PR

俺たちは天使じゃない We’re No Angels 1955

ローレライ@洋画愛好家をフォローする

脱獄囚3人と1匹の毒蛇が繰り広げるブラックで温かな奇跡——名匠マイケル・カーティスが贈るクリスマスの快作コメディ!

名作『カサブランカ』の巨匠マイケル・カーティス監督が、ハンフリー・ボガート、ピーター・ユスティノフ、アルド・レイを迎えて描いたロマンチック・ブラックコメディ。

流刑地から脱獄した3人の心優しき囚人たちが、親切な家族を救うために不器用な「奇跡」を起こしていく姿をコミカルに描き出す。

俺たちは天使じゃない
We’re No Angels
(アメリカ 1955)

[製作] パット・デューガン
[監督] マイケル・カーティス
[原作] アルベール・ユッソン
[脚本] ロナルド・マクドゥーガル
[撮影] ロイヤル・グリッグス
[音楽] フレデリック・ホランダー
[ジャンル] コメディ

キャスト

ハンフリー・ボガート
(ジョゼフ)

アルド・レイ (アルベール)

ジョーン・ベネット
(アメリー・デュコテル)

グロリア・タルボット (イザベル・デュコテル)
ベイジル・ラスボーン (アンドレ・トロシャール)
レオ・G・キャロル (フェリックス・デュコテル)
ジョン・ベア (ポール・トロシャール)



評価

アルバール・フッソの戯曲『天使の給仕(My Three Angels)』を原作に、ハリウッド黄金期のスターたちが絶妙な掛け合いを見せる極上のコメディです。 普段はハードボイルドな悪役やタフガイを演じることが多いハンフリー・ボガートが見せる人間味あふれるユーモラスな演技が高く評価されています。

南米の異国情緒溢れるヴィスタビジョン映像と、毒薬や殺人といったブラックな要素を心温まる人情劇へと昇華させた脚本の見事さが光ります。

あらすじ:脱獄囚たちが巡り会った親切な一家

1895年のクリスマス・イヴ。南米仏領ギアナの流刑地悪魔島から脱獄した3人の囚人、帳簿誤魔化しの天才ジョセフ(ハンフリー・ボガート)、元金庫破りのジュールス(ピーター・ユスティノフ)、そして腕っぷしの強い殺人犯アルベール(アルド・レイ)は、港町の雑貨店に身を潜める。

彼らは逃亡資金や服を手に入れるため、お人好しな店主フェリックス(レオ・G・キャロル)の一家をカモにしようと企む。しかし、店主の家族の温かいもてなしや、一人娘イザベル(グロリア・タルボット)の純粋さに触れるうちに、3人は一家に情を移してしまう。

そんな中、本国から強欲で冷酷な店のオーナー、アンドレ(ベイジル・ラスボーン)とその甥が到着。フェリックス一家を全財産失う危機へと追い詰めていく。見かねた3人の脱獄囚は、得意の「犯罪スキル」とペットの猛毒蛇アドルフを使って、一家を救うために立ち上がるのだった。

横暴なアンドレはフェリックスたちの帳簿を奪い、家を追い出そうと画策する。しかし、アルベールが可愛がっていたペットの猛毒蛇アドルフがアンドレの胸ポケットに忍び込み、噛まれたアンドレはそのままショック死してしまう。

続いてイザベルの恋心を踏みにじろうとしたアンドレの嫌みな甥も、自らアドルフの入った籠に手を突っ込んで噛まれ、呆気なく命を落とす。悪人ふたりが都合よく姿を消したことで、帳簿はジョセフの手で見事に書き換えられ、フェリックス一家には財産と平穏な未来がもたらされる。

無事に一家を救い出し、心温まるクリスマスを過ごした3人は、再び逃亡の旅に出るべく港へ向かう。しかし、世間の世知辛さと一家の見せた温もりを思い返した彼らは、下手に下界へ逃げるよりも「刑務所の中にいるほうが平和で安全だ」と悟る。頭上に天使の輪のような後光を浮かべながら、3人は自ら進んで刑務所へと引き返していくのだった。

エピソード・背景

  • ハンフリー・ボガート屈指のコメディ演技
    『カサブランカ』や『マルタの鷹』などの重厚な映画で知られる大スター、ハンフリー・ボガートが本格的なコメディに挑戦した稀有な作品です。インテリで計算高い脱獄囚ジョセフを洒脱かつユーモラスに演じ切りました。
  • 名優ベイジル・ラスボーンのハマリ役
    シャーロック・ホームズ役で有名な名優ベイジル・ラスボーンが、本作では一転して冷酷非道で憎々しい悪役アンドレを好演。彼の嫌み溢れる存在感が、脱獄囚たちの「世直し」の快感を一層引き立てています。
  • 1989年のリメイク版『俺たちは天使じゃない』
    本作は1989年にロバート・デ・ニーロとショーン・ペン主演、ニール・ジョーダン監督によって同名タイトルでリメイク(設定はアメリカの刑務所等に変更)されました。
  • 隠れた主役「猛毒蛇アドルフ」
    劇中で悪人たちを次々と退治する毒蛇アドルフ。画面に直接映る時間は少ないものの、3人が大切に持っている籠の存在自体がサスペンスとユーモアを生み出す絶妙な狂言まわしとなっています。
  • 舞台劇ベースの洗練された密室劇
    物語のほとんどが雑貨店の店内とリビングという限られた空間で展開します。マイケル・カーティス監督のテンポ良い演出と、3人のテンポ感あふれる会話劇が観客を飽きさせません。

まとめ:作品が描いたもの

罪人であるはずの脱獄囚たちが、世間の「正しい人々」よりもはるかに深い優しさと正義感を発揮する逆転劇を描いた心温まるブラックコメディです。法や倫理の枠組みを超えた場所にある人間の善意と温もりを通し、皮肉とユーモアに満ちたクリスマスの奇跡を見事に描き出しています。

〔シネマ・エッセイ〕

熱帯の眩い光が差し込む古い雑貨店と、ツリーに飾られた慎ましいオーナメント。不吉な毒蛇を抱えた脱獄囚たちが醸し出す不調和な空気が、どこか温かく愛おしいおとぎ話の時間を紡ぎ出します。

不器用な男たちが魅せる偽りのない善意が、ブラックユーモアの爽快感以上に私の心を強く揺さぶります。逃亡という己の欲望をあっさりと後回しにし、親切にしてくれた一家のために悪知恵を絞る3人の姿。罪人という烙印を押された彼らの胸の奥に、誰よりも純粋な優しさが眠っていたのだと気づかされ、胸が熱くなります。

悪人が去り、平穏を取り戻した家を背にしながら、自ら刑務所へと戻っていくラストシーン。頭上にうっすらと浮かび上がる光の輪を抱え、満足げに歩む彼らの後ろ姿には、どんな「聖人」よりも人間らしく温かな気品が満ちあふれています。

タイトルとURLをコピーしました