インサイダー
The Insider
(アメリカ 1999)
[製作] ピーター・ジャン・ブルッジ／マイケル・マン／マイケル・ワックスマン／キャスリーン・Ｍ・シェア／ガスマーノ・カセレッティ
[監督] マイケル・マン
[原作] マリー・ブレナー
[脚本] エリック・ロス／マイケル・マン
[撮影] ダンテ・スピノッティ
[音楽] ピーター・バーク／リサ・ジェラード／グレアム・レヴェル
[ジャンル] スリラー／ドラマ／実話
[受賞]
ボストン批評家協会賞助演男優賞（クリストファー・プラマー）
ブロードキャスト批評家協会賞男優賞（ラッセル・クロウ）
ロンドン批評家協会賞男優賞（ラッセル・クロウ）
LA批評家協会賞男優賞（ラッセル・クロウ）／撮影賞／作品賞
ナショナル・ボード・オブ・レビュー 監督賞／男優賞（ラッセル・クロウ）
キャスト
アル・パチーノ （ローウェル・バーグマン）
ラッセル・クロウ （ジェフリー・ワイガンド）
クリストファー・プラマー （マイク・ウォレス）
ダイアン・ヴェノーラ （リアン・ワイガンド）
フィリップ・ベイカー・ホール （ドン・ヒューイット）
リンゼイ・クルーズ （シャロン・ティラー）
デビー・メイザー （デビー・デ・ルーカ）
スティーヴン・トボロウスキー （エリック・クラスター）
コーム・フィオレ （リチャード・スクラッグス）
ブルース・マクギル （ロン・モトリー）
ジーナ・ガーション （ヘレン・カペレッリ）
マイケル・ガンボン （トーマス・サンドファー）
リップ・トーン （ジョン・スカンロン）
ストーリー
「インサイダー」は、マイケル・マンが監督したサスペンスドラマ映画。実話に基づいており、タバコ業界の内部告発者ジェフリー・ワイガンドと、その情報を公表しようとする「60 Minutes」プロデューサーのローウェル・バーグマンの闘いを描いている。主演はラッセル・クロウとアル・パチーノ。
ジェフリー・ワイガンド（ラッセル・クロウ）は、タバコ会社ブラウン＆ウィリアムソンの元研究開発担当者。彼は会社がタバコの中毒性を高めるために秘密裏に行っている活動について知っており、その情報を公表しようと決心する。ローウェル・バーグマン（アル・パチーノ）は、CBSのニュース番組「60 Minutes」のプロデューサーで、ワイガンドの話を取り上げるべく接触する。
ワイガンドは、家族や自身の安全を危険にさらすことを恐れつつも、真実を公表するために決断する。しかし、タバコ業界とその関連機関からの圧力が彼らを襲い、放送内容を巡ってCBS内部でも激しい議論が巻き起こる。バーグマンとワイガンドは、真実を明らかにするための困難な戦いに直面する。
エピソード
ラッセル・クロウの役作り：
クロウは実際のジェフリー・ワイガンドと面会し、彼の話し方や動作を徹底的に研究した。役作りの一環として体重も増やし、ワイガンドの風貌に近づけた。
アル・パチーノのキャスティング：
パチーノは、ジャーナリストのローウェル・バーグマンを演じ、彼の情熱と倫理観を強調した演技で評価された。パチーノは実際のバーグマンとも話し合い、役に深みを加えた。
マイケル・マンの演出スタイル：
マン監督は、リアリズムを追求するために、登場人物たちの内面を丁寧に描写するスタイルを採用した。特に、告発者の孤独感と恐怖を強調するためのカメラワークと音響が際立っている。
実際の事件との一致：
映画は、実際に起きたタバコ業界の内部告発事件に基づいており、登場人物や出来事は実際の人物や事件にかなり忠実に描かれている。
クリストファー・プラマーの役作り：
プラマーは、ニュースキャスターのマイク・ウォレスを演じ、そのキャラクターに本物のウォレスの風格とカリスマ性を注ぎ込んだ。
製作背景の挑戦：
タバコ業界の影響力が大きい中で、この映画を制作すること自体が挑戦であり、マイケル・マンとキャストは多くのプレッシャーに直面した。
役者たちの準備：
キャストはそれぞれの役に対して徹底的なリサーチを行い、実際の人物の仕草や話し方を取り入れてリアリティを追求した。
映画の評価：
「インサイダー」は公開後、批評家から絶賛され、特に演技と脚本、演出の質が高く評価された。ラッセル・クロウとアル・パチーノの演技は特に称賛された。
社会的影響：
映画は、タバコ業界の暗部を公にした実際の出来事を基にしており、その内容が広く知られることで社会的な影響を与えた。
アル・パチーノとラッセル・クロウの共演：
これはアル・パチーノとラッセル・クロウが初めて共演した映画であり、二人の間の相性が映画の強さの一つとなっている。撮影中、パチーノはクロウの役作りへの献身に感銘を受けたという。
マイケル・マンのリアリズム追求：
マイケル・マン監督は、リアリズムを追求するために、撮影中に実際のニュース番組の撮影手法を研究し、映画内でそれを再現した。また、映画内での法律事務所やオフィスシーンは実際のオフィスやCBSのスタジオなどで撮影され、現実感を高めている。
ジャーナリストのアドバイス：
撮影前に、キャストとスタッフは実際のジャーナリストやメディア関係者と面会し、報道の倫理や内部告発の複雑さについて学んだ。この事前準備が、映画のリアリティを支える要素となった。
脚本の執筆過程：
脚本は、実際の事件の詳細な調査に基づいており、内部告発の影響とメディアの役割についての深い理解が反映されている。脚本家のエリック・ロスとマイケル・マンは、事実に基づいたドラマを構築することに注力した。
編集の挑戦：
編集過程では、膨大な撮影素材を扱う必要があった。編集チームは、物語の緊張感を維持しながらも、複雑なストーリーラインを明確にするために、細心の注意を払って編集を行った。
映画の反響：
公開後、映画は広く評価され、特に演技と脚本が高く評価された。映画はまた、タバコ業界とメディアの関係についての社会的な議論を喚起した。
賞レースでの成功：
「インサイダー」は、第72回アカデミー賞で7部門にノミネートされ、特にラッセル・クロウが主演男優賞にノミネートされた。映画のリアリティと社会的テーマが賞レースでも評価された。
「インサイダー」は、タバコ業界の内部告発事件を描いた緊張感あふれるサスペンスドラマだ。マイケル・マンの監督としての手腕が光り、リアリズムと感情的な深みが両立した作品となっている。ラッセル・クロウとアル・パチーノの演技は非常に強力で、特にクロウの役作りとパフォーマンスが絶賛された。映画は、企業の陰謀と個人の倫理の対立を描き、観客に深い印象を残す。社会的なテーマを扱いながらも、エンターテイメント性を失わない秀逸な作品だ。
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