PR

戦争と平和 War and Peace 1956

ローレライ@洋画愛好家をフォローする

ロシアの大地を揺るがすナポレオン戦争と愛の流転、文豪トルストイの壮大な大河小説を映画化した超大作スペクタクル!

名匠キング・ヴィダー監督が、ハリウッドの永遠の妖精オードリー・ヘプバーンと名優ヘンリー・フォンダを迎えて描いた超大作歴史劇。

19世紀初頭のロシアを舞台に、ナポレオンの侵攻という歴史の大激動に翻弄されながらも、愛と人生の意味を模索し続ける貴族たちの愛憎と成長を描き出す。

戦争と平和
War and Peace
(アメリカ・イタリア 1956)

[製作総指揮] カルロ・ポンティ
[製作] ディーノ・デ・ラウレンティス
[監督] キング・ヴィダー
[原作] レフ・トルストイ
[脚本]
ブリジット・ボランド/ロバート・ウェスタービー/マリオ・カメリーニ/エンニオ・デ・コンチーニ/イヴォ・ペリリ/ジャン・ガスパーレ・ナポリターノ/アーウィン・ショー
[撮影] ジャック・カーディフ
[音楽] ニーノ・ロータ
[ジャンル] ドラマ/恋愛/戦争
[受賞] ゴールデン・グローブ賞 外国語映画賞

キャスト

オードリー・ヘプバーン
(ナターシャ)

ヘンリー・フォンダ
(ピエール)

ヴィットリオ・ガスマン (アナトール)

アニタ・エクバーグ
(エレーヌ)

メル・ファーラー
(アンドレイ王子)

ハーバート・ロム (ナポレオン)
オスカー・オモルカ (クツゾフ将軍)
ヘルムート・ダンティン (ドロクホフ)



受賞・ノミネートデータ

受賞年部門結果
1957第29回アカデミー賞監督賞(キング・ヴィダー) / 撮影賞(カラー部門) / 衣裳デザイン賞(カラー部門)ノミネート
1957第14回ゴールデングローブ賞最優秀外国映画賞受賞
1957第10回英国アカデミー賞最優秀作品賞 / 最優秀外国女優賞(オードリー・ヘプバーン)ノミネート

評価

ロシア文学の至高の傑作を、ハリウッドとイタリア(チネチッタ)の映画技術を惜しみなく投入して完全映像化した巨編です。 イタリア軍の協力を得て再現された数万人のエキストラによる合戦シーンの圧倒的な迫力と、オードリー・ヘプバーンが体現したヒロイン・ナターシャのみずみずしい魅力を高く評価されています。ニーノ・ロータが手がけた壮麗で哀愁漂う音楽も物語に深い余韻を与えています。

あらすじ:ナポレオンの影と、可憐な少女の成長

1805年のロシア・サンクトペテルブルク。富豪の不義子として苦悩しながらも純粋な心を持つ青年ピエール(ヘンリー・フォンダ)は、名門ロストフ家の伯爵令嬢ナターシャ(オードリー・ヘプバーン)と深い友情で結ばれていた。

天真爛漫な少女から魅力的な女性へと成長したナターシャは、ピエールの親友で知的で冷徹なアンドレイ公爵(メル・ファーラー)と恋に落ち、将来を誓い合う。しかし、アンドレイの厳格な父の反対により、結婚は1年延期されてしまう。その焦燥の最中、ナターシャはプレイボーイのアナトール(ヴィットリオ・ガスマン)の誘惑に惑わされ、アンドレイとの絆を自ら壊してしまう。

やがて1812年、ナポレオン率いるフランス大軍勢がロシア本土へ侵攻を開始。平和な貴族社会は一変し、若者たちは過酷な戦火の中へと引きずり込まれていくのだった。

ボロジノの戦いで重傷を負ったアンドレイは、戦火のモスクワから避難するロストフ家の車列の途上でナターシャと奇跡的に再会する。死の床にあるアンドレイにナターシャは涙ながらに許しを請い、彼は彼女の愛に包まれながら静かに息を引き取る。

