ジョン・ギールグッド
John Gielgud

1904年4月14日、イギリス・ロンドン生まれ。
2000年5月21日、イギリス・バッキンガムシャーで死去(老衰)。享年96歳。
本名サー・アーサー・ジョン・ギールグッド。
演劇学校で演技を学び、舞台に立つ。
映画デビューは20歳の時。
26歳で舞台のハムレットを演じた。
今回は、20世紀最高のシェイクスピア俳優の一人と称され、その「バイオリンのような声」で観客を陶酔させた英国演劇界の巨人、サー・ジョン・ギールグッドをご紹介します。
ローレンス・オリヴィエ、ラルフ・リチャードソンと共に「英国俳優の三頭政治(トリウムヴィレイト)」を形成。舞台での高潔なキャリアの一方で、晩年にはハリウッド映画で毒舌な執事役を演じてオスカーを手にするなど、驚くべき柔軟性を見せた伝説の歩みを辿ってみましょう。
至高の調べと、不屈の演劇魂。ジョン・ギールグッド、一世紀を歌い上げた「声」の魔術師
ギールグッドの魅力は、その類まれなる言語感覚と気品にありました。彼が台詞を発するだけで、舞台には深い知性と詩情が満ち溢れたと言われています。しかし、その輝かしいキャリアの裏側には、1950年代の保守的な社会における同性愛を巡るスキャンダルと、そこから立ち上がった不屈の精神も隠されていました。
「引退」という言葉を知らず、90代を過ぎても現役としてカメラの前に立ち続けた彼。そのユーモアと気品に満ちたアーカイブを見ていきましょう。
- ✦ PROFILE & BACKGROUND
- 🏆 主な功績・活動
- 🏅 受賞・ノミネート歴(主要4賞)
- 1. シェイクスピアの化身:ハムレット(舞台 1929〜)
- 2. 毒舌と慈愛:ミスター・アーサー(1981)
- 3. 映像美の極致:プロスペローの本(1991)
- 📜 ジョン・ギールグッドを巡る知られざるエピソード集
- 📝 まとめ:水晶の声を持ち、銀幕に気品を刻み続けた英国の良心
- 1936 年 32 歳
- 1953 年 49 歳
- 1954 年 50 歳
- 1955 年 51 歳
- 1956 年 52 歳
- 1957 年 53 歳
- 1964 年 60 歳
- 1965 年 59 歳
- 1968 年 64 歳
- 1969 年 65 歳
- 1970 年 66 歳
- 1973 年 69 歳
- 1974 年 70 歳
- 1976 年 72 歳
- 1977 年 73 歳
- 1978 年 74 歳
- 1979 年 75 歳
- 1980 年 76 歳
- 1981 年 77 歳
- 1982 年 78 歳
- 1983 年 79 歳
- 1984 年 80 歳
- 1985 年 81 歳
- 1986 年 82 歳
- 1988 年 84 歳
- 1989 年 85 歳
- 1991 年 87 歳
- 1992 年 88 歳
- 1994 年 90 歳
- 1995 年 91 歳
- 1996 年 92 歳
- 1998 年 94 歳
✦ PROFILE & BACKGROUND
- 本名:アーサー・ジョン・ギールグッド
- 生涯:1904年4月14日 ~ 2000年5月22日(享年96歳)
- 出身:イギリス / ロンドン・サウス・ケンジントン
- ルーツ・家庭環境:
- 父フランク:ポーランド貴族の血を引く株式仲買人。
- 母ケイト:伝説的な女優エレン・テリーの一族(テリー家)の出身。
- パートナー マーティン・ヘンスラー:30年以上にわたり人生を共にしたパートナー。
- 背景:演劇の名門テリー家の一員として育ち、王立演劇学校(RADA)で学びました。20代で『ハムレット』を演じ、同世代で最高のシェイクスピア俳優としての地位を確立しました。
- 功績:アカデミー賞、エミー賞、グラミー賞、トニー賞をすべて受賞した数少ない「EGOT」達成者の一人。1953年にナイトに叙されました。
🏆 主な功績・活動
| 公開年 | 出来事 | 備考 |
| 1929 | オールド・ヴィック劇場に参加 | シェイクスピア俳優としての黄金期がスタート |
| 1953 | 騎士号(ナイト)授与 | 演劇界への多大な貢献が認められる |
| 1964 | 『ベケット』出演 | ルイ7世役。アカデミー助演男優賞にノミネート |
