バスター・キートン
Buster Keaton

1895年10月4日、アメリカ・カンザス・ピックウェイ生まれ。1966年2月1日、アメリカ・カリフォルニア・ロサンゼルスで死去(肺がん)。享年70歳。本名ジョセフ・フランシス・キートン4世。ヴォードヴィルの役者一家で育ち、幼少時から舞台に立つ。サイレント時代の喜劇スター。内気で無口な性格だった。ヘビースモーカーだった。
今回は、チャップリンと並び称されるサイレント映画界の至宝であり、「偉大なる無表情(ザ・グレート・ストーン・フェイス)」の異名を持つバスター・キートンをご紹介します。
どんなに過酷な状況に置かれても、眉ひとつ動かさず、驚異的な身体能力で立ち向かう。そのモダンなギャグのセンスと、CGのない時代に命懸けで行ったスタントの数々は、今も世界中のクリエイターに衝撃を与え続けています。
静かなる無表情の裏に秘めた、命懸けの情熱。バスター・キートン、銀幕を駆け抜けた孤独な天才
キートンの映画は、100年以上経った今見ても全く古びていません。巨大な家が倒れてくる隙間に立ったり、疾走する蒸気機関車の上を走り回ったり。彼が自ら監督し、演じた作品には、映画という魔法への純粋な信頼が溢れています。
トーキー(発声映画)への移行期に味わった苦難や、その後の奇跡的な再評価まで、彼の波乱万丈な映画人生を辿ってみましょう。
- ✦ PROFILE & BACKGROUND
- 🏆 主な功績・活動
- 🏅 受賞・ノミネート歴(主要4賞)
- 1. 映画内映画の極致:キートンの探偵学入門(1924)
- 2. 鋼の心臓と肉体:キートンの大列車追跡(1926)
- 3. 嵐の中の静寂:キートンの船出(1928)
- 📜 バスター・キートンを巡る知られざるエピソード集
- 📝 まとめ:肉体一つで不滅の魔法を編み出した職人
- 1917 年 22 歳
- 1918 年 23 歳
- 1919 年 24 歳
- 1920 年 25 歳
- 1921 年 26 歳
- 1922 年 27 歳
- 1923 年 28 歳
- 1924 年 29 歳
- 1925 年 30 歳
- 1926 年 31 歳
- 1927 年 32 歳
- 1928 年 33 歳
- 1929 年 34 歳
- 1930 年 35 歳
- 1931 年 36 歳
- 1932 年 37 歳
- 1933 年 38 歳
- 1934 年 39 歳
- 1935 年 40 歳
- 1936 年 41 歳
- 1937 年 42 歳
- 1939 年 44 歳
- 1940 年 45 歳
- 1941 年 46 歳
- 1943 年 48 歳
- 1944 年 49 歳
- 1945 年 50 歳
- 1946 年 51 歳
- 1947 年 52 歳
- 1949 年 54 歳
- 1950 年 55 歳
- 1951 年 56 歳
- 1952 年 57 歳
- 1953 年 58 歳
- 1956 年 61 歳
- 1957 年 62 歳
- 1960 年 65 歳
- 1963 年 68 歳
- 1964 年 69 歳
- 1965 年 70 歳
- 1966 年 71 歳
- 1974 年 79 歳
✦ PROFILE & BACKGROUND
- 本名:ジョセフ・フランク・キートン
- 生涯:1895年10月4日 ~ 1966年2月1日(享年70歳)
- 死因:肺ガン(カリフォルニア州ウッドランド・ヒルズにて逝去)
- 出身:アメリカ / カンザス州ピクウェイ
- ルーツ・家庭環境:
- 父ジョー:旅回りの一座を率いる芸人。幼いバスターを舞台の小道具のように放り投げるアクロバティックな芸が、彼の身体能力の基礎となりました。
- 母マイラ:同じく芸人。一家で「スリー・キートンズ」として活躍。
- 名付け親:脱出王ハリー・フーディーニ。階段を転げ落ちても平然としていた彼を見て「Buster!(すごいぞ、お転婆坊や!)」と叫んだのが芸名の由来と言われています。
- 妻ナタリー:映画スターのタルマッジ三姉妹の一人。1921年結婚、1932年離婚。
- 妻エレノア:1940年結婚。彼女との出会いが、失意の底にいたキートンを救いました。
- 背景:ヴォードヴィル(寄席)の舞台で鍛えられた超人的な体術を武器に映画界へ。1920年代には自身のスタジオで数々の傑作を量産しました。
