ムーンライト&ヴァレンチノ
Moonlight and Valentino
(アメリカ 1995)
[製作] ティム・ビヴァン/エリック・フェルナー/アリソン・オーウェン/メアリー・マクラグレン/ライザ・チェイシン
[監督] デヴィッド・アンスポー
[原作] エレン・サイモン
[脚本] エレン・サイモン
[撮影] ジュリオ・メイキャット
[音楽] ハワード・ショア
[ジャンル] ドラマ/恋愛
キャスト

エリザベス・パーキンス
(レベッカ・トレイガー・ロット)

ウーピー・ゴールドバーグ
(シルヴィ・モロー)
シャディア・シモンズ (ジェニー・モロー)
エリカ・ラットレル (ドリュー・モロー)
マシュー・コラー (アレックス・モロー)

グウィネス・パルトロウ
(ルーシー・トレイガー)

キャスリーン・ターナー
(アルバータ・トレイガー)
スコット・ウィックウェア (警官)
ケリー・フォックス (看護師)
ハリソン・リュー (ウォン氏)
ウェイン・ラム (ウォンの息子)
ケン・ウォン (ウォンの父)
カールトン・ワトソン (ヘンリック)
ジャック・ジェソープ (シド)
ジョセフ・ソマー (トーマス・トレイガー)

ジョン・ボン・ジョヴィ
(ペンキ屋)
トリム (ヴァレンティノ)
ジェレミー・シスト (スティーヴン)

ピーター・コヨーテ
(ポール)
ストーリー
大学教授のレベッカ(エリザベス・パーキンス)は、ジョギング中に事故で夫を亡くすという突然の悲劇に見舞われる。深い喪失感に沈み、日常生活を送ることさえ困難になった彼女のもとに、親友のシルヴィ(ウーピー・ゴールドバーグ)、妹のルーシー(グウィネス・パルトロウ)、そして義母のキャサリン(キャスリーン・ターナー)が集まった。
性格も人生観も異なる四人の女性たちは、レベッカを励まそうと奮闘するが、それぞれの抱える悩みや不満も噴出し、衝突を繰り返す。そんな中、レベッカの誕生日に、キャサリンは家の外壁の塗装をプレゼントとして手配する。やってきたのは、謎めいた雰囲気を持つ若くハンサムな塗装工(ジョン・ボン・ジョヴィ)であった。
レベッカは、無口ながらも誠実に仕事に打ち込み、時に核心を突く言葉を投げかける塗装工との交流を通じて、閉ざしていた心を少しずつ開き始める。亡き夫への罪悪感や、将来への不安を四人の対話の中で曝け出し、彼女たちは互いの傷を癒やし合っていく。塗装工が仕事を終えて去る頃、レベッカは悲しみを抱えながらも、自らの足で新しい一歩を踏み出す勇気を取り戻していた。
エピソード・背景
- 劇作家エレン・サイモンの実体験
本作は、劇作家エレン・サイモン(ニール・サイモンの娘)が、自身の夫を亡くした体験を基に執筆した舞台劇を映画化したものです。セリフの端々に、経験者ならではのリアルな感情が込められています。 - ジョン・ボン・ジョヴィの映画デビュー
ロック・スターとして絶大な人気を誇っていたジョン・ボン・ジョヴィの本格的なスクリーンデビュー作です。彼はこの役を得るために、自らオーディションを受けてチャンスを掴み取りました。 - 豪華な女優陣のアンサンブル
エリザベス・パーキンスを中心に、ウーピー・ゴールドバーグ、キャスリーン・ターナー、そして当時注目株だった若きグウィネス・パルトロウといった、世代もタイプも異なる実力派たちが顔を揃えました。 - 対照的な女性像の描写
几帳面なレベッカ、奔放なシルヴィ、経験豊かなキャサリン、純粋なルーシーという四者四様の女性像を描くことで、観客が誰かしらに共感できるような多角的な構成となっています。 - 癒やしのプロセス
劇中では、安易な解決策を提示するのではなく、泣き、笑い、怒り、語り合うという一連のプロセスこそが心の癒やし(セラピー)になるという点が強調されています。
まとめ:作品が描いたもの
本作は、人生の過酷な局面において「友人や家族というコミュニティ」がいかに大きな支柱となるかを静かに訴えかけています。主人公が再び前を向くきっかけとして、恋愛要素をあくまで「再生のスパイス」として控えめに配置し、女性同士の連帯と自己発見に主眼を置いた構成が特徴的です。
悲劇から始まる物語ではありますが、全編を通して穏やかで優しい空気が流れており、大切な人を亡くした経験を持つ人々にとっての「癒やしの処方箋」となるような一作に仕上がっています。1990年代の良質なヒューマン・ドラマとして、今なお根強いファンを持つ作品と言えるでしょう。


