ダークナイト
The Dark Knight
(アメリカ・イギリス 2008)
[製作総指揮] ケヴィン・デ・ラ・ノイ/ベンジャミン・メルニカー/トーマス・タル/マイケル・E・ウスラン
[製作] クリストファー・ノーラン/ローン・オーリンズ/チャールズ・ローブン/エマ・トーマス/ジョーダン・ゴールドバーグ/フィリップ・リー
[監督] クリストファー・ノーラン
[原作] ボブ・ケイン
[ストーリー] クリストファー・ノーラン/デヴィッド・S・ゴイヤー
[脚本] ジョナサン・ノーラン/クリストファー・ノーラン
[撮影] ウォーリー・フィスター
[音楽] ジェームズ・ニュートン・ハワード/ハンス・ジマー
[ジャンル] アクション/クライム/スリラー
[シリーズ]
バットマン(1989)
バットマン・リターンズ(1992)
バットマン・フォーエヴァー(1995)
バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲!(1997)
バットマン ビギンズ(2005)
ダークナイト(2008)
ダークナイト ライジング(2012)
バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生(2016)
スーサイド・スクワッド(2016)
レゴバットマン ザ・ムービー(2017)
ジャスティス・リーグ(2017)
ジョーカー(2019)
ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット(2021)
THE BATMAN-ザ・バットマン-(2022)
ザ・フラッシュ(2023)
ザ・バットマン2(2027)
The Brave and The Bold
キャスト

クリスチャン・ベール
(ブルース・ウェイン/ バットマン)

ヒース・レジャー
(ジョーカー)

アーロン・エッカート
(ハービー・デント/トゥーフェイス)

マイケル・ケイン
(アルフレッド・ペニーワース)

マギー・ジレンホール
(レイチェル・ドーズ)

ゲイリー・オールドマン
(ジェームズ・“ジム”・ゴードン)

モーガン・フリーマン
(ルシウス・フォックス)
モニーク・ガブリエラ・カーネン (アンナ・ラミレス刑事)
ニディア・ロドリゲス・テラチナ (サリロ判事)
ロン・ディーン (マイケル・ワーツ刑事)

キリアン・マーフィー
(ジョナサン・クレイン/スケアクロウ)
チン・ハン (ラウ)
マイケル・ジェイ・ホワイト (ギャンボル)
ネスター・カーボネル (アンソニー・ガルシア市長)

エリック・ロバーツ
(サルバトーレ・マローニ)
リッチー・コスター (チェチェン人ボス)

アンソニー・マイケル・ホール
(マイク・エンゲル)
キース・サラバッカ (ジェラルド・スティーヴンス刑事)
コリン・マクファーレン (ローブ市警本部長)
ジョシュア・ハート (コールマン・リース)
メリンダ・マックグロウ (バーバラ・ゴードン)
ネイサン・ギャンブル (ジェームズ・ゴードンJr.)

