ニノチカ
Ninotchka
(アメリカ 1939)
[製作] エルンスト・ルビッチ
[監督] エルンスト・ルビッチ
[原作] メルコワ・レンジェル
[脚本] ビリー・ワイルダー/チャールズ・ブラケット/ウォルター・ライシュ
[撮影] ウィリアム・H・ダニエルズ
[音楽] ワーナー・R・ハイマン
[ジャンル] コメディ/恋愛
キャスト
グレタ・ガルボ
(ニノチカ)
メルヴィン・ダグラス
(レオン・ダルゴー伯爵)
イナ・クレア (スワナ)
ベラ・ルゴシ
(ラジニン)
シグ・ルマン (マイケル・シモナヴィッチ)
概要
『ニノチカ(Ninotchka)』は、エルンスト・ルビッチ監督によるロマンティック・コメディで、グレタ・ガルボが主演を務めた作品。
ソ連の冷徹な役人ニノチカが、資本主義の華やかなパリで愛とユーモアに触れ、人生観を変えていく物語。笑いと社会風刺が絶妙に絡み合い、ガルボの「笑う」演技が話題を呼んだ。
ストーリー
物語は、ソ連政府がフランスの貴族から没収した宝石を売却するためにパリへ派遣した3人の官僚たちから始まる。彼らは豪華な生活に心を奪われ、任務を怠るようになる。政府は事態を収拾するため、冷徹で厳格な役人ニノチカ(グレタ・ガルボ)を派遣する。
パリに到着したニノチカは、その合理的で感情を排した態度で官僚たちを叱責し、仕事に集中させようとする。一方、宝石の本来の持ち主である貴族スワナ公爵夫人は、それを取り戻そうと画策し、恋人であるプレイボーイのレオン(メルヴィン・ダグラス)に協力を依頼する。
レオンは、任務を遂行しようとするニノチカに接近する。初めは冷淡だったニノチカだが、次第にレオンの魅力とパリの華やかな雰囲気に心を揺さぶられるようになる。彼女は初めて笑い、人生を楽しむことの喜びを知る。一方で、スワナ公爵夫人との対立や祖国への忠誠心との葛藤も抱える。
最終的に、ニノチカはソ連の命令でパリを離れざるを得なくなる。彼女はレオンとの別れを余儀なくされるが、愛の力は二人を再び引き寄せる。物語は、冷戦下のイデオロギーを超えた愛とユーモアの力を描き出し、幸福な結末を迎える。
エピソード
- グレタ・ガルボはこの映画で初めてコメディ映画に挑戦し、「Garbo Laughs!(ガルボが笑った!)」という宣伝コピーが使われた。
- 映画はアカデミー賞で脚本賞、作品賞、主演女優賞など4部門にノミネートされ、特にガルボの演技が高く評価された。
- 脚本はビリー・ワイルダーとチャールズ・ブラケットが手掛け、ウィットに富んだダイアログが多くの批評家に称賛された。
- 映画は冷戦時代初期の東西の緊張を背景にしており、ソビエト連邦と西洋社会の対比がテーマの一部となっている。
- 『ニノチカ』はガルボのキャリアの中で最後の商業的成功を収めた作品となった。
- ニノチカが飲んだシャンパンで酔っ払うシーンは、ガルボ自身が最も気に入っていたと言われる。
- 映画のタイトル「ニノチカ」は、その後の文化作品でもしばしば引用されるようになった。
- ガルボは当初、コメディ映画への出演に不安を感じていたが、撮影が進むにつれて役に入り込んだ。
- 映画の中でニノチカがレーニンの肖像を尊敬する場面があり、これがユーモラスに描かれている。
- この映画から3年後、ガルボは事実上の引退を発表した。
- 映画はそのウィットとガルボの演技で批評家から絶賛され、多くのベストリストに名を連ねている。
- レオン役のメルヴィン・ダグラスは、ガルボの魅力に自然な形で応えられる俳優として選ばれた。
- 後年、本作のリメイク『シルクストッキング』(1957年)が制作された。
『ニノチカ』は、グレタ・ガルボのコメディ演技とエルンスト・ルビッチの洗練された監督手腕が見事に融合した作品である。映画は、冷戦時代の政治的背景を織り交ぜながらも、ロマンスとユーモアを中心に据え、観客に楽しさと感動を提供している。特にガルボが見せる笑顔とその演技は、彼女の新しい一面を引き出し、映画の魅力を一層引き立てている。『ニノチカ』は、ロマンティック・コメディの古典として、今なお多くの映画ファンに愛され続けている。
感想
ニノチカがