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椿姫 Camille 1936|キャスト・あらすじ【ネタバレ】| グレタ・ガルボ

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神秘の微笑に隠された愛と犠牲。銀幕の女王が放つ永遠の悲恋

椿姫(字幕版)

19世紀パリ、椿の花を愛した高級娼婦マルグリット。真実の恋に目覚めながらも、愛する男の将来のために自ら泥沼へと戻る彼女の自己犠牲。グレタ・ガルボの神秘的な美しさが、悲劇を至高の芸術へと昇華させた決定版。

椿姫
Camille
(アメリカ 1936)

[製作] デヴィッド・ルイス/バーナード・H・ハイマン
[監督] ジョージ・キューカー
[原作] アレクサンドル・デュマ
[脚本] ゾエ・エイキンス/フランシス・マリオン/ジェームズ・ヒルトン
[撮影] ウィリアム・H・ダニエルズ/カール・フロイント
[音楽] ハーバート・ストザート
[ジャンル] ドラマ/恋愛
[受賞] NY批評家協会賞 主演女優賞(グレタ・ガルボ)

キャスト

グレタ・ガルボ
(マルグリット)

ロバート・テイラー
(アルマン)


ライオネル・バリモア (デュヴァル)
エリザベス・アラン (ニシェット)
ジェシー・ラルフ (ナニーヌ)

受賞・ノミネートデータ

  • 1937年 第10回アカデミー賞
    • ノミネート:主演女優賞(グレタ・ガルボ)
  • 1937年 ニューヨーク映画批評家協会賞
    • 受賞:主演女優賞(グレタ・ガルボ)
  • 評価
    • 数ある「椿姫」の映画化の中でも、本作はジョージ・キューカー監督の格調高い演出と、ガルボの圧倒的な存在感によって最高傑作と称されています。批評家からも「ガルボはこの役を演じるために生まれてきた」と絶賛され、現代でも非常に高い支持を得ている、不朽のクラシックです。


ストーリー

19世紀のパリ。高級娼婦マルグリット(グレタ・ガルボ)は、常に椿の花を身につけていることから「椿姫」と呼ばれ、パトロンであるバルヴィル男爵の庇護のもと、贅沢三昧の暮らしを送っていた。しかし、その華やかさの裏で、彼女の体は結核に蝕まれていた。

ある夜、彼女は純朴な青年アルマン(ロバート・テイラー)と出会う。富や名声ではなく、ただ一人の女性として自分を心から愛し、病身を案じるアルマンの清らかな情熱に、マルグリットは初めて真実の恋を知る。二人はパリを離れ、田舎で慎ましくも幸福な共同生活を始めるが、二人の仲を知ったアルマンの父デュヴァル(ライオネル・バリモア)が彼女を訪ねてくる。

アルマンの父は、息子と高級娼婦との関係が、アルマン自身の将来や妹の婚約に悪影響を及ぼすと説き、別れてほしいと懇願する。アルマンへの愛ゆえに、マルグリットは断腸の思いで別れを決意する。彼女はわざと冷酷な態度をとり、再び男爵のもとへ戻って放蕩生活を再開したように装ってアルマンを突き放した。

真実を知らないアルマンは彼女の裏切りを憎み、再会した夜会で彼女を激しく侮辱する。マルグリットの病状は急速に悪化し、死を目前にしてようやく真実を知ったアルマンが彼女のもとに駆けつける。アルマンの腕の中で、かつての幸せな日々を思い出しながら、マルグリットは静かに微笑んで息を引き取るのだった。


エピソード・背景

  • ガルボのキャリア最高作
    ガルボは本作の演技で、ただの「絶世の美女」から「伝説の演技派女優」へとその評価を決定づけました。彼女の仕草一つ一つが、マルグリットの孤独と高潔さを表現しています。
  • ロバート・テイラーの抜擢
    当時「最も完璧な顔の男」と呼ばれたテイラーがアルマンを演じました。彼の若々しい情熱が、ガルボの落ち着いた美しさをより一層際立たせています。
  • 豪華な美術と衣裳
    MGMが誇る最高のスタッフが集結し、19世紀パリの社交界を贅を尽くして再現。ガルボが纏うドレスの数々は、今なおモードの歴史において語り草となっています。
  • 監督ジョージ・キューカー
    「女性映画の巨匠」と呼ばれた彼の手腕により、原作の持つ通俗的な要素が排除され、一人の女性の魂の遍歴としての深みが与えられました。
  • 死の床のリアリズム
    ガルボは最期のシーンの撮影にあたり、死を目前にした人間の虚ろな美しさを出すため、細心の注意を払ってメイクや照明を調整させたと言われています。


まとめ:作品が描いたもの

本作が描くのは、社会的な地位や過去をすべて超えてしまう「純愛」の力と、その愛を守るために自らを犠牲にする「聖女」の精神です。マルグリットが選んだ道は、愛する人を汚さないための、最大級の愛の証明でした。

「椿姫」という物語は古今東西で語り継がれていますが、ガルボが演じたことで、この悲劇は単なる恋愛ドラマを超え、人間の気高さへの賛歌となりました。泥沼の中に咲いた一輪の椿のような、彼女の生き様は観る者の心を浄化します。


〔シネマ・エッセイ〕

劇中、マルグリットがアルマンの父の願いを聞き入れ、手紙を書くシーン。震える手で愛する人への別れを綴るガルボの横顔には、全世界の悲しみを背負ったような深みがあります。

愛しているからこそ、そばにいてはいけない。その矛盾を抱えながら、わざと悪女を演じて男を傷つける苦しみ。あのラストシーンで、アルマンに抱かれながら眠るように逝く彼女の表情は、ようやく重荷を下ろした安らぎに満ちていました。

ガルボという女優が持つ、どこかこの世の者ではないような「神秘性」。それがこの1936年版『椿姫』を、永遠に古びることのない奇跡のような一本にしています。モノクロの画面から漂う椿の香りと、彼女の消え入りそうな囁き声。映画が「魔法」であった時代の名残を、存分に味わえる傑作です。

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