ウィリアム・フィクナー
(銀行支店長)
デヴィッド・ダストマルチャン (トーマス・シフ)
マイケル・ストヤノフ (ドーピー)
ベアトリス・ローゼン (ナターシャ)
ストーリー
バットマンとしてゴッサム・シティの治安を守るブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)は、誠実な地方検事ハービー・デント(アーロン・エッカート)とジム・ゴードン警部補(ゲイリー・オールドマン)と協力し、街にはびこるマフィアを一掃しようとしていた。デントこそが「光の騎士」として街の希望になると信じたブルースは、彼に街の未来を託し、自分はバットマンを引退して最愛の女性レイチェル(マギー・ジレンホール)と結ばれることを夢見ていた。しかし、マフィアの資金源を断たれた暗黒街の前に、正体不明の狂人ジョーカー(ヒース・レジャー)が姿を現した。
ジョーカーは金や権力には目もくれず、ただ社会を混沌に陥れることを目的としていた。彼はバットマンに「正体を明かさなければ市民を殺し続ける」と宣言し、次々と要人を暗殺していく。ジョーカーの魔の手はレイチェルとデントにも及び、二人を別々の場所に拘束して爆破を仕掛けた。バットマンはレイチェルを救おうと急ぐが、ジョーカーの狡猾な罠により辿り着いた先にはデントがいた。爆破によってレイチェルは命を落とし、デントは顔の左半分に深い火傷を負い、心までもが深い絶望に染まった。
ジョーカーの真の狙いは、バットマンに不殺の誓いを破らせること、そして街の希望であるデントを悪に染めることで「誰もが自分と同じ怪物になり得る」と証明することであった。ジョーカーは病院に潜入し、絶望に打ちひしがれるデントをそそのかして、復讐の権化「トゥーフェイス」へと変貌させた。デントはコインの裏表で人の生死を決める冷酷な殺人鬼となり、ゴードンの家族を拉致して復讐を果たそうとした。
バットマンはゴードンの家族を救うためにデントと対峙し、揉み合いの末にデントを転落死させた。ジョーカーは捕らえられたものの、街の希望であったデントが殺人鬼として死んだことが公になれば、市民は希望を失い、マフィアを一掃した法制度も崩壊してしまう事態となった。バットマンは街の秩序を守るため、デントが犯したすべての罪を自分が被り、自らが「人殺しの犯罪者」として追われる道を選んだ。
ゴードンは苦渋の決断を下し、バットマンに銃口を向ける警察犬を放った。ブルースはバットマンとして闇の中へと消えていき、ゴードンの息子が「なぜ彼は逃げるの?」と問いかける。ゴードンは「彼はヒーローではない。我々を見守る静かなる守護者、闇の騎士(ダークナイト)なのだから」と答え、バットマンという存在の真の孤独と高潔さを称えたのであった。
受賞・ノミネートデータ
- 第81回アカデミー賞(2009年)
- 受賞:助演男優賞(ヒース・レジャー)
- 受賞:音響編集賞
- ノミネート:撮影賞、美術賞、編集賞、メイクアップ賞、音響録音賞、視覚効果賞
- 第66回ゴールデングローブ賞
- 受賞:助演男優賞(ヒース・レジャー)
- 第62回英国アカデミー賞(BAFTA)
- 受賞:助演男優賞(ヒース・レジャー)
- 第15回全米映画俳優組合賞(SAG)
- 受賞:助演男優賞(ヒース・レジャー)
エピソード・背景
- ヒース・レジャーの伝説的な役作り
ジョーカー役を演じるにあたり、ヒースは6週間ホテルに引きこもり、ジョーカーの声や独特の笑い方、不気味な癖(唇をなめる等)を徹底的に作り上げました。彼の急逝後、アカデミー賞助演男優賞が授与されたことは、映画史における伝説となりました。 - IMAXカメラの本格導入
長編映画として初めて、一部のシーンにIMAXカメラが使用されました。冒頭の銀行強盗シーンの圧倒的な解像度と迫力は、後の大作映画の撮影手法に大きな影響を与えました。 - 実写によるトラック横転シーン
劇中でトレーラーが縦に一回転するシーンは、CGではなく実際にシカゴの路上で仕掛けを爆発させて撮影されました。ノーラン監督の「実写への執念」が象徴されるシーンの一つです。 - ジョーカーのメイクの秘密
本作のジョーカーのメイクは、あえて「自分で塗ったかのような」不揃いで汚れたデザインが採用されました。これはヒース・レジャー自身のアイデアも取り入れられており、従来の端正な悪役像を打ち壊しました。 - マイケル・ケインがセリフを忘れた瞬間
ブルースの執事アルフレッドを演じたマイケル・ケインは、撮影現場で初めてヒースのジョーカーを見た際、そのあまりの恐怖に自分のセリフを忘れて立ち尽くしてしまったというエピソードがあります。 - バットポッドの操作性
独特な形状をしたバイク「バットポッド」は、操作が極めて困難であり、専属のスタントライダーだけが乗りこなすことができました。劇中の激しいアクションは、高度な技術の賜物です。 - 病院爆破シーンの即興(?)
病院が爆破されるシーンで、ジョーカーが起爆スイッチを何度も押す仕草は、実は一部の爆破が予定より遅れたためのアドリブだったと言われていますが、実際には綿密に計算された演出であったとも語られています。 - モーガン・フリーマンとガジェット
ルシアス・フォックス役を演じたモーガン・フリーマンは、バットマンのハイテク装備を「現実的な軍用技術」として紹介する役割を担いました。彼の落ち着いた演技が、荒唐無稽なヒーロー映画にリアルな重厚感を与えました。
まとめ:作品が描いたもの
本作が描いたのは、善と悪の単純な対立ではなく、「社会の秩序がいかに脆いか」という根源的な恐怖です。ジョーカーという「混沌の使者」を通じて、人間が極限状態でどのような選択をするのかという倫理的なジレンマを観客に突きつけました。
「光の騎士」デントが墜ち、「闇の騎士」バットマンが罪を背負うというラストは、ヒーロー映画史上最も切なく、かつ高潔な結末の一つです。正義とは何か、そして真のヒーローとはどうあるべきか。その問いを現代社会に鋭く投げかけた本作は、映画史に残る傑作としての地位を揺るぎないものにしました。


