シャルル・ボワイエ
Charles Boyer

1899年8月28日、フランス生まれ。
1978年8月26日、アメリカ・アリゾナ・パラダイスバレーで死去(睡眠薬自殺)。享年78歳。
ソルボンヌ大学で哲学を専攻後、コンセルバトワールで演技を学ぶ。
フランス映画界を代表する美男スター。
生涯唯一の妻(イギリス人女優)をがんで亡くした2日後、後を追った。
今回は、銀幕が生んだ最高の「フランスの恋人」、シャルル・ボワイエをご紹介します。
彼は、甘く低い声と憂いを帯びた眼差しで、1930年代から40年代にかけてのハリウッドを虜にした正統派の二枚目スターです。単なるプレイボーイ役にとどまらず、洗練された知性と、時にゾッとするような狂気を演じ分ける確かな演技力を持ち合わせていました。フランス人としての誇りを持ち続け、文化の架け橋としても尽力した彼の、気品に満ちた生涯を振り返ります。
溜息が出るほどの気品。シャルル・ボワイエ、銀幕に咲いた貴公子の光と影
シャルル・ボワイエの魅力は、何といってもその「ベルベット・ヴォイス」と呼ばれた魅力的な声です。
彼は、フランスで舞台俳優として頭角を現した後、ハリウッドに渡り、異国情緒あふれる大人の男を演じて爆発的な人気を博しました。しかし、彼自身は単なる二枚目として消費されることを嫌い、常に複雑な内面を持つ役柄を追求し続けました。
私生活では一人の女性を生涯愛し抜き、華やかなハリウッドにあって極めて誠実で家庭的な人物であったことも、彼の格調高いイメージを裏打ちしています。
- ✦ PROFILE & BACKGROUND
- 1. 究極のメロドラマ:邂逅(めぐりあい)
- 2. 異国情緒漂うロマンス:カスバの恋
- 3. 心理的恐怖の傑作:ガス燈
- 📜 シャルル・ボワイエを巡る珠玉のエピソード集
- 📝 まとめ:愛に生き、愛に殉じた永遠の紳士
- 1920 21歳
- 1921 22歳
- 1922 23歳
- 1928 29歳
- 1929 30歳
- 1930 31歳
- 1931 32歳
- 1932 33歳
- 1933 34歳
- 1934 35歳
- 1935 36歳
- 1936 37歳
- 1937 38歳
- 1938 39歳
- 1939 40歳
- 1940 41歳
- 1941 42歳
- 1942 43歳
- 1943 44歳
- 1945 46歳
- 1946 47歳
- 1948 49歳
- 1951 52歳
- 1952 53歳
- 1953 54歳
- 1955 56歳
- 1956 57歳
- 1957 58歳
- 1958 59歳
- 1961 60歳
- 1963 64歳
- 1965 66歳
- 1966 67歳
- 1967 68歳
- 1969 70歳
- 1973 74歳
- 1974 75歳
- 1976 77歳
✦ PROFILE & BACKGROUND
- 本名:シャルル・ボワイエ
- 生涯:1899年8月28日 ~ 1978年8月26日(享年78歳)
- 出身:フランス・ロット県フィジャック
- 背景:ソルボンヌ大学で哲学を学んだ後、パリ音楽院で演劇を専攻。フランス映画界でスターとなった後、ハリウッドに招かれました。第二次世界大戦中は、故郷フランスを支援するために「フレンチ・リサーチ・ファンデーション」を設立するなど、文化人としても重きをなしました。
- 功績:アカデミー主演男優賞に4回ノミネート。1942年には、フランス文化への貢献によりアカデミー名誉賞を受賞しています。
1. 究極のメロドラマ:邂逅(めぐりあい)
1939年の名作。豪華客船で出会った男女の、切なくも美しい恋の行方を描いた物語です。 アイリーン・ダンを相手に、ボワイエが見せる大人の色気と、再会を誓う真摯な姿は、当時の女性客を熱狂させました。後に何度もリメイクされることになる本作ですが、ボワイエの持つ独特の気品こそが、この物語を不朽の古典へと高めたと言えるでしょう。
2. 異国情緒漂うロマンス:カスバの恋
ジャン・ギャバン主演のフランス映画『望郷』をハリウッドでリメイクした作品。ボワイエはアルジェリアのカスバに潜伏するお尋ね者ペペ・ル・モコを演じました。ギャバンの無骨な魅力とは対照的な、ボワイエらしい洗練された哀愁が漂う演技はアメリカで大絶賛され、彼の代表的なイメージを決定づけました。
3. 心理的恐怖の傑作:ガス燈
イングリッド・バーグマン演じる妻を、精神的に追い詰めていく冷酷な夫を怪演。 それまでの甘い恋人のイメージを一変させ、冷徹な知性を持って計算高く犯罪を遂行する男を演じ切り、その演技力の幅広さを証明しました。現在でも心理的虐待を指す「ガスライティング」という言葉の語源となった、映画史に残る重要作です。
📜 シャルル・ボワイエを巡る珠玉のエピソード集
1. 「カモン・ウィズ・ミー・トゥ・ザ・カスバ」の謎
彼の代名詞となったこの名台詞ですが、実は劇中では一度も言っていません。アニメのパロディなどで広まったこのフレーズが、あまりにもボワイエのイメージにぴったりだったため、本人の台詞として定着してしまったのです。彼はこの誤解を面白がっていたといいます。
2. 知性派の読書家
哲学を専攻していたボワイエは、ハリウッドでも屈指の読書家として知られていました。撮影の合間も常に本を手放さず、共演者やスタッフと文学や政治について語り合うことを好みました。その内面から溢れ出る知性が、役柄に深みを与えていました。
3. 英語のアクセントを「武器」にした男
フランス語訛りの英語は、当時のアメリカ人にとって非常にセクシーに響きました。彼は努力して英語を完璧にマスターしましたが、スタジオ側からは「フランス人らしさを失わないために、わざと訛りを残してくれ」と頼まれたという逸話があります。
4. 故郷フランスへの深い愛
ナチスに占領されたフランスを案じ、私財を投じて文化保護活動を行いました。戦時中、彼はプロパガンダ映画にも出演し、自由フランスの象徴として戦う姿勢を見せました。その功績により、レジオンドヌール勲章も授与されています。
5. 完璧主義者の舞台裏
彼は自分の演技に対して非常に厳しく、納得がいくまで何度もテイクを重ねることを厭いませんでした。特に『ガス燈』での緻密な役作りは、共演者のイングリッド・バーグマンも驚嘆するほどで、彼女がオスカーを受賞した背景にはボワイエの完璧なサポートがあったと言われています。
6. パトリシア・パターソン:生涯唯一の恋
ボワイエの恋愛遍歴を語る上で欠かせないのが、イギリスのトップ女優だった妻パトリシア・パターソンです。1934年、彼女がスターとして活躍していた時期に出会い、わずか数週間の交際で電撃結婚しました。ハリウッドでは珍しく、彼女が癌で亡くなるまでの44年間、一度も浮いた噂を立てることはありませんでした。
パトリシアが亡くなったわずか2日後、ボワイエは睡眠薬を飲んで自ら命を絶つという、映画以上にドラマチックで純粋な愛を貫きました。彼女のいない世界に留まることを拒んだ、あまりにも悲しく、そしてあまりにも彼らしい愛の証明でした。
📝 まとめ:愛に生き、愛に殉じた永遠の紳士
シャルル・ボワイエは、その甘美なルックスの裏に、深い知性と揺るぎない誠実さを秘めた、真のプロフェッショナルでした。
彼は、今もなお世界中の映画ファンを魅了し続けていますが、彼自身の人生こそが、最も美しく気高い愛の物語であったと言えるでしょう。銀幕の貴公子として、そして一人の誠実な人間として、彼が残した輝きは永遠に色褪せることはありません。
[出演作品]
1920 21歳
海の人 L’homme du large
1921 22歳
Chantelouve
1922 23歳
Le Grillon du foyer
Esclave
1928 29歳
La ronde infernale
1929 30歳
Le capitaine Fracasse
1930 31歳
La barcarolle d’amour
War Nurse
1931 32歳
素晴らしき嘘 The Magnificent Lie
Le procès de Mary Dugan
1932 33歳
Tumultes
The Man from Yesterday
Red-Headed Woman
1933 34歳
I.F.1 ne répond plusMoi et L’impératrice
L’épervier
The Only Girl
La bataille
1934 35歳
The Battle
キャラバン Caravan
1935 36歳
白い友情 Private Worlds
心の痛手 Break of Hearts
上海 Shanghai
1936 37歳
砂漠の花園 The Garden of Allah
1937 38歳
歴史は夜作られる History Is Made at Night
トヴァリッチ Tovarich
1938 39歳
1939 40歳
最後の抱擁 When Tomorrow Comes
1940 41歳
凡てこの世も天国も All This, and Heaven Too
1941 42歳
裏街 Back Street
新婚第一歩 Appointment for Love
1942 43歳
1943 44歳
永遠の処女 The Constant Nymph
肉体と幻想 Flesh and Fantasy (兼製作)
ガス燈 Gaslight
1945 46歳
密使 Confidential Agent
1946 47歳
ルービッチュの小間使 クルニー・ブラウン Cluny Brown
1948 49歳
モナリザの微笑 A Woman’s Vengeance
1951 52歳
奇蹟 The First Legion
1952 53歳
幸福の時間、ビビとペギー The Happy Time
1953 54歳
東方の雷鳴 Thunder in the East
たそがれの女心 Madame de…
1955 56歳
女優ナナ Nana
蜘蛛の巣 The Cobweb
1956 57歳
幸福への招待 Paris, Palace Hotel
80日間世界一周 Around the World in Eighty Days
1957 58歳
1958 59歳
大海賊 The Buccaneer
1961 60歳
ファニー Fanny
黙示録の四騎士 The Four Horsemen of the Apocalypse
1963 64歳
プレイガール陥落す Love Is a Ball
1965 66歳
すべてをアナタに A Very Special Favor
1966 67歳
1967 68歳
1969 70歳
シャイヨの伯爵夫人 The Madwoman of Chaillot
1973 74歳
失われた地平線 Lost Horizon





