| 1974 | 『オリエント急行殺人事件』 | ベドーズ役。英国アカデミー賞助演男優賞を受賞 |
| 1981 | 『ミスター・アーサー』 | 毒舌だが愛に満ちた執事ホブソン役。アカデミー賞受賞 |
| 1994 | ギールグッド劇場誕生 | ロンドンのシャフツベリー・アベニューにある劇場が彼を祝して改名 |
🏅 受賞・ノミネート歴(主要4賞)
| 年度 | 対象作品 | 賞 | 部門 | 結果 |
| 1965 | ベケット | アカデミー賞 | 助演男優賞 | ノミネート |
| 1975 | オリエント急行殺人事件 | 英国アカデミー賞 | 助演男優賞 | 受賞 |
| 1982 | ミスター・アーサー | アカデミー賞 | 助演男優賞 | 受賞 |
| 1982 | ミスター・アーサー | ゴールデングローブ賞 | 助演男優賞 | 受賞 |
| 1982 | 炎のランナー | 英国アカデミー賞 | 助演男優賞 | ノミネート |
| 1986 | プレンティ | 英国アカデミー賞 | 助演男優賞 | ノミネート |
| 1989 | 戦場にかける橋2 | ゴールデングローブ賞 | 助演男優賞 (ミニシリーズ) | ノミネート |
| 1991 | サマー・ポリス | エミー賞 | 主演男優賞 (ミニシリーズ) | 受賞 |
1. シェイクスピアの化身:ハムレット(舞台 1929〜)
ギールグッドにとって『ハムレット』は生涯の代表作です。
それまでの大げさな演技スタイルを一新し、内面的で繊細、そして音楽的な台詞回しによる「悩める王子」を創り上げました。彼のハムレットは、後のローレンス・オリヴィエら多くの俳優に決定的な影響を与えた、20世紀演劇の指標となりました。
2. 毒舌と慈愛:ミスター・アーサー(1981)
酔いどれの億万長者アーサーに仕える執事ホブソンを演じ、世界中を爆笑と感動に包みました。
当初「下品な台詞が多い」と出演を渋ったと言われていますが、いざ演じると、無表情で繰り出す辛辣なジョークが最高に可笑しく、その奥にある深い愛情が観客の涙を誘いました。この役で彼は、77歳にして初のアカデミー賞を手にするという、最高に幸福なカムバックを果たしました。
3. 映像美の極致:プロスペローの本(1991)
ピーター・グリーナウェイ監督によるシェイクスピア『テンペスト』の映画化。
80代後半のギールグッドが、全編を通じて全登場人物の台詞を語るという驚異的な挑戦をしました。彼の最大の特徴である「声」を最大限に活かしたこの作品は、まさに彼という偉大な芸術家へのオマージュとなりました。
📜 ジョン・ギールグッドを巡る知られざるエピソード集
1. 逮捕という最大の危機
1953年、ナイトの称号を受けた直後に、同性愛関連の罪(当時は違法でした)で逮捕されるというスキャンダルに見舞われました。キャリアの終わりを覚悟した彼でしたが、翌晩の舞台に登場すると、観客は総立ちの拍手で彼を迎えました。大衆はスキャンダルよりも彼の芸術を選んだのです。この事件は、後の英国における法改正の機運を高める一つのきっかけにもなりました。
2. オリヴィエとの「静かなライバル関係」
同時代のライバル、ローレンス・オリヴィエとは常に対比されました。オリヴィエが「肉体的で力強い」のに対し、ギールグッドは「知的で音楽的」と評されました。二人はお互いを深く尊敬しつつも、ギールグッドはオリヴィエを「少しやりすぎだ」と言い、オリヴィエはギールグッドを「少し古風だ」と評するなど、微笑ましいやり取りが残っています。
3. 「ギールグッドの失言(ギールグーディズム)」
彼は思ったことをすぐに口に出してしまう癖があり、悪気のない「失言」で周囲を凍りつかせることで有名でした。例えば、ある若手俳優に「君の演技は素晴らしかったよ。僕が君の歳だった頃、あんなにひどい演技はできなかったからね!」と言ってしまうような類です。これらは「ギールグーディズム」と呼ばれ、彼の人懐っこいキャラクターの一部として愛されました。
4. マーロン・ブランドへの衝撃
1953年の映画『ジュリアス・シーザー』でカシウスを演じた際、共演した若き日のマーロン・ブランドに多大な影響を与えました。当初、シェイクスピア劇を敬遠していたブランドでしたが、ギールグッドの録音を聞き込み、その台詞回しを徹底的に研究したと言われています。
