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ミニヴァー夫人 Mrs. Miniver 1942

1940

ミニヴァー夫人 (字幕版)

ミニヴァー夫人 (字幕版)

ミニヴァー夫人
Mrs. Miniver

(アメリカ 1942)

[製作] シドニー・フランクリン/ウィリアム・ワイラー
[監督] ウィリアム・ワイラー
[原作] ジャン・ストルーザー
[脚本] アーサー・ウィンペリス/ジョージ・フロシェル/クローディン・ウエスト
[撮影] ジョゼフ・ルッテンバーグ
[音楽] ハーバート・ストザート
[ジャンル] ドラマ/恋愛/戦争
[受賞]
アカデミー賞 主演女優賞(グリア・ガーソン)/助演女優賞(テレサ・ライト)/撮影賞/監督賞/作品賞/脚本賞


キャスト

グリア・ガーソン
(ケイ・ミニヴァー)

ウォルター・ピジョン (クレム・ミニヴァー)

テレサ・ライト
(キャロル・ベルドン)

デイム・メイ・ホィッティ (ベルドン夫人)
レジナルド・オーウェン (フォーリー)
ヘンリー・トレイヴァーズ (バラード)
リチャード・ネイ (ヴィン・ミニヴァー)
クリストファー・セヴァーン (トビー・ミニヴァー)
ブレンダ・フォーブス (グラディス)
クレア・サンダース (ジュディ・ミニヴァー)



ストーリー

『ミニヴァー夫人』は、1942年に公開されたアメリカの戦時ドラマ映画。監督はウィリアム・ワイラーで、主演はグリア・ガーソンとウォルター・ピジョン。映画は、第二次世界大戦中のイギリスで、平凡な主婦ケイ・ミニヴァーとその家族が戦争によってどのように変化し、試練に立ち向かうかを描いている。映画は戦争時の英国民の不屈の精神を象徴し、アメリカでも戦意高揚のプロパガンダ映画として大きな影響を与えた。

物語は、1939年のイギリスの小さな村で、ミニヴァー家が平穏な日常を送っているところから始まる。ケイ・ミニヴァー(グリア・ガーソン)は、夫のクレム(ウォルター・ピジョン)と三人の子供たちとともに暮らしている。しかし、戦争が勃発し、長男ヴィン(リチャード・ネイ)は空軍に入隊することを決意する。

村の名士レディ・ベルドン(メイ・ウィッティ)とのバラのコンテストを巡る小さな争いも、戦争の影響で大きな意味を持つようになる。やがて、ケイは自宅で墜落したドイツ軍のパイロットと対峙し、彼の人間性に触れることで、戦争が持つ無情さを深く感じる。

中盤では、空襲が激化し、ミニヴァー家も爆撃によって被害を受ける。ケイとクレムは避難所で夜を明かし、息子ヴィンの安全を祈りつつも、戦争の現実に立ち向かう決意を新たにする。

エピソード

アカデミー賞の受賞:
『ミニヴァー夫人』は、第15回アカデミー賞で作品賞を含む6部門で受賞した。特に、グリア・ガーソンは主演女優賞を受賞し、6分間に及ぶ受賞スピーチが話題となった。

プロパガンダ映画としての影響:
この映画は、イギリスの戦争努力を支援するために制作され、ウィンストン・チャーチルは「100隻の戦艦に匹敵するプロパガンダ」と賞賛した。また、フランクリン・D・ルーズベルト大統領は、映画内の説教シーンを翻訳し、占領地域に向けて空中投下させたというエピソードがある。

グリア・ガーソンのキャスティング:
当初、ノーマ・シアラーがケイ・ミニヴァー役の第一候補だったが、彼女が断ったため、グリア・ガーソンが選ばれた。ガーソン自身も最初はこの役を引き受けることに消極的だったが、最終的に彼女はこの映画で大成功を収めた。

撮影中の逸話:
監督のウィリアム・ワイラーは、映画のリアリズムを追求するため、撮影現場で俳優たちに厳しい指導を行った。彼は撮影の最中に台本を書き直すことも多く、ドイツ軍パイロットとのシーンは撮影の前夜に変更されたという。

実際の戦争との乖離:
映画の制作後、ワイラーがイギリスに赴き、実際の戦争状況を目の当たりにした時、自分の作品が戦時のリアリズムをロマンチックに描きすぎていたことに失望したという。

グリア・ガーソンとリチャード・ネイの結婚:
グリア・ガーソンは共演したリチャード・ネイと後に結婚したが、10歳以上の年齢差があったため、当時はゴシップ誌で大いに取り上げられた。

戦争中の制作:
『ミニヴァー夫人』は、アメリカがまだ戦争に参戦していない1941年に製作が始まったが、撮影中に真珠湾攻撃が起こり、米国の参戦が決まった。このタイミングの影響で、映画はより強い戦意高揚のメッセージを持つようになった。

花のシンボリズム:
映画内で象徴的に扱われる「ミニヴァー夫人のバラ」は、逆境に立ち向かう力と希望を象徴しており、戦争の中でのイギリス国民の精神を表している。

興行成績:
映画は公開されるとすぐに大ヒットし、1940年代の最大のヒット作の一つとなった。特にアメリカ国内での成功は、戦争中の国民に大きな影響を与えた。



『ミニヴァー夫人』は、その時代背景とプロパガンダ映画としての目的を超えて、家族ドラマとしての強さと深い感情的な影響力を持っている。ウィリアム・ワイラーの演出は、戦時下のイギリスの家庭生活をリアルに描き出し、登場人物たちの静かな勇気と人間性を際立たせている。特にグリア・ガーソンの演技は、彼女のキャリアの中でも最高のものとされ、多くの批評家や観客に深い感動を与えた。

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