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嘆きの天使 Der blaue Engel 1930 |キャスト・あらすじ【ネタバレ】| マレーネ・ディートリッヒ

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運命を狂わせる歌声。厳格な教授が落ちた、恋という名の地獄

真面目な老教授が、キャバレーの歌姫の魔力に溺れ、地位も名誉も失っていく悲劇。マレーネ・ディートリヒの冷たくも妖艶な美しさが、一人の男の人生を徹底的に破壊する。

嘆きの天使
Der blaue Engel
(ドイツ 1930)

[製作] エリック・ポマー
[監督] ジョセフ・フォン・スタンバーグ
[原作・脚本] ハインリッヒ・マン/カール・ザックメイヤー/カール・フォルモラー/ロバート・リーブマン/ジョセフ・フォン・スタンバーグ
[音楽] フリードリヒ・ホランダー
[撮影] ギュンター・リッタウ/ハンス・シュネーバーガー
[ジャンル] 恋愛/ドラマ

キャスト

エミール・ヤニングス (エマヌエル・ラート教授)

マレーネ・ディートリッヒ
(ローラ・ローラ)

クルト・ゲロン (マジシャン)
ローザ・ヴァレッティ (マジシャンの妻)
ハンス・アルバーズ (マゼッパ)
ラインホールド・バーント (ピエロ)

ストーリー

厳格で生徒から恐れられている高校教師のラート教授(エミール・ヤニングス)は、生徒たちが通い詰めているキャバレー「嘆きの天使」へ乗り込む。しかし、そこで歌い踊る妖艶な歌姫ローラ(マレーネ・ディートリッヒ)を一目見た瞬間、彼はその魅力に魂を奪われてしまう。

ラートは毎夜のように店に通い詰め、ついに学校を解雇されるが、迷うことなくローラと結婚し、彼女の巡業一座に加わる。しかし、かつての威厳は消え失せ、彼は一座の見世物として「道化師」にまで身を落とす。

数年後、一座はラートの故郷に戻ってくる。かつての教え子たちの前で、屈辱的な道化を演じさせられるラート。一方、ローラはすでに彼への興味を失い、別の男と愛を囁き合っていた。嫉妬と絶望に狂ったラートは、かつて自分が教鞭を執った教室に忍び込み、机にしがみついたまま孤独に息を引き取る。

エピソード

伝説の衣装
ディートリッヒがトップハットを被り、脚を露出してピアノの上で歌う姿は、映画史上最も有名なアイコンの一つとなりました。

二つの言語で撮影
当時は吹き替え技術が未熟だったため、ドイツ語版と英語版の二つのバージョンが、同じキャストとセットで同時に撮影されました。

ディートリヒの抜擢
当時無名に近かった彼女を、監督のジョセフ・フォン・スタンバーグが強硬に推薦しました。彼女の冷淡で気だるげな歌声が、物語の退廃的な雰囲気を決定づけました。

名優ヤニングスの影
アカデミー賞の初代主演男優賞を受賞した大スター、エミール・ヤニングスが主演でしたが、映画公開後はディートリッヒのあまりの輝きに、彼の影が薄くなってしまったと言われています。

「また恋に落ちて」
劇中でローラが歌う『Ich bin von Kopf bis Fuß auf Liebe eingestellt(また恋に落ちて)』は、世界的な大ヒット曲となり、ディートリッヒの代名詞となりました。

ナチスとの関係
後にナチスはこの作品を「退廃的」として上映禁止にしました。一方、ディートリッヒ自身はナチズムに反対し、アメリカへ亡命することになります。



まとめ:作品が描いたもの

本作は、人間の持つ「理性の脆さ」と「欲望の残酷さ」を容赦なく描き出しています。規律と教養を象徴するラート教授が、本能を象徴するローラによって崩壊していく過程は、当時のドイツ社会が抱えていた不安定な空気感とも重なります。

ローラという女性は、決して悪女(ファム・ファタール)としてラートを騙したわけではありません。彼女はただ自分の本能に忠実に生きていただけですが、その圧倒的な存在感自体が、弱い男にとっては毒となってしまったのです。愛の甘さよりも、その後に残る虚無感と惨めさを強烈に焼き付ける、至極のメロドラマです。

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