- 功績:1959年にアカデミー名誉賞を受賞。喜劇俳優としてだけでなく、カメラワークや編集を駆使した先駆的な映画監督としても高く評価されています。
🏆 主な功績・活動
| 公開年 | 出来事 | 備考 |
| 1917 | 映画デビュー | ファッティ・アーバックルの短編映画で銀幕へ |
| 1920 | 自身の制作会社を設立 | 長編映画の監督・主演を自ら手がける黄金期の始まり |
| 1924 | 『キートンの探偵学入門』 | 映画の中に飛び込むメタフィクションの先駆け的作品 |
| 1926 | 『キートンの大列車追跡』 | 映画史に残るスペクタクル巨編。キートンの最高傑作とされる |
| 1928 | MGMに移籍 | 創作の自由を失い、不遇の時代へ。アルコール依存症にも苦しむ |
| 1952 | 『ライムライト』出演 | チャップリンと唯一の共演。世界中のファンを感動させる |
🏅 受賞・ノミネート歴(主要4賞)
| 年度 | 対象作品 | 賞 | 部門 | 結果 |
| 1959 | ー | アカデミー賞 | 名誉賞 | 受賞 |
1. 映画内映画の極致:キートンの探偵学入門(1924)
映写技師の青年が、夢の中でスクリーンの中に飛び込んでしまうという画期的なアイデアの作品です。
シーンが切り替わるたびに背景が激しく変わる中で、キートンが完璧なタイミングで動き続ける演出は、現代のデジタル技術でも驚くほどの完成度。映画そのものを批評するような知的な構成は、キートンの天才性を物語っています。
2. 鋼の心臓と肉体:キートンの大列車追跡(1926)
南北戦争を背景に、愛する機関車を取り戻すために奮闘するアクション大作。
本物の蒸気機関車を使い、CG一切なしで展開される追跡劇は圧巻の一言です。キートンが機関車の排障器(カウキャッチャー)の上に座り、線路上の障害物を跳ね除けるシーンは、一歩間違えれば命を落としかねない、文字通りの命懸けの名演でした。
3. 嵐の中の静寂:キートンの船出(1928)
大型台風が街を襲う中、キートンが静かに歩き続けるクライマックス。
二階建ての家の一面がそのままバタンと倒れてくる中、キートンが窓の隙間にピタリと収まって助かるシーンは、映画史上もっとも有名なスタントの一つです。数センチのズレが死に直結する状況で、彼は一切表情を変えず、ただそこに立ち続けました。
📜 バスター・キートンを巡る知られざるエピソード集
1. 折れていた首、知らずに続けた演技
『探偵学入門』の撮影中、給水塔から放たれた猛烈な水圧で線路に叩きつけられたキートン。激しい頭痛に襲われましたが、そのまま撮影を続行しました。それから10年以上経ってからX線検査を受けたところ、なんと当時首の骨を骨折していたことが判明したのです。
2. 「笑ってはいけない」という美学
「もし僕が笑ったら、観客は笑うのをやめてしまうだろう」と考えたキートンは、劇中で決して笑顔を見せませんでした。その無表情は、どんな逆境にも屈しない人間の尊厳や、現代社会の不条理を象徴するものとして、後世の映画作家たちに深いインスピレーションを与えました。
3. チャップリンとの「無言の友情」
喜劇王チャップリンとは、常にライバルとして比較されました。キートンがMGMに移籍し、不遇の時代を過ごしていた際、チャップリンは自作『ライムライト』にキートンを招待。老芸人同士が共演し、見事な掛け合いを見せたシーンは、サイレント時代への最高の手向けとなりました。
4. 奇跡の再評価とカンヌでの喝采
晩年、長らく忘れ去られていたキートンの作品群が、映画保存の専門家レイモンド・ローハウアーらによって発掘・修復されました。1965年のヴェネツィア国際映画祭で自作が上映された際、場内を埋め尽くした観客が5分間もスタンディングオベーションを続け、キートンは生まれて初めて人前で涙を流したと言われています。
5. ヴォードヴィルの伝統と誇り
キートンにとって、映画は「芸(アクト)」の延長線上にありました。どれほど危険なスタントも、彼にとっては「観客を楽しませるための当然の仕事」でした。スタントマンを立てることを極端に嫌い、すべての動きを自分の肉体で表現することに、職人としての誇りをかけていました。
6. 趣味は「模型」と「整理整頓」
