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[男優] ジョセフ・コットン Joseph Cotten 出演作品一覧|プロフィール|エピソード

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ジョセフ・コットン
Joseph Cotten

1905年5月15日、アメリカ・ヴァージニア・ピーターズバーグ生まれ。
1994年2月6日、アメリカ・カリフォルニア・ウエストウッドで死去(肺炎)。享年88歳。
本名ジョセフ・チェシャー・コットン。
身長188cm。
俳優になる前は広告業界で働いていた。
オーソン・ウェルズと親しく、「市民ケーン」「第三の男」等で共演した。

今回ご紹介するのは、誠実さと知性を感じさせる端正な容姿と、穏やかな中にもどこか翳りを感じさせる演技で、1940年代のハリウッドを席巻したジョセフ・コットンです。

彼は、オーソン・ウェルズ率いる「マーキュリー劇場」の秘蔵っ子としてキャリアをスタートさせ、ウェルズの傑作群を支える重要な柱となりました。派手なパフォーマンスで観客を圧倒するタイプではありませんでしたが、抑えた演技の中ににじみ出る人間性や、複雑な内面を体現する確かな実力は、ヒッチコックやワイラーといった名匠たちから絶大な信頼を寄せられました。どんなに強烈なスターが相手でも、その横で静かに、しかし決定的な存在感を放ち続けた、ハリウッド黄金期を象徴する知性派俳優の一人です。


穏やかなバリトンと、深淵なる眼差し。ジョセフ・コットン、誠実なる表現者

ジョセフ・コットンの魅力は、聴く者を安らぎへと誘うような心地よい声と、善人と悪人の境界線を自在に行き来する、底知れない表現の幅にあります。

彼は、物語の語り部として観客を導く「信頼できる案内人」を演じる一方で、優雅な微笑みの裏に狂気や孤独を隠し持つ多層的なキャラクターをも完璧に演じ切りました。ウェルズが太陽のような爆発的エネルギーなら、コットンはそれを優しく、時には冷徹に反射する月のような存在。彼が画面に登場するだけで、映画にはある種の気品と、予測不能な心理的緊張感がもたらされました。自分を過剰に誇示せず、常に作品のトーンに寄り添おうとした彼の姿勢は、真のプロフェッショナルの姿そのものでした。


✦ PROFILE & BACKGROUND

  • 本名:ジョセフ・チェシャー・コットン・Jr.
  • 生涯:1905年5月15日 ~ 1994年2月6日(享年88歳)
  • 出身:アメリカ・バージニア州ピーターズバーグ
  • 背景:新聞記者や広告業界を経て、劇団「マーキュリー劇場」でオーソン・ウェルズと出会い、舞台やラジオで活躍。ウェルズのハリウッド進出に伴い、1941年に『市民ケーン』で映画デビューを果たしました。
  • 功績:1949年にヴェネツィア国際映画祭で男優賞を受賞。ウェルズ、ヒッチコックといった巨匠たちの名作において、代えのきかない重要な役どころを担い続けました。


🏆 主な受賞・選出リスト

部門対象作
1949ヴェネツィア国際映画祭男優賞ジェニイの肖像
1960ハリウッド・ウォーク・オブ・フェーム映画への貢献を称えて6382 Hollywood Blvd.

1. 友情と真実の語り部:市民ケーン

親友オーソン・ウェルズの鮮烈なデビュー作において、主人公ケーンの右腕であり、最も厳格な批判者でもある新聞記者ジェデダイア・リーランドを演じました。

若き日の理想に燃える姿から、老境に至り過去を回想する姿までを見事に演じ分け、物語の道徳的な羅針盤としての役割を完璧に果たしました。コットンの持つ知的な誠実さが、この実験的な傑作に確かな説得力を与えました。

2. 恐怖を纏った紳士:疑惑の影

ヒッチコック監督が手がけたサスペンスの白眉です。コットンは、姪のチャーリーから愛されながらも、実は「未亡人殺し」の容疑をかけられているチャーリー叔父さんを演じました。

窓辺で見せる冷徹な横顔と、周囲を魅了する社交的な笑顔。その二面性を演じ分けるコットンの演技は、観る者の心に静かな恐怖を植え付けました。彼のエレガンスが、悪の深淵をより際立たせた記念碑的名演です。

3. 霧の中に消える追跡者:第三の男

戦後ウィーンの荒廃した街並みを舞台にした、映画史に燦然と輝く名作です。コットンは、親友ハリー・ライム(オーソン・ウェルズ)の死を巡る謎を追う、売れない西部劇作家ホリーを演じました。

正義感ゆえに親友を追い詰めていく葛藤や、報われない愛に生きる男の哀愁。チターの調べに乗せて映し出される彼の孤独な背中は、フィルム・ノワール史上最も忘れがたい肖像の一つとなりました。

4. 時を超えた愛の奇跡:ジェニイの肖像

時空を超えて出会う画家と少女の幻想的なラブストーリーです。コットンは、運命に導かれるように神秘的な少女ジェニイ(ジェニファー・ジョーンズ)に惹かれていく画家を演じました。

