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許されざる者 Unforgiven 1992 |キャスト・あらすじ【ネタバレ】| クリント・イーストウッド | ジーン・ハックマン

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許されざる者
Unforgiven
(アメリカ 1992)

[製作総指揮] デヴィッド・ヴァルデス
[製作] クリント・イーストウッド/ジュリアン・ルートヴィヒ
[監督] クリント・イーストウッド
[原作] デヴィッド・ウェブ・ピープルズ
[脚本] デヴィッド・ウェブ・ピープルズ
[撮影] ジャック・N・グリーン
[音楽] レニー・ニーハウス/クリント・イーストウッド
[ジャンル] アクション/ドラマ/西部劇
[受賞]
アカデミー賞 助演男優賞(ジーン・ハックマン)/監督賞/編集賞/作品賞
英国アカデミー賞 助演男優賞(ジーン・ハックマン)
ゴールデン・グローブ賞 監督賞/助演男優賞(ジーン・ハックマン)
ロンドン批評家協会賞 作品賞
LA批評家協会賞 監督賞/作品賞/脚本賞/主演男優賞(クリント・イーストウッド)/助演男優賞(ジーン・ハックマン)
NY批評家協会賞 助演男優賞(ジーン・ハックマン)

キャスト

クリント・イーストウッド
(ウィリアム・マニー)

ジーン・ハックマン
(リトル・ビル・ダジェット)

モーガン・フリーマン
(ネッド・ローガン)

リチャード・ハリス
(イングリッシュ・ボブ)

ジャミス・ウールヴェット (ショーフィールド・キッド)
サウル・ルビネック (W・W・ボーチャンプ)

フランシス・フィッシャー
(ストロベリー・アリス)

アンナ・レヴィン (デリラ・フィッツジェラルド)
デヴィッド・マッチ (クイック・マイク)
ロブ・キャンベル (デイヴィ・バンティング)

 




ストーリー

1880年、ワイオミング州の町ビッグ・ウィスキー。ある夜、娼館で働く女性が、心ないカウボーイに顔をナイフで切り刻まれる事件が起きる。町の保安官リトル・ビルは、法の名の下に加害者を軽く罰するだけで済ませてしまう。納得のいかない娼婦たちは自分たちで金を出し合い、犯人の首に多額の賞金をかける。

この噂を聞きつけたのが、かつて「女子供も容赦なく殺す」と恐れられた伝説の悪党ウィリアム・マニーだった。今は亡き妻の影響で改心し、二人の子供と貧しい豚飼いとして暮らしていた彼は、家族を養うために再び銃を持つ決意をする。彼はかつての相棒ネッドと、意気揚々とした若者「スコフィールド・キッド」を誘い、賞金稼ぎの旅に出る。

町に辿り着いたマニーたちを待っていたのは、秩序を維持するためなら暴力も厭わないリトル・ビルの冷酷な支配だった。マニーは病に伏せ、ネッドは人を撃つことに躊躇いを感じてグループを離れる。しかし、帰路についたはずのネッドはリトル・ビルに捕らえられ、凄惨な拷問の末に殺されてしまう。

その報せを聞いた時、酒を断っていたマニーの瞳に「かつての悪魔」が宿る。彼は一本のウイスキーを煽ると、独り雨の降る町へと向かう。ネッドの遺体が晒し者にされている酒場に足を踏み入れたマニーは、リトル・ビルとその部下たちを前に、一切の慈悲を捨てて銃を抜く。圧倒的な早撃ちで敵を殲滅し、倒れたリトル・ビルの頭に銃口を向けるマニー。彼は「俺は恐ろしい人間だ」という呪いのような言葉を吐き捨て、銃声と共に復讐を果たす。静まり返った町を後にし、マニーは再び子供たちが待つ泥濘の家へと消えていく。


エピソード・背景

  • 西部劇への訣別
    イーストウッドはこの作品を「最後の西部劇」と位置づけました。かつての西部劇が描いた「華やかなヒーロー像」を否定し、殺人の醜さや老い、後悔という現実を突きつけたことで、アカデミー作品賞・監督賞を受賞しました。
  • ジーン・ハックマンの圧倒的な悪役
    リトル・ビルを演じたジーン・ハックマンは、単なる「悪」ではなく、「秩序を守るという信念を持った暴君」を怪演。この演技でアカデミー助演男優賞を手にしました。
  • モーガン・フリーマンとイーストウッドの初共演
    後に『ミリオンダラー・ベイビー』や『インビクタス』でもタッグを組む二人の記念すべき初共演作です。ネッドの最期がマニーを「悪魔」へと戻す最大の動機となるため、彼の存在感はこの物語の感情的な核となっています。
  • 「伝説」を壊すリアリティ
    主人公のマニーは、最初は馬にも満足に乗れず、標的を狙うのにも苦労する老人として描かれます。かつての伝説的なガンマンが「老い」に苦しむ姿は、当時の観客に強い衝撃を与えました。
  • 脚本の長い熟成
    デヴィッド・ピープルズによる脚本は、撮影の何年も前から存在していましたが、イーストウッドは自分が主人公の年齢に相応しくなるまで、大切に保管し続けていたと言われています。
  • 音楽の美しさ
    テーマ曲「Claudia’s Theme」は、イーストウッド本人が作曲した繊細なギター曲です。殺伐とした物語の中で、亡き妻への想いを感じさせるこの旋律が、深い余韻を残します。


まとめ:作品が描いたもの

本作は、暴力が美化されてきた西部劇の神話を解体し、「人を殺すということ」の本当の重さを描いた傑作です。マニーが劇中で放つ「人を殺すのは大変なことだ。その人間の持っているもの、これから持とうとするものすべてを奪うんだからな」というセリフに、この映画のすべてが集約されています。

かつての悪行を悔い、平穏に生きようとしても、社会の不条理と大切な友の死が、再び彼を暴力の世界へと引き戻してしまう。そこには爽快なカタルシスはなく、あるのは深い絶望と、逃れられない業(カルマ)だけです。善悪の境界が曖昧な中で、唯一「友への愛」だけを動機に戦う男の姿は、観る者の心に、どんな派手なアクション映画よりも鋭く、重い問いを投げかけます。西部劇という枠を超え、映画史に刻まれるべき「人間の本質」を描いた一作です。

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