジャンル] クライム/ドラマ/スリラー
キャスト

ジョシュ・ハートネット
(スレヴン)

ブルース・ウィリス
(グッドキャット)

ルーシー・リュー
(リンジー)

モーガン・フリーマン
(ボス)

ベン・キングズレー
(ラビ)
マイケル・ルーベンフェルド (イツチョク)
ピーター・アウターブリッジ (ダンブロウスキー)

スタンリー・トゥッチ
(ブリコウスキー)
ケヴィン・チェンバリン (マーティ)
ドリアン・ミシック (エルヴィス)

ミケルティ・ウィリアムソン
(スロー)
スコット・ギブソン (マックス)
サム・イェーガー (ニック・フィッシャー)

ダニー・アイエロ
(ロス)
オリヴァー・デイヴィス (ヘンリー)
コーリー・ストール (ソール)
ハワード・ジェローム (エイブ)
JDジャクソン (マガー)

ロバート・フォスター
(マーフィー)
シラ・リー (ホットティー)
ジャネット・レーン (ブロンディ)
ニコラス・ライス (ドク)
バーナード・ケイ (モーティ)
ダレン・マーズマン (スリム・ホプキンス)
ジェリー・メンディシーノ (ベニー・ビギン)
ディエゴ・クラッテンホフ (ジンジャー)
ストーリー
ニューヨークへやってきた青年スレヴン(ジョシュ・ハートネット)は、災難の連続に見舞われていた。仕事と家を失い、恋人の浮気現場を目撃し、挙句の果てには路上で強盗に遭って鼻を折られる。ようやく友人のニックのマンションに辿り着くが、肝心のニックは不在であった。スレヴンがニックの服を借りて部屋でくつろいでいると、突然二人の男が押し入り、彼をニックと勘違いしたまま拉致していった。
連行された先には、ニューヨークを二分する暗黒街の首領「ボス」(モーガン・フリーマン)がいた。ボスは、かつての親友であり現在は不倶戴天の敵となった「ラビ」(ベン・キングズレー)が自分の息子を暗殺したと信じ込んでおり、ニックが抱えていた多額のギャンブルの借金を帳消しにする条件として、ラビの息子の暗殺をスレヴン(ニック)に命じた。
解放されたのも束の間、今度はラビの部下たちが現れ、スレヴンを再び拉致した。ラビもまたニックの借金を盾に取り、自陣営の護衛を命じるなど、スレヴンは逃げ場のない二重の窮地に立たされた。
スレヴンは、隣人の鑑識官リンジーの協力を得て、姿を消した本物のニックの行方を追いつつ、冷徹な殺し屋グッドキャット(ブルース・ウィリス)が両陣営の裏で暗躍していることに気づく。スレヴンは、ボスの命令に従ってラビの息子を暗殺する計画を進める一方で、執拗に自分を追い回すブリコウスキー刑事の追及をかわし、マフィア同士の血生臭い抗争の渦中へと深く沈み込んでいった。
物語のすべての糸を引いていたのは、スレヴン本人であった。20年前、ある男が八百長競馬の情報を掴んで大金を賭けるが、馬はゴール直前で心臓麻痺を起こして急死した。金を貸していたボスとラビは、見せしめとしてその男と妻、そして幼い息子を殺害するよう命じた。その時、現場に送られた殺し屋こそが若き日のグッドキャットであり、殺された男の息子がスレヴン(本名ヘンリー)であった。グッドキャットは少年を殺せず、密かに連れ去って最高の復讐者として育て上げたのである。
スレヴンは、本物のニックをあらかじめ殺害(あるいは排除)し、彼になりすますことでボスとラビの両陣営に自ら接近した。彼はボスとラビの両者を同じ場所に誘い出し、グッドキャットと共に制圧した。スレヴンは、20年前に自分の父親が殺された時と全く同じ状況を作り上げ、椅子に縛り付けた二人の首をビニール袋で覆い、窒息させて復讐を完遂した。
さらに、当時マフィアに情報を流して両親を死に追いやった汚職警官ブリコウスキー(リンジーの同僚)も、スレヴンの手によって射殺された。すべての復讐を終えたスレヴンは、利用した形となったリンジーに真実を明かし、彼女の安全を確保した上で、グッドキャットと共に空港から新天地へと旅立っていった。
受賞・ノミネートデータ
- ミラノ国際映画祭(2006年)
- 受賞:最優秀作品賞
- 受賞:最優秀男優賞(ジョシュ・ハートネット)
- ディレクターズ・ギルド・オブ・カナダ(2006年)
- 受賞:音響編集賞
- ノミネート:美術賞
エピソード・背景
- 独特な美術デザイン
劇中のセットや壁紙は、1970年代を意識した非常にカラフルで幾何学的なデザインが多用されています。これは、物語の奇妙で非現実的な雰囲気を強調するための演出でした。 - 「カンザス・シティ・シャッフル」の定義
劇中で語られる「誰もが右を向く時に、左を向く」という詐欺の手口「カンザス・シティ・シャッフル」は、この映画のプロットそのものを象徴するキーワードとなりました。 - モーガン・フリーマンとベン・キングズレーの初共演
共に名優として知られる二人ですが、意外にも本作が初共演でした。二人が対峙するシーンは、セットを左右対称に作り、緊張感を高める演出がなされました。 - 脚本の緻密な構成
脚本家のジェイソン・スマイロヴィックは、すべての伏線がラストで回収されるように、あえて時系列を複雑に入れ替える構成を採用しました。 - ブルース・ウィリスの殺し屋役
無口で冷徹、かつどこか人間味のある殺し屋グッドキャット役は、ウィリスのこれまでのキャリアの中でも特に「静かな威圧感」がある役柄として評価されました。 - ジョシュ・ハートネットの役作り
彼は物語の大部分でバスタオル一枚、あるいはリラックスした服装で過ごしていますが、これは「突然事態に巻き込まれた無防備さ」を視覚的に表現するためでした。 - 撮影現場の雰囲気
非常にシリアスな内容に反して、現場は和気藹々としていたそうです。特にルーシー・リューとジョシュ・ハートネットの掛け合いは、多くがアドリブから生まれたものだとされています。 - タイトルに込められた意味
原題の『Lucky Number Slevin』は、物語の鍵となる「7番の馬」と主人公の名前を掛け合わせたものですが、日本公開時にはその「7」に焦点を当てた邦題が採用されました。
まとめ:作品が描いたもの
本作は、一見すると軽妙なクライム・コメディの体裁をとりながら、その核心には「失われた家族への愛」と「20年越しの執念」という重厚なテーマを秘めています。巧妙な語り口によって観客の視点を誘導し、最後に鮮やかな逆転劇を見せる手法は、サスペンス映画の醍醐味を凝縮したものです。
登場人物たちが織りなすウィットに富んだ会話劇と、バイオレンス描写の絶妙なバランス、そして何より「復讐」を単なる暴力の連鎖ではなく、ある種の「清算」として描き切った点が、この作品を唯一無二のエンタテインメントへと押し上げました。