SF的な設定でありながら、コットンの真摯な演技が物語に深いリアリティと抒情性を与え、ヴェネツィア国際映画祭で見事に男優賞に輝きました。彼の持つソフトな魅力が最大限に発揮された一篇です。

5. 欲望と愛執の激突:白昼の決闘

グレゴリー・ペック、ジェニファー・ジョーンズと共演した、豪華絢爛な異色西部劇です。コットンは、野生的な弟(ペック)とは対照的に、教育を受けた紳士的な兄を演じました。

一人の女性を巡る兄弟の対立の中で、知性と品位を保とうと苦悩する彼の姿は、物語に道徳的な重みをもたらしました。彼の「静」の演技が、作品全体の過剰なまでの情熱をバランスよく引き立てていました。


📜 ジョセフ・コットンを巡る知られざるエピソード集

1. ウェルズが認めた「唯一の共演者」

オーソン・ウェルズは非常に自己主張が強く、共演者を圧倒してしまうことで有名でしたが、コットンに対してだけは全幅の信頼を置いていました。ウェルズは「私の映画にジョセフがいないのは、キャンバスに背景がないのと同じだ」と語るほど、彼の存在を必要不可欠なものとして尊重していました。

2. 「マーキュリー劇場」への忠誠

コットンは生涯、自身のルーツであるマーキュリー劇場の仲間たちを大切にしていました。ウェルズがスタジオと対立し、ハリウッドを追われるような形になっても、コットンは常に彼を擁護し、チャンスがあればいつでも駆けつけて協力しました。二人の友情は、熾烈なハリウッドにおいて最も美しく、強固なものの一つとして語り継がれています。

3. 渋みのある「声」の魔法

彼の温かみのあるバリトンボイスは、ラジオドラマ時代から高く評価されており、映画の中でもモノローグ(語り)を任されることが多くありました。観客の耳に寄り添い、物語の世界観を一瞬で構築してしまう彼の「声の力」は、彼が映画に深みをもたらすための最大の武器でした。

4. 晩年まで続いた誠実な活動

1980年代に脳卒中を患い、一時は声を失うという俳優として致命的な状況に追い込まれましたが、不屈の精神とリハビリによって回復。自身の回想録『Vanity Will Get You Somewhere』を執筆し、ユーモアを交えて自らの人生を振り返りました。最後まで俳優としての矜持を失わず、誠実に人生と向き合い続けた姿は、多くの人々に感銘を与えました。


📝 まとめ:静かな情熱で物語を支え抜いた映画人生

ジョセフ・コットンは、その揺るぎない知性と品格あふれる佇まいで、ハリウッド黄金期の名作に奥行きと温もりを与え続けた名優でした。

その歩みは、盟友オーソン・ウェルズや愛する伴侶との深い絆を大切にしながら、スターという虚像に惑わされることなく、一人の俳優としての誠実さを追求し続けた不屈のプロセスでもありました。どんな役柄にも自身の知的なエッセンスを注ぎ込み、観客の心に静かな感動と信頼を刻み込みました。

88歳で幕を閉じたその生涯は、銀幕で見せた深淵なる眼差しと、誠実な語り口とともに、物語の真実を伝え続けた、ひとつの高潔な俳優としての映画人生でした。



[出演作品]

1941   36歳

市民ケーン     Citizen Kane



1942   37歳


1943   38歳


疑惑の影     Shadow of a Doubt


1944   39歳

ガス燈     Gaslight


君去りし後     Since You Went Away



1945   40歳


1946   41歳

白昼の決闘     Duel in the Sun


1947   42歳


1948   43歳

ジェニーの肖像     Portrait of Jennie


1949   44歳

第三の男     The Third Man




1950   45歳

追いつめられた男     Walk Softly, Stranger



旅愁     September Affair


1951   46歳

北京超特急     Peking Express


オーソン・ウェルズのオセロ     The Tragedy of Othello: The Moor of Venice

1952   47歳


1953   48歳

ナイアガラ     Niagara


1956   51歳

瓶の底(脱獄囚)     The Bottom of the Bottle

殺し屋は放たれた     The Killer is Loose

1958   53歳

黒い罠     Touch of Evil


宇宙冒険旅行     From the Earth to the Moon

1960   55歳

夜と昼の間     The Angel Wore Red

1961   56歳


1964   59歳


1965   60歳

カスター将軍の最後     The Great Sioux Massacre


1966   61歳

オスカー     The Oscar

1967   62歳

サイゴンに生き残る者     Some May Live


ブライティ/グランドキャニオンの冒険     Brighty of the Grand Canyon

ダイヤモンド・ジャック     Jack of Diamonds

1968   63歳

華麗なる情事     Petulia

1969   64歳


顔役     Gangster ’70


1970   65歳


1971   66歳

怪人ドクター・ファイブス     The Abominable Dr. Phibes

1973   68歳


1977   72歳



1979   74歳

コンコルド     Concorde Affaire ’79



1980   75歳

天国の門     Heaven’s Gate


1981   76歳

墜落大空港     The Survivor

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