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痴人の愛 Of Human Bondage 1934

1930

痴人の愛
Of Human Bondage
(アメリカ 1934)

[製作]  パンドロ・S・バーマン
[監督]  ジョン・クロムウェル
[原作]  サマセット・モーム
[脚本]  レスター・コーエン/アン・コールマン
[撮影]  ヘンリー・W・ジェラルド
[音楽]  マックス・スタイナー
[ジャンル]  ドラマ/恋愛


キャスト

レスリー・ハワード
(フィリップ・キャリー)

ベティ・デイヴィス
(ミルドレッド・ロジャース)


フランシス・ディー (サリー・アセルニー)
ケイ・ジョンソン (ノラ)
レジナルド・デニー (ハリー・グリフィス)
アラン・ヘイル (エミール・ミラー)
レジナルド・シェフィールド (シリル・ダンスフォード)
レジナルド・オーウェン (ソープ・アセルニー)
デスモンド・ロバーツ (Dr.ジェイコブス)



ストーリー

「痴人の愛」は、ジョン・クロムウェル監督によるドラマ映画で、サマセット・モームの同名小説を原作としている。物語は、身体的な障害を持つ医学生フィリップ・ケアリー(レスリー・ハワード)と、彼が恋に落ちるが冷淡で自己中心的なウエイトレス、ミルドレッド・ロジャース(ベティ・デイヴィス)との複雑な関係を描いている。

フィリップ・ケアリー(レスリー・ハワード)は、ロンドンの医学学校に通う学生で、足に障害を抱えている。彼は人生に対して消極的であり、自分の未来に希望を持てずにいる。ある日、フィリップはカフェでウエイトレスのミルドレッド・ロジャース(ベティ・デイヴィス)と出会う。彼女は無邪気で魅力的だが、冷淡で自己中心的な性格を持っている。フィリップは彼女に惹かれ、彼女のために何でもしようとするが、ミルドレッドはフィリップの感情を利用するだけで彼に愛情を示さない。

フィリップはミルドレッドへの愛が叶わないと知りながらも、彼女に対する感情を抑えきれず、苦悩し続ける。一方、ミルドレッドは別の男性と結婚し、フィリップをさらに深く傷つけることになる。しかし、彼女の結婚生活はうまくいかず、再びフィリップの前に現れる。フィリップは彼女を助けようとするが、ミルドレッドの態度は依然として冷たく、彼の苦しみは続く。

エピソード

ベティ・デイヴィスの突破:

この映画でのミルドレッド役は、ベティ・デイヴィスにとってキャリアを変える役となった。彼女の演技は非常に評価され、その後のハリウッドでの地位を確立するきっかけとなった。

オスカーに関する騒動:

デイヴィスの演技はアカデミー賞にノミネートされなかったが、多くの批評家が彼女の名演を支持し、アカデミーが選出を無視したことへの抗議が巻き起こった。これが後に「書き込み投票」の導入につながる。

原作と映画の違い:

原作小説は非常に長く、複雑な物語を持つが、映画版ではその核心部分を取り出して緊密なドラマに仕上げられた。

撮影の挑戦:

撮影中、デイヴィスは病気になり、いくつかのシーンの撮影が遅れた。それにもかかわらず、彼女は撮影を続け、そのプロフェッショナリズムが称賛された。

デイヴィスとハワードの相性:

デイヴィスとハワードは撮影現場で非常に良好な関係を築き、特にデイヴィスはハワードの演技から多くの影響を受けたと語っている。

スタジオの懸念:

映画のテーマが暗く、ミルドレッドのキャラクターが魅力的ではないことから、スタジオは興行的に成功するかどうか懸念していた。

ベティ・デイヴィスのスタイル:

デイヴィスは自身の外見を過度に美化せず、ミルドレッドの粗野で自己中心的な一面を強調するメイクと衣装を選んだ。

レスリー・ハワードの人気:

ハワードは当時、非常に人気のある俳優であり、この映画での彼の演技は特に彼のファンから高く評価された。

映画の影響:

この映画は、映画業界における「アンチヒーロー」のキャラクターを描く手法に影響を与えた。

デイヴィスの演技指導:

ジョン・クロムウェル監督は、デイヴィスの自然な演技スタイルを引き出すために、撮影現場での即興を奨励した。

フィリップのキャラクター分析:

ハワードはフィリップのキャラクターを分析し、彼の人生の中での無力感と自己嫌悪を深く掘り下げることで、役にリアリティを持たせた。


「痴人の愛」(1934年版)は、ベティ・デイヴィスとレスリー・ハワードの強力な演技が際立つ名作だ。デイヴィスは冷酷で魅力的なミルドレッドを演じ、その演技が彼女のキャリアの中で重要な転機となった。映画は、モームの原作を忠実に再現しながらも、フィリップの内面的な葛藤とミルドレッドとの破壊的な関係を見事に描写している。

映画はその暗いテーマと複雑なキャラクターの描写で注目を集め、特にデイヴィスの演技が批評家から絶賛された。彼女が演じるミルドレッドのキャラクターは、映画史上でも特に記憶に残る役柄の一つとして評価されている。また、ハワードの演技もフィリップの苦悩と無力感をリアルに伝え、多くの観客に強い印象を残した。

全体として、「痴人の愛」は、当時のハリウッド映画の中でも特に質の高いドラマであり、キャラクターの複雑さと人間の弱さを探求する作品として今なお評価されている。

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