PR

錨を上げて Anchors Aweigh 1945 |キャスト・あらすじ【ネタバレ】

ローレライ@洋画愛好家をフォローする

夢とリズムが弾けるハリウッド、実写とアニメの魔法が溶け合う。ジーン・ケリーとフランク・シナトラ、伝説のデュエット。

休暇でハリウッドにやってきた二人の海兵。一人は恋に奥手な真面目青年、もう一人は自信満々の踊り子。歌手を夢見る女性との出会いが、歌とダンスに彩られた大騒動を巻き起こす。ジーン・ケリーとネズミのジェリーが共演する歴史的名シーンは、映画の魔法そのもの。

錨を上げて
Anchors Aweigh
(アメリカ 1945)

[製作] ジョー・パスターナック
[監督] ジョージ・シドニー
[原作] ナタリー・マーシン
[脚本] イザベル・レナー
[撮影] ロバート・プランク/チャールズ・ボイル
[音楽] ジョージ・ストール
[ジャンル] ミュージカル/コメディ/アドベンチャー
[受賞] アカデミー賞 作曲賞

キャスト

フランク・シナトラ
(クラレンス・ドゥーリトル(ブルックリン))

ジーン・ケリー
(ジョセフ・ブレイディ)

キャスリン・グレイソン (スーザン・アボット)
ホセ・イトゥービ (本人)

ディーン・ストックウェル
(ドナルド・マーティン)

パメラ・ブリットン (少女)
ラグス・ラグランド (警官)
カルロス・ラミレス (カルロス)

受賞・ノミネートデータ

受賞年部門結果
1946第18回アカデミー賞ミュージカル映画音楽賞(ジョージ・ストール)受賞
1946第18回アカデミー賞作品賞ノミネート
1946第18回アカデミー賞主演男優賞(ジーン・ケリー)ノミネート
1946第18回アカデミー賞撮影賞(カラー:C・ボイル、R・プランクリ)ノミネート
1946第18回アカデミー賞歌曲賞(「I Fall in Love Too Easily」)ノミネート

評価

MGMミュージカルの黄金期を象徴する、明るく贅沢な娯楽大作です。若きフランク・シナトラの甘い歌声と、ジーン・ケリーのダイナミックなダンスが完璧なコントラストを描き、戦後の観客を魅了しました。

特に、アニメーションの「トムとジェリー」のジェリーとケリーが一緒に踊るシーンは、当時の最高技術を駆使した革命的な演出として映画史に刻まれています。ジョージ・ストールの音楽は、クラシックからポピュラーソングまでを巧みに融合させ、オスカーの栄冠に輝きました。


あらすじ:ハリウッドの空の下、恋のステップ

海軍の功労者であるジョセフ(ジーン・ケリー)と、シャイな相棒クラレンス(フランク・シナトラ)は、4日間の休暇を得てハリウッドへ。クラレンスに女の子を紹介してやろうと張り切るジョセフだったが、ひょんなことから歌手志望の美しい女性スーザン(キャスリン・グレイソン)と出会う。

彼女を売り込むために、ジョセフは「自分は有名指揮者ホセ・イトゥルビの友人だ」と嘘をついてしまう。嘘を本当にするために奔走する二人だったが、いつしかジョセフもスーザンに惹かれていく。さらに、クラレンスも別の女性と出会い、恋の四角関係はハリウッドの撮影所を舞台に、賑やかなメロディと共に加速していく。

数々の誤解やドタバタ劇の末、本物のホセ・イトゥルビが登場。彼は快くスーザンの歌声を聴き、その才能を認めてオーディションの機会を与える。

嘘がバレて窮地に陥ったジョセフだったが、スーザンへの誠実な想いが伝わり、二人は結ばれる。一方、クラレンスも自分の殻を破り、新しい恋人と幸せを掴む。最後は、再び任務に戻る二人の海兵が、晴れやかな表情で「錨を上げて」の旋律に乗せて行進し、物語は大団円を迎える。


エピソード・背景

  • アニメとの共演
    ジェリーとのダンスシーンは、本来ウォルト・ディズニーのミッキーマウスとの共演を希望していましたが断られ、MGM自社のキャラクターである「トムとジェリー」のジェリーが起用されました。
  • ジーン・ケリーの初ノミネート
    この作品でケリーは、ダンサーとしてだけでなく、俳優としても高く評価され、初のアカデミー主演男優賞ノミネートを果たしました。
  • シナトラの甘い声
    劇中で歌われる「I Fall in Love Too Easily(恋に落ちやすい私)」は、シナトラの初期の代表曲となり、ジャズのスタンダードとして今も愛されています。
  • ホセ・イトゥルビの本人役
    当時、実際に高名なピアニスト・指揮者だったホセ・イトゥルビが本人役で出演。クラシックの名曲を披露し、作品に格調高さを加えました。
  • チャールズ・P・ボイルのテクニカラー
    燦々と降り注ぐカリフォルニアの太陽と、鮮やかな海軍の制服を、ボイルは目の覚めるような色彩で捉えました。
  • キャスリン・グレイソンのソプラノ
    彼女の透き通るような高い歌声は、ポピュラー音楽中心の劇中にあって、MGMらしい上品なアクセントとなりました。
  • 戦後への希望
    1945年という公開年は、戦争の終わりと平和への喜びが重なり、この明るい物語は人々の心を大いに励ましました。

まとめ:作品が描いたもの

『錨を上げて』は、夢の工場ハリウッドが、文字通り「夢」を形にして観客に届けた作品です。アニメーションと実写の融合、歌とダンスの饗宴、そして瑞々しい青春の恋。そこには、映画という媒体が持つ「不可能を可能にする力」が溢れています。

物語そのものはシンプルですが、ジーン・ケリーが体現する肉体美と、フランク・シナトラが響かせる繊細な情感は、後のミュージカル映画の方向性を決定づけました。本人の映画人生は、こうした革新的な試みを通じて、観客を日常から解放し、心躍るようなエンターテインメントの真髄を銀幕に刻みつけたものと言えるでしょう。


〔シネマ・エッセイ〕

青い海軍の制服を身に纏い、ジーン・ケリーがアスファルトを叩くステップ。そのリズムに合わせて、フランク・シナトラが照れくさそうに微笑む。チャールズ・P・ボイルが捉えるテクニカラーの輝きの中で、二人はまるでおもちゃ箱をひっくり返したような自由さを謳歌しています。

最も忘れがたいのは、やはりジェリーとのダンスでしょう。二次元のキャラクターと三次元の人間が、鏡を見るように完璧に揃ってステップを踏む。ジョージ・ストールの音楽がその魔法に拍動を与え、私たちは理屈を忘れてその光景に見入ってしまいます。それは、映画が魔法を信じさせてくれた時代の、最も幸福な一瞬です。

休暇が終わり、二人が再び艦隊へと戻っていくラストシーン。彼らの足取りは、これから始まる新しい時代への期待に満ちています。映画が終わっても、私たちの心には「錨を上げて」の軽快なブラスが鳴り響き、どんな困難な時でも、一歩踏み出せばそこがステージになるのだと、勇気を与えてくれるのです。

タイトルとURLをコピーしました