あれ
It
(アメリカ 1927)
[製作] クラレンス・G・バジャー/ケヴィン・ブラウンロー/デヴィッド・ギル/エリノア・グリン/ジェシー・L・ラスキー/B・P・シュルバーグ/パトリック・スタンベリー/アドルフ・ズーカー
[監督] クラレンス・G・バジャー/ジョセフ・フォン・スターンバーグ
[原作・脚本] エリノア・グリン/ホープ・ローリング/ルイス・D・ライトン/ジョージ・マリオン・ジュニア
[音楽] カール・デイヴィス/ウィリアム・P・ペリー
[撮影] H・キンリー・マーティン
[ジャンル] 恋愛/コメディ
キャスト
クララ・ボウ
(ベティ・ルー・スペンス)
アントニオ・モレノ (サイラス・ウォルサム・ジュニア)
ウィリアム・オースティン (モンティ・モンゴメリー)
プリシラ・ボナー (モリー)
ジャクリーン・ガッズドン (アデラ・ヴァン・ノーマン)
ジュリア・スウェイン・ゴードン (ヴァン・ノーマン夫人)
エリノア・グリン (本人)
ゲイリー・クーパー
(リポーター)
概要
『あれ(It)』は、1927年公開のサイレント映画で、クララ・ボウが主演を務めた作品。エリノア・グリンの短編小説を原作に、「It」という言葉が「魅力」「魅惑」といった意味を持つスラングとして広まるきっかけとなった。現代的な女性像を描き、クララ・ボウを一躍スターに押し上げたロマンティックコメディ。
ストーリー
シカゴの大手デパートで売り子として働くベティ・ルー・スピンドルは、明るく自信に満ちた女性。彼女の周囲には常に笑顔が溢れ、仕事仲間からも顧客からも愛される存在だ。一方で、彼女は上流階級出身の若いデパートのオーナー、サイラス・W・ハンドンに密かに恋心を抱いている。サイラスは控えめで真面目な性格で、ベティの大胆で自由奔放な性格とは対照的。しかし、彼はまだベティの存在に気づいていない。
ベティはサイラスに近づくために、一計を案じる。友人のアデリーンが彼女に雑誌の記事を見せる。「It」という言葉が、セックスアピールや特別な魅力を持つ人々を指すとされている記事で、これがベティの自信をさらに後押しする。彼女は「自分にはItがある」と信じ、行動を起こす決意をする。
ある日、サイラスが部下たちとデパートの売り場を視察に訪れる。ベティはその機会を利用し、魅力的な笑顔と親しみやすい態度で彼の目を引くことに成功する。サイラスは彼女の自信と魅力に心を奪われるが、彼には婚約者がいるという事実が2人の間に影を落とす。婚約者は、上流階級出身の女性で、洗練されているが冷たく形式的な人物だ。
ベティとサイラスの距離は徐々に縮まり、彼らはデパートのイベントを通じて交流を深める。一方で、サイラスの婚約者が嫉妬心を抱き、ベティを妨害しようと画策する。さらに、ベティの背景を調査し、彼女の地位や出自を理由にサイラスとの交際を阻止しようとする。
物語の中盤では、誤解やトラブルが巻き起こる。ベティがサイラスの婚約者と口論になり、彼女の行動が誤解されてサイラスから距離を置かれてしまう。しかし、ベティは自分の信念を曲げず、持ち前の明るさと機転で状況を乗り越えようとする。彼女の行動は周囲の人々にも影響を与え、サイラスの心を再び動かす。
エピソード
- 「Itガール」という用語は、この映画に由来する。クララ・ボウはこの映画の成功により、「Itガール」として一躍有名になり、1920年代の象徴的な存在となった。
- 映画の原作はエリノア・グリンの短編小説「It」であり、彼女の作品は映画の成功を後押しした。
- クララ・ボウは、映画の成功によって大スターとなり、1920年代のハリウッドのトップ女優の一人となった。彼女のカリスマ性と魅力が映画の人気を支えた。
- クラレンス・G・バジャー監督は、クララ・ボウの魅力を最大限に引き出し、映画全体のトーンとテンポを巧みにコントロールした。
- 映画は、1920年代のアメリカの社交界やライフスタイルを反映しており、その時代の文化や価値観を映し出している。
- クララ・ボウが映画で着用した衣装やスタイルは、多くの若い女性に影響を与え、彼女のファッションは1920年代のトレンドとなった。
- 映画はパラマウント・ピクチャーズによって制作され、同社の成功に大きく貢献した。
- サイレント映画の魅力とその表現力を最大限に活用しており、視覚的なストーリーテリングが非常に効果的である。
- 映画は公開後、すぐに大ヒットし、クララ・ボウの名声をさらに高めた。
- クララ・ボウは映画の成功と共にプライベートでも注目を浴び、その私生活も大きな話題となった。彼女のカリスマ性はスクリーン内外で輝いていた。
「あれ」は、その明快なストーリー、美しい映像、そしてクララ・ボウの魅力で観客を魅了し続けている。この映画は、1920年代のハリウッドの黄金時代を象徴する作品であり、今なお多くの人々に影響を与え続けている。
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