📝 まとめ:水晶の声を持ち、銀幕に気品を刻み続けた英国の良心
サー・ジョン・ギールグッドは、演劇という芸術が持つ「言葉の魔法」を誰よりも信じ、体現し続けた人物でした。
彼のキャリアは、古典劇の頂点からハリウッドのコメディまで、驚くほど広範囲に及びます。それは、彼が常に自分の才能を客観視し、時代に合わせて軽やかに変化し続ける勇気を持っていたからに他なりません。 彼が去った今、あの「バイオリンのような声」を直接聴くことはできませんが、彼が遺した数々の名演は、今も演劇を志す人々にとって超えるべき高い目標であり、永遠の指針として輝き続けています。
[出演作品]
1936 年 32 歳
1953 年 49 歳
1954 年 50 歳
ロミオとジュリエット Romeo and Juliet
1955 年 51 歳
リチャード三世 Rchard III
1956 年 52 歳
80日間世界一周 Around the World in Eighty Days
1957 年 53 歳
聖女ジャンヌ・ダーク Saint Joan
1964 年 60 歳
ベケット Becket
1965 年 59 歳
1968 年 64 歳
殺しへの委任状 Assignment to Kill
栄光の座 The Shoes of the Fisherman
1969 年 65 歳
1970 年 66 歳
1973 年 69 歳
真説フランケンシュタイン Frankenstein: The True Story (TV)
1974 年 70 歳
オリエント急行殺人事件 Murder on the Orient Express
英国アカデミー賞 助演男優賞
1976 年 72 歳
1977 年 73 歳
1978 年 74 歳
誰もいない国 No Man’s Land (TV)
レ・ミゼラブル Les Miserables (TV)
リチャード2世 King Richard The Second (TV)
1979 年 75 歳
ヒューマン・ファクター The Human Factor
1980 年 76 歳
ザ・コンダクター Dyrygent
おしどり探偵/なぜ、エヴァンスに頼まなかったのか? Why Didn’t They Ask Evans? (TV)
エレファント・マン The Elephant Man
1981 年 77 歳
アカデミー賞 助演男優賞
ゴールデングローブ賞 助演男優賞
華麗なる貴族 Brideshead Revisited (TV)
1982 年 78 歳
ノートルダムの鐘つき男/報われぬ愛の物語 The Hunchback of Norte Dame (TV)
ガンジー Gabdhi
1983 年 79 歳
赤と黒の十字架 The Scarlet & the Black (TV)
ワーグナー/偉大なる生涯 Wagner (TV)
1984 年 80 歳
椿姫 Camille (TV)
1985 年 81 歳
追憶のオリエント急行・あの愛をもう一度 Romance on the Orient Express (TV)
プレンティ Plenty
全米映画批評家協会賞 助演男優賞
孤独な果実 Leave All Fair
1986 年 82 歳
カンターヴィル・ゴースト The Canterville Ghost (TV)
戦争と追憶 War and Remembrance (TV)
1988 年 84 歳
ミスター・アーサー2 Arthur 2: On The Rocks
わが命つきるとも A Man for All Seasons (TV)
1989 年 85 歳
1991 年 87 歳
1992 年 88 歳
1994 年 90 歳
スカーレット/続・風と共に去りぬ Scalett (TV)
1995 年 91 歳
1996 年 92 歳
ある貴婦人の肖像 The Portrait of a Lady
1998 年 94 歳
エクスカリバー 聖剣伝説 Merlin (TV)





































