PR

デッドマン Dead Man 1995 |キャスト・あらすじ【ネタバレ】| ジョニー・デップ | ジム・ジャームッシュ

ローレライ@洋画愛好家をフォローする

デッドマン
Dead Man
(アメリカ 1995)

[製作] カレン・コッチ/デメトラ・J・マクブライド
[監督] ジム・ジャームッシュ
[脚本] ジム・ジャームッシュ
[撮影] ロビー・ミュラー
[音楽] ニール・ヤング
[ジャンル] ウエスタン/ドラマ
[受賞]
ヨーロッパ映画賞 五大陸賞
NY批評家協会賞 撮影賞

キャスト

ジョニー・デップ
(ウィリアム・‘ビル’・ブレイク)

ゲイリー・ファーマー (ノーバディ)

ランス・ヘンリクセン
(コール・ウィルソン)

マイケル・ウィンコット (コンウェイ・トウィル)
ミリー・アヴィタル (セル・ラッセル)
イギー・ポップ (サルヴァトーレ・‘サリー’・ジェンコ)

ユージーン・バード (ジョニー・‘ザ・キッド’・ピケット)
ミシェル・スラッシュ (ノーバディの彼女)
ジミー・レイ・ウィークス (マーヴィン)
マーク・ブリングルソン (リー)

ガブリエル・バーン
(チャールズ・ラドロー・‘チャーリー’・ディキンソン)

ジョン・ハート
(ジョン・ショルフィールド)

ロバート・ミッチャム
(ジョン・ディキンソン)

ギビー・ヘインズ (男)

ビリー・ボブ・ソーントン
(ビッグ・ジョージ・ドラコリアス)

ジャレッド・ハリス
(ベンモント・テンチ)




ストーリー

19世紀後半。会計士の仕事を得るため、東部から西部の果ての町ディキンソンへとやってきた青年ウィリアム・ブレイク。しかし、ようやく辿り着いた工場では既に欠員が埋まっており、街を彷徨う中で一人の女性と出会う。運悪く彼女の元恋人との修羅場に巻き込まれたブレイクは、銃撃戦の末に相手を殺害し、自らも胸に深く弾丸を受けて逃走する。

瀕死の状態で森を彷徨う彼は、イギリスを憎む孤独な先住民ノーボディ(ゲイリー・ファーマー)に救われる。ノーボディは、ブレイクの名を聞くと、彼を敬愛するイギリスの詩人「ウィリアム・ブレイク」の生まれ変わりだと信じ込み、聖なる旅へと連れ出す。一方で、工場の支配者ディキンソンは凄腕の賞金稼ぎたちを放ち、ブレイクの首を執拗に狙わせる。

逃亡の旅の中、臆病な会計士だったブレイクは、次々と襲いかかる追手を射殺し、次第に冷徹なアウトローへと変貌していく。しかし、胸の弾丸が死を招き寄せ、彼の生命は確実に削られていった。旅の終焉、ノーボディは彼を「鏡の海」へと導く。カヌーに乗せられ、現世を離れて霊界へと流されていくブレイクを見送りながら、ノーボディは追手と相撃ちになり倒れる。ブレイクを乗せた小舟は、静かに大海原へと消えていった。


エピソード

ニール・ヤングの即興演奏
音楽を担当したニール・ヤングは、完成した映画の映像をスタジオで観ながら、一度も止めることなく即興でギターを弾ききって録音しました。その生々しく不協和音を孕んだサウンドが、作品の瞑想的な空気感を作り上げています。

詩人ウィリアム・ブレイク
主人公と同名の詩人ブレイクの詩が、劇中の台詞に多く引用されています。ジャームッシュ監督は、18世紀の詩人の思想とアメリカ西部の荒野を衝突させることで、単なる西部劇を超えた精神世界を描き出しました。

徹底したモノクロ映像の拘り
撮影監督ロビー・ミューラーによるコントラストの強いモノクロ映像は、19世紀の銀塩写真を彷彿とさせます。カラーを排除することで、生と死の境界が曖昧な「夢の中」のような質感を生み出すことに成功しました。

豪華なカメオ出演者たち
伝説的な俳優ロバート・ミッチャムの遺作となったほか、イギー・ポップやジョン・ハート、ビリー・ボブ・ソーントンなど、非常に個性的な俳優たちが奇妙な脇役として次々に登場し、旅に彩りを添えています。

先住民文化への敬意
本作は、従来の西部劇のようなステレオタイプではない先住民像を描いています。ノーボディが話す言葉や儀式、文化背景などは綿密に調査されており、先住民コミュニティからも高く評価されるリアルな描写となっています。

ジョニー・デップの静かな変容
劇中でデップが見せる、世間知らずの青年が死を悟った「デッドマン(死者)」の顔へと変わっていく過程は圧巻です。セリフを削ぎ落とし、眼差しだけで変化を表現する彼の演技が、作品の詩情を支えています。


まとめ:作品が描いたもの

本作は、死にゆく者が「霊界」へと至るまでの過酷な遍歴を綴った、魂のロードムービーです。銃弾を胸に受けた瞬間から、主人公はすでに生者の世界を離れた存在となり、荒野での逃亡劇はそのまま「死の受容」へのプロセスへと繋がっていきます。

暴力に満ちたアメリカの歴史を背景にしながらも、物語は次第に物質的な世界を離れ、神話的で幻想的な領域へと溶け込んでいきます。カヌーで海へと流される結末は、終わりではなく生命の循環や回帰を感じさせ、観る者を深い静寂へと誘います。白と黒の階調の中で描かれるのは、肉体の滅びと引き換えに研ぎ澄まされていく精神の美しさであり、西洋的な論理を超越した、果てしない解放の物語です。

タイトルとURLをコピーしました