一方、ナポレオン暗殺を企てるも捕虜となったピエールは、極限状態の行軍の中で農夫の言葉に触れ、真の生きる意味を見出す。やがて冬の寒さとロシア軍の反撃によってフランス軍は潰走し、ピエールは無事に救出される。

荒廃したモスクワへ戻ったピエールは、戦争の悲劇を経て大人へと成長したナターシャと再会する。様々な回り道と試練を乗り越えた二人は、互いこそが魂の伴侶であることに気づき、静かに手を取り合って新しい時代の光の中へと歩み出していくのだった。

エピソード・背景

  • オードリー・ヘプバーンと夫メル・ファーラーの夫婦共演
    当時のオードリー・ヘプバーンの実生活の夫であるメル・ファーラーが、彼女の恋人アンドレイ公爵役で共演。『ローマの休日』や『麗しのサブリナ』に続く彼女の主演作として世界的な大ヒットを記録しました。
  • イタリア軍兵士数万人が動員された「ボロジノの戦い」
    イタリアのポンティ=デ・ラウレンティス・プロダクションが手がけ、チネチッタ撮影所やローマ近郊でロケが行われました。イタリア軍兵士約15,000人以上がエキストラとして動員されたボロジノの戦いやモスクワ撤退戦のスケール感は圧倒的です。
  • 映画音楽の巨匠ニーノ・ロータによる珠玉のスコア
    後に『ゴッドファーザー』などを手がける天才作曲家ニーノ・ロータが音楽を担当。華やかな舞踏会を彩るワルツや、ナターシャの愛のテーマ、ロシアの広大な大地を思わせる重厚な楽曲群が映画を鮮やかに彩っています。
  • 名匠ディノ・デ・ラウレンティスらのプロデュース
    ハリウッドの大規模予算とイタリア映画界の俊英プロデューサー(ディノ・デ・ラウレンティスとカルロ・ポンティ)がタッグを組み、当時のヨーロッパ映画史上最大級の製作費を投入して制作されました。
  • ヘンリー・フォンダの役柄に対する葛藤
    当時50歳を超えていたヘンリー・フォンダが、原作では20代前半の青年ピエールを演じることに対し、彼自身は最初不釣り合いではないかと懸念を示していました。しかし、彼の持つ誠実で知的な雰囲気が作品の倫理的支柱となっています。
  • のちのソ連版『戦争と平和』(1967年)への影響
    本作の世界的ヒットとハリウッド的な解釈に対抗して、当時のソビエト連邦が国威を発揮するために巨額の国費を投じて全4部作のソ連版『戦争と平和』(セルゲイ・ボンダルチュク監督)を制作するきっかけとなりました。

まとめ:作品が描いたもの

国家間の巨大な戦争という不条理な暴力の渦中で、人間がいかに傷つき、そして愛によって再生していくかを描いた大河スペクタクルの傑作です。

純粋な少女が苦難を経て成熟した女性へと変わる姿と、狂気の中で真理を見出す男の生き様を通し、人生の尊さと平和への祈りを高らかに歌い上げています。オードリーの神聖な美しさと圧倒的な画面のスケールが融合した名作と言えるでしょう。

〔シネマ・エッセイ〕

シャンデリアが眩い光を放つ絢爛たる舞踏会のフロアと、雪原を赤く染めていく炎と血。スクリーンが映し出す美と破壊の対比は、人間の生の美しさと命の儚さを痛烈に浮き彫りにします。

この作品の輝きを支えているのは、オードリー・ヘプバーン演じるナターシャの可憐な瞳に他なりません。白いドレスの裾を揺らしてワルツを踊る無垢な歓喜から、戦火の中で愛する者の死を看取る哀しみの表情へ。少女から大人へと運命の嵐をくぐり抜けていく彼女の成長は、どんな悲劇の中でも消えることのない人間の希望の光そのものです。

焼け野原となったモスクワの街並みで、静かに交わされる再会の微笑み。戦争という嵐が過ぎ去ったあとに残るものは、ただ一人ひとりが紡ぎ出す慎ましい愛の営みなのだという真実が、胸の奥深くに温かく染み渡っていきます。

タイトルとURLをコピーしました