私生活では非常に手先が器用で、精巧な鉄道模型を作ったり、ガレージにある工具を完璧に並べ替えたりするのが大好きでした。その几帳面で論理的な性格が、キートン映画特有の、パズルのように完璧に組み合わされたギャグの構成に繋がっていたのかもしれません。
📝 まとめ:肉体一つで不滅の魔法を編み出した職人
バスター・キートンは、言葉に頼ることなく、肉体の動きと映画的な知性だけで世界を笑わせた、真のビジョナリーでした。
彼の映画を観れば、どれほど時代が変わっても、人間の純粋な驚きや喜びの本質は変わらないことに気づかされます。笑顔を封印し、孤独に抗いながら走り続けたキートンの姿は、今も私たちの心に、静かな勇気と希望を灯してくれます。彼が遺した数々の作品は、これからも映画を愛するすべての人にとって、その美しさと技術に触れるたび、新しい発見をもたらす道標であり続けるでしょう。
[監督・出演作品]
1917 年 22 歳
ファッティとキートンのおかしな肉屋(デブ君の女装) The Butcher Boy
デブ君化けの皮 A Reckless Romeo
デブ君の医者 Oh Doctor
ファッティとキートンのコニー・アイランド(デブ君の浜遊び) Coney Island
デブ君の勇士 A Country Hero
デブ君の入婿 The Rough House
1918 年 23 歳
ファッティとキートンのアウト・ウェスト(デブ君の出稼ぎ) Out West
デブ君の給仕 The Bell Boy
デブ君の巌窟王 Moonshine
ファッティとキートンのグッドナイト・ナース(デブ君の入院) Good Night, Nurse! (出)
デブのコック The Cook
1919 年 24 歳
デブの舞台裏(ファッティとキートンの初舞台) Back Stage
飼葉の種 The Hayseed
デブの自動車屋 The Garage
一網打尽 The Round-Up
1920 年 25 歳
文化生活一週間(キートンのマイホーム) One Week
キートンの囚人13号(ゴルフ狂の夢) Convict 13
キートンの案山子(スケアクロウ) The Scarecrow
キートンの隣同士 Neighbors
馬鹿息子 The Saphead
1921 年 26 歳
キートンの化物屋敷 The Haunted House
キートンのハード・ラック Hard Luck
キートンのハイ・サイン The High Sign
キートンの強盗騒動 The Goat
キートンの即席百人芸 The Playhouse
キートンの船出 The Boat (監・脚・出)
1922 年 27 歳
キートンの白人酋長 The Paleface
キートンの警官騒動 Cops
キートン半殺し My Wife’s Relations
キートンの鍛冶屋 The Blacksmith
キートンの北極無宿 The Frozen North
キートンの白日夢 Day Dreams
キートンの電気屋敷 The Electric House
1923 年 28 歳
キートンの空中結婚 The Balloonatic
捨小舟 The Love Nest
荒武者キートン Our Hospitality
1924 年 29 歳
海底王キートン The Navigator
1925 年 30 歳
The Iron Mule
1926 年 31 歳
拳闘屋キートン Battling Butler
1927 年 32 歳
1928 年 33 歳
キートンのカメラマン The Cameraman
1929 年 34 歳
キートンの結婚狂 Spite Marriage
ハリウッド・レヴィユー The Hollywood Revue of 1929
1930 年 35 歳
キートンのエキストラ Free and Easy
キートンの決死隊 Doughboys
1931 年 36 歳
キートンの恋愛指南番 Parlor, Bedroom and Bath
紐育の歩道 Sidewalks of New York
1932 年 37 歳
キートンの決闘狂 The Passionate Plumber
キートンの歌劇王 Speak Easily
1933 年 38 歳
キートンの麦酒王 What! No Beer?
1934 年 39 歳
キートンの黄金崇拝 The Gold Ghost
キートンの頓馬同盟 Allez Oop
キートンの爆弾成金 Le Roi des Champs-Élysées
1935 年 40 歳
キートンの西部相撲 Palooka from Paducah
田舎者のロマンス Hayseed Romance
キートンの自由結婚 The E-Flat Man
恥ずかしがり屋の青年 The Timid Young Man
キートンの野球大当たり One Run Elmer
キートンの脱線水兵 Tars and Stripes
オペラは踊る A Night at the Opera (脚)
1936 年 41 歳
三つ巴 Three on a Limb
ばけ学博士 The Chemist
キートンの大魔術師 Mixed Magic
キートンの大放送 Grand Slam Opera
青い炎 Blue Blazes
キートンのスペイン嬌乱 The Invader
1937 年 42 歳
囮 Jail Bait
列車の愛の巣 Love Nest on Wheels
1939 年 44 歳
西部から来た厄介者 Pest from the West
ジョージア コーシン曲 Mooching Through Georgia
Hollywood Cavalcade
マルクス兄弟珍サーカス At the Circus (脚)
1940 年 45 歳
ただお楽しみだけ Nothing But Pleasure
寝台車で失礼 Pardon My Berth Marks
処女馬馴らし The Taming of the Snood
お化けは語る The Spook Speaks
前妻は見ていた His Ex Marks the Spot
ニュウ・ムウン New Moon
悪党はなおも彼女を追いかけた The Villain Still Pursued Her
リル・アブナー Li’l Abner
マルクスの二挺拳銃 Go West (脚)
1941 年 46 歳
ギャーギャー騒ぐな So You Won’t Squawk
はた迷惑 General Nuisance
彼女は金のなる木 She’s Oil Mine
1943 年 48 歳
提督の館 Forever and a Day
1944 年 49 歳
愛しのサンディエゴ San Diego I Love You
1945 年 50 歳
その心意気 That’s the Spirit
あなたと過ごしたあの夜 That Night with You
She Went to the Races
1946 年 51 歳
神の国 God’s Country
キートンの月ロケット El Moderno Barba Azul
1947 年 52 歳
死闘 Un duel a mort
1949 年 54 歳
愛すべきイカサマ The Lovable Cheat
あなたは私のすべて You’re My Everything
1950 年 55 歳
1951 年 56 歳
キートンの裸女学生 Life with Buster Keaton
1952 年 57 歳
バスターの天国 Paradise for Buster
ライムライト Limelight
1953 年 58 歳
魅惑的な敵 L’Incantevole Nemica
1956 年 61 歳
80日間世界一周 Around the World in 80 Days
1957 年 62 歳
バスター・キートン物語 The Buster Keaton Story
1960 年 65 歳
ハックルベリーフィンの冒険 The Adventures of Huckleberry Finn
悪魔への支払い The Devil to Pay
1963 年 68 歳
商売がないほどの商売はない There’s No Business Like No Business
レスター・スナップウェルの勝利 The Triumph of Lester Snapwell
おかしなおかしなおかしな世界 It’s a Mad Mad Mad Mad World
1964 年 69 歳
パジャマ・パーティー Pajama Party
1965 年 70 歳
フィルム Film
キートンの線路工夫 The Railrodder
ビーチ・ブランケット・ビンゴ Beach Blanket Bingo
フォール・ガイ The Fall Guy
奔放なビキニをいっぱいにする方法 How to Stuff a Wild Bikini
バスター・キートン・ライズ・アゲイン Buster Keaton Rides Again
二人の水兵と一人の将軍 Due Marines e un Generale
1966 年 71 歳
記者 The Scride
ローマで起こった奇妙な出来事 A Funny Thing Happened on the Way to the Forum
1974 年 79 歳
ザッツ・エンタテインメント That’s Entertainment!













