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アンダルシアの犬 Un chien andalou 1929

1920

アンダルシアの犬 [DVD]

アンダルシアの犬
Un chien andalou
(フランス 1929)

[製作] ルイス・ブニュエル
[監督] ルイス・ブニュエル
[原作・脚本] ルイス・ブニュエル/サルバドール・ダリ
[撮影] アルバート・デュヴェルジェ/ジミー・バーリエット
[ジャンル] ショートフィルム/シュール




キャスト

ピエール・バッチェフ (男)
シモーヌ・マレイユ (少女)

ルイス・ブニュエル
(男(プロローグ) )


サルバドール・ダリ (神学校生)

概要

「アンダルシアの犬」は、スペインの映画監督ルイス・ブニュエルと画家サルバドール・ダリが共同で制作した前衛的な短編映画である。この作品は、シュルレアリスム映画の代表作として広く知られており、その斬新な映像表現と挑発的な内容で映画史に名を刻んでいる。


ストーリー

映画は、論理的なストーリーや時間の流れを持たず、夢や潜在意識を映像化したような構造を持っている。

冒頭のシーンでは、満月を背景にした空の下で、男(ブニュエル自身が演じる)が女性の目を剃刀で切るという衝撃的な映像が登場する。このシーンは、映画全体のトーンを設定し、観客に強烈な印象を与える。

その後のシーンも、因果関係や論理性を無視した夢のようなイメージが続く。例えば、男性が自転車に乗ったり、手に穴が開いてそこからアリが出てくるシーン、ピアノを引っ張る男女とそれに付随する死体など、現実の法則を超越した映像が次々と展開される。

これらのシーンは、従来の論理や因果関係を無視し、夢の中で経験するような断片的で不連続なイメージが次々と展開される。具体的なストーリーラインはなく、観客は映像の意味を自分なりに解釈することを求められる。

ブニュエルとダリは、映画の制作にあたり、夢日記や無意識のイメージを参考にしたとされている。彼らの目的は、観客の潜在意識に訴えかけ、既存の映画表現やストーリーテリングの枠を打ち破ることだった。そのため、映画は明確なメッセージやテーマを持たず、観客の解釈に委ねられている。

「アンダルシアの犬」は、その過激な内容と独創的な映像スタイルにより、公開当初から物議を醸した。しかし、その後の映画制作に大きな影響を与え、シュルレアリスム運動の重要な作品として評価されるようになった。また、映画は20分という短い尺ながら、その濃密な映像体験によって多くの観客に強い印象を残している。

エピソード

  • ルイス・ブニュエルとサルバドール・ダリは、夢の中で見たイメージを基に映画を作ろうと決意し、わずか数日の間に脚本を書き上げた。
  • 映画の冒頭で女性の眼球が切られるシーンは、牛の眼球を使って撮影され、映画史に残る衝撃的なシーンとなった。
  • 「アンダルシアの犬」は、シュルレアリスム運動の一環として制作され、当時の前衛芸術家たちに大きな影響を与えた。
  • 映画の制作費は、ブニュエルの母親からの援助によって賄われた。
  • タイトル「アンダルシアの犬」には特に意味がなく、映画の内容とは直接関係がない。タイトル自体もシュルレアリスム的な手法として選ばれた。
  • 映画の初公開は、1929年6月にパリで行われ、シュルレアリスムの支持者や反対者を巻き込んで大きな話題となった。
  • ブニュエルとダリはこの映画の成功を機にさらに合作を計画したが、最終的には芸術的な意見の相違から袂を分かつことになった。
  • 映画は、連続性や物語の論理を無視した断片的なシーンの連続で構成され、視覚的な衝撃を与えることを目的としている。
  • 「アンダルシアの犬」は、後の多くの映画制作者に影響を与え、シュルレアリスムや実験映画の分野での基礎となった。
  • ブニュエルとダリは続編「黄金時代」を制作し、この作品もシュルレアリスム映画として高く評価されている。



「アンダルシアの犬」は、その斬新な視覚表現とシュルレアリスムの哲学で映画史に大きな足跡を残している。この映画は、従来の映画の枠を超え、夢のようなイメージと象徴で観客を魅了し続けている。ルイス・ブニュエルとサルバドール・ダリの才能が結集したこの作品は、今なお多くの人々に影響を与え続けている。

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