ロバート・ミッチャム
Robert Mitchum

1917年8月6日、アメリカ・コネチカット・ブリッジポート生まれ。
1997年7月1日、アメリカ・カリフォルニア・サンタバーバラで死去(肺ガン)。享年89歳。
本名ロバート・チャールズ・ダーマン・ミッチャム。
身長185cm。
劇団で活躍後、26歳の時映画デビュー。
“スリーピング・アイ”と称された個性的なマスクとタフガイぶりで、当時のセックス・シンボル的存在となる。
後年は性格俳優として活躍。
今回は、重い瞼の奥に冷笑と哀愁を湛え、スクリーンをただ歩くだけで観客の視線を釘付けにした「究極のタフガイ」、ロバート・ミッチャムをご紹介します。
彼は、ハリウッド黄金期からニューシネマ時代にかけて、「演技をしない演技(アンダープレー)」の極致を体現した俳優でした。自らを「ただの仕事人」と呼び、名声や権威を鼻で笑い飛ばすような無頓着なスタイルは、かえって彼に抗いがたいカリスマ性を与えました。
重い瞼に秘めた狂気と哀愁。ロバート・ミッチャムが刻む「不敵なアンチヒーロー」
ロバート・ミッチャムの魅力を象徴するのは、その「眠たげな瞳」と「野性的な肉体」のギャップです。
彼は、犯罪映画(フィルム・ノワール)では運命を呪う孤独な男を演じ、スリラーでは息を呑むような狂気の悪役を演じました。どんなに追い詰められても動じないその佇まいは、まさに「現代の孤独な狼」そのものでした。
- ✦ PROFILE & LIFE
- 1. フィルム・ノワールのバイブル:『過去を逃れて』
- 2. 映画史上、最も恐ろしい悪:『狩人の夜』
- 3. 復讐に燃える怪物の原点:『恐怖の岬』
- 4. 哀愁の戦場:G・I・ジョウ
- 5. 渋みを増した晩年の傑作:『エディ・コイルの友人たち』
- 🎭 素顔と情熱:ロバート・ミッチャムを巡るパーソナル・エピソード
- 📝 まとめ:虚飾を脱ぎ捨て、真実を映した映画人生
- 1943年 26歳
- 1944年 27歳
- 1945年 28歳
- 1946年 29歳
- 1947年 30歳
- 1948年 31歳
- 1949年 32歳
- 1950年 33歳
- 1951年 34歳
- 1952年 35歳
- 1953年 36歳
- 1954年 37歳
- 1955年 38歳
- 1956年 39歳
- 1957年 40歳
- 1958年 41歳
- 1959年 42歳
- 1960年 43歳
- 1961年 44歳
- 1962年 45歳
- 1963年 46歳
- 1964年 47歳
- 1965年 48歳
- 1966年 49歳
- 1967年 50歳
- 1968年 51歳
- 1969年 52歳
- 1970年 53歳
- 1972年 55歳
- 1973年 56歳
- 1974年 57歳
- 1975年 58歳
- 1976年 59歳
- 1977年 60歳
- 1978年 61歳
- 1980年 63歳
- 1982年 65歳
- 1983年 66歳
- 1984年 67歳
- 1985年 68歳
- 1986年 69歳
- 1988年 71歳
- 1989年 72歳
- 1990年 73歳
- 1991年 74歳
- 1993年 76歳
- 1994年 77歳
- 1995年 78歳
- 1997年 80歳
✦ PROFILE & LIFE
- 本名: ロバート・チャールズ・ダーマン・ミッチャム
- 生涯: 1917年8月6日 ~ 1997年7月1日(享年79歳)
- 出身: アメリカ・コネチカット州ブリッジポート
- 背景: 2歳の時に父を亡くし、少年時代は貨物列車を乗り継いで全米を放浪する「浮浪児(ホーボー)」として過ごしました。14歳で浮浪罪により逮捕され、鎖に繋がれた強制労働(チェーン・ギャング)から脱走したという、映画さながらの過酷なバックボーンを持っています。
- 家族: 1940年に10代の頃からの恋人ドロシー・スペンスと結婚。ハリウッド随一の浮気者という噂もありましたが、最期まで彼女との結婚生活を続け、57年間にわたり添い遂げたという意外な一面も持っています。
1. フィルム・ノワールのバイブル:『過去を逃れて』
フィルム・ノワールというジャンルを象徴する一作です。
ミッチャムは、過去を捨てて静かに暮らそうとしながらも、運命の女(ファム・ファタール)に翻弄され、再び闇の世界へと引き戻される私立探偵を演じました。トレンチコートの襟を立て、タバコの煙をくゆらす彼の姿は、このジャンルの「型」を完成させたと言っても過言ではありません。
2. 映画史上、最も恐ろしい悪:『狩人の夜』
俳優チャールズ・ロートンが監督した唯一の作品で、ミッチャムは偽伝道師ハリー・パウエルを演じました。
両手の指の付け根に「LOVE(愛)」と「HATE(憎)」の刺青を入れ、子供たちを執拗に追い詰めるその姿は、映画史上最も不気味で記憶に残る悪役の一つとなりました。彼の持つ怪しげな色気と冷酷さが、狂気となって爆発した傑作です。
3. 復讐に燃える怪物の原点:『恐怖の岬』
自分を刑務所に送った弁護士一家を追い詰める、前科者マックス・ケイディを演じました。
理屈の通じない圧倒的な暴力の恐怖を、鍛え上げられた肉体と不敵な微笑みで表現。後年のリメイク版にも出演しましたが、オリジナル版で見せた彼の「静かなる威圧感」は、今なお他の追随を許さない迫力に満ちています。
4. 哀愁の戦場:G・I・ジョウ
ミッチャムが初めてアカデミー賞候補となった、戦争映画の名作です。 最前線で兵士たちを率いる寡黙な大尉を演じました。
単なる英雄としてではなく、死と隣り合わせの日常に疲れ果てた一人の人間の姿をリアルに体現し、一躍スターダムへと駆け上がるきっかけとなりました。
5. 渋みを増した晩年の傑作:『エディ・コイルの友人たち』
晩年の傑作として知られる犯罪映画です。
組織の裏切り者となることを強いられる、落ちぶれた老いた犯罪者を演じました。かつてのタフなイメージを脱ぎ捨て、人生の黄昏時に立つ男の寂寥感を、ミッチャムは一切の装飾なしに演じ切り、その演技力の深さを改めて証明しました。
🎭 素顔と情熱:ロバート・ミッチャムを巡るパーソナル・エピソード
彼の「バッドボーイ」としての伝説は、作られたイメージではなく、彼自身の型破りな人間性から滲み出たものでした。
1. エピソード:ドロシー・ミッチャムとの生涯の絆
ハリウッドのプレイボーイ的なイメージとは裏腹に、ミッチャムは10代の頃に出会ったドロシー・スペンスと1940年に結婚し、1997年に彼が亡くなるまで57年間添い遂げました。数々の浮名やスキャンダルもありましたが、彼は常に「自分の港はドロシーだ」と語り、家庭を何よりも大切にしました。この私生活での一途さは、スクリーンでのアウトサイダーな役柄との興味深いギャップとして知られています。
2. スキャンダルを逆手に取ったカリスマ
1948年、マリファナ所持で逮捕され実刑判決を受けるという、当時としては致命的なスキャンダルを起こしました。しかし、釈放後に彼が放った「刑務所は自分にとって大学のようなものだった」という不敵なコメントと、変わらぬ堂々とした佇まいは、かえって彼の「不良」としての魅力を高める結果となりました。スキャンダルでキャリアが終わるどころか、人気がさらに加熱した稀な例です。
3. 「眠たげな眼」の秘密
彼のトレードマークである「スリーピー・アイ(眠たげな眼)」は、実は少年時代のボクシングの怪我や慢性的な不眠症、あるいはアレルギーが原因であったと言われています。しかし、その重い瞼が、役柄に独特の「ダルさ」や「ミステリアスな色気」を与え、彼の最大の武器となりました。
4. 詩と音楽を愛した野性
荒々しいイメージの強いミッチャムですが、実は非常に知的で、詩を書き、音楽を愛する文化的な一面も持っていました。カリプソやカントリーのアルバムをリリースしたこともあり、その低く心地よい歌声はプロの歌手としても通用するレベルでした。彼の演技に見られる「リズム」は、こうした音楽的感性から生まれていたのかもしれません。
5. 演技に対する独自の哲学
彼は自分の演技について聞かれると、いつも「セリフを覚えて、誰かにぶつからないように歩くだけだ」とはぐらかしていました。しかし、その実、台本を読み込み、現場では完璧に準備を整えてくるプロフェッショナルでした。過剰な演技(オーバー・アクティング)を最も嫌い、引き算の美学を貫いたのが彼のスタイルでした。
6. ジョン・ウェインも認めた「本物」
『エル・ドラド』で共演したジョン・ウェインは、当初ミッチャムの「やる気のない態度」を危ぶんでいましたが、撮影が始まるとその圧倒的な存在感に驚嘆。「あいつは、カメラが回った瞬間に世界で一番タフな男になる」と絶賛しました。
7. 「パットン大将」を断った理由
アカデミー賞を総なめにした『パットン大将』の主演オファーを、「戦争を美化したくない」という理由で断ったと言われています。名声よりも自分の信念(あるいは気まぐれ)を優先する、彼らしいエピソードです。
📝 まとめ:虚飾を脱ぎ捨て、真実を映した映画人生
ロバート・ミッチャムは、その重厚な佇まいと、何ものにも媚びない独自の美学をもって、ハリウッド黄金期に「アンチヒーロー」という新しい命を吹き込んだ俳優でした。
その歩みは、放浪生活で培った野性味を武器に、スターという虚像に背を向けながらも、銀幕という鏡の中に人間の本質的な孤独と強さを映し出し続けた不屈のプロセスでもありました。ノワールの闇から、西部の大地、そして戦場まで。彼が歩いた場所には常に、一人の男がただそこにいるというだけで成立する、至高の映画的瞬間が生まれていました。
79歳で幕を閉じたその生涯は、最期まで肩の力を抜いたまま、悠々と銀幕を去っていった、ひとつの伝説的な俳優としての映画人生でした。
[出演作品]
1943年 26歳
大空に生きる Aerial Gunner
1944年 27歳
1945年 28歳
1946年 29歳

時の終りまで Till the End of Time
1947年 30歳
1948年 31歳
1949年 32歳
1950年 33歳
1951年 34歳
禁じられた過去 My Forbidden Past
1952年 35歳
零号作戦 One Minute to Zero
1953年 36歳
1954年 37歳
セラーズ先生今日は She Couldn’t Say No
血ぬられし爪あと/影なき殺人ピューマ Track of the Cat
1955年 38歳
1956年 39歳
外国の陰謀 Foreign Intrigue
叛逆者の群れ Bandido
1957年 40歳
1958年 41歳
死の驀走 Thunder Road
1959年 42歳
怒りの丘 The Angry Hills
メキシコの暴れん坊 The Wonderful Country
1960年 43歳
抵抗する勇士 A Terrible Beauty
1961年 44歳
おかしな兵隊物語 The Last Time I Saw Archie
1962年 45歳
1963年 46歳
1964年 47歳
銃殺指令 Man in the Middle
1965年 48歳
ジャングル・モーゼ Mister Moses
1966年 49歳
1967年 50歳
1968年 51歳
5枚のカード 5 Card Stud
1969年 52歳
1970年 53歳
1972年 55歳
1973年 56歳
1974年 57歳
1975年 58歳
1976年 59歳
1977年 60歳
アムステルダム・キル The Amsterdam Kill
1978年 61歳
マチルダ Matilda
1980年 63歳
THEエージェンシー Agency
ナイトキル Nightkill
1982年 65歳
パラレル・デス/殺しの真相 One Shoe Makes It Murder
栄光の季節 That Championship Season
1983年 66歳
1984年 67歳
1985年 68歳
華麗なる旅路・新聞王ハーストの恋 The Hearst and Davies Affair
南北戦争物語 愛と自由への大地 North and South
1986年 69歳
1988年 71歳
戦争の黙示録 War and Remembrance (TV)
1989年 72歳
CIA/薔薇の復讐 Brotherhood of the Rose (TV)
私立探偵ジェイク Jake Spanner, Private Eye (TV)
1990年 73歳
ミッドナイト・ライド Midnight Ride
1991年 74歳
1993年 76歳
1994年 77歳
バック・ファイアー! ’Backfire!
1995年 78歳
1997年 80歳
傷心 ジェームズ・ディーン愛の伝説 James Dean: Race with Destiny (TV)


































































