外人部隊
Le grand jeu
(フランス 1934)
[監督] ジャック・フェデー
[脚本] ジャック・フェデー/シャルル・スパーク
[撮影] ハリー・ストラドリング/モーリス・フォレスター
[音楽] ハンス・アイスラー
[ジャンル] ドラマ/恋愛
ピエール・リシャール・ウィルム (ピエール)
マリー・ベル (フロレンス/イルマ)
ジョルジュ・ピテフ (ニコラ)
カミーユ・ベール (大佐)
リーン・クレヴェール (ダーヴィル)
アンドレ・デュボック (ベルナール)
フランソワーズ・ロゼー
(ブランシュ)
「外人部隊」は、ジャック・フェデー監督によるフランスのドラマ映画。映画は、フランス外人部隊に入隊した男が、自らの過去と向き合う姿を描いている。主演はピエール・リシャール=ウィルム、マリー・ベル、シャルル・ボワイエ。
フィリップ・フレモン(ピエール・リシャール=ウィルム)は、パリで成功した弁護士だが、財政的な問題に直面し、逃避するようにフランス外人部隊に入隊する。彼はアフリカのサハラ砂漠での新しい生活を始めるが、過去の恋人フロランス(マリー・ベル)に似たイレーヌという女性と出会う。イレーヌは、過去のフロランスと同じようにフィリップを魅了し、彼の感情をかき乱す。
フィリップは、自分が愛したフロランスとイレーヌの間に奇妙な類似性を見出し、彼の心は混乱する。彼は、イレーヌを通じて過去の記憶と向き合うことを余儀なくされ、彼女の正体について疑念を抱く。彼の新しい人生と過去の因縁が交錯し、フィリップは自身の感情と運命を見つめ直すことになる。
ジャック・フェデーの監督スタイル:
フェデーは、映画に詩的なリアリズムを持ち込むことを意図しており、そのスタイルは当時のフランス映画に影響を与えた。
撮影場所:
映画は、フランスとアフリカのサハラ砂漠で撮影され、その広大な風景が映画の舞台となった。これにより、物語にエキゾチックな雰囲気が加えられている。
フランス外人部隊の描写:
映画は、フランス外人部隊の生活とその兵士たちの孤独感をリアリスティックに描写しており、これが物語のリアリティを増している。
フェデーのビジュアルスタイル:
フェデーは、映画のビジュアルスタイルに特にこだわり、光と影の対比を利用してキャラクターの感情や物語の雰囲気を強調した。
フランス映画の流れ:
この映画は、1930年代のフランス映画における詩的リアリズムの一部として位置付けられ、当時の映画製作における革新性を示している。
演技スタイル:
キャストは、フェデーの指導のもとで自然主義的な演技を追求し、特に感情的なシーンでの表現が強調されている。
原作との関係:
映画は、モーリス・ド・コブルリの小説「Le grand jeu」を原作としている。原作小説は当時のフランスで人気を博しており、そのドラマティックな内容が映画化のきっかけとなった。
マリー・ベルの変身:
マリー・ベルは、二役を演じることで大きな変化を見せた。彼女はフロランスとイレーヌという異なるキャラクターを巧みに演じ分け、観客を混乱させるような演技を披露した。
ジャック・フェデーとマリー・ベルの関係:
フェデーとベルはこの映画の成功を機に、さらに多くのプロジェクトでコラボレーションを行うこととなった。彼らのプロフェッショナルな関係はフランス映画界でよく知られている。
映画のテーマと社会背景:
映画は、戦間期のフランス社会におけるアイデンティティの喪失と再生のテーマを探求しており、その社会的背景が物語の深みを増している。
「外人部隊」は、ジャック・フェデー監督の詩的リアリズムと深い人間洞察が光る作品だ。ピエール・リシャール=ウィルムとマリー・ベルの演技が、物語の中心となるフィリップの内面的な葛藤と愛の喪失を見事に表現している。映画は、愛と記憶、そしてアイデンティティの探求という普遍的なテーマを扱っており、観客に深い感動を与える。
フェデーのビジュアルスタイルと光と影の対比を利用した演出が、物語に詩的な美しさを加えている。また、フランス外人部隊という設定が映画にエキゾチックな魅力を与え、物語の舞台をより広がりのあるものにしている。総じて、「外人部隊」はその時代のフランス映画の中でも特に優れた作品として評価されており、その影響力は現在でも感じられる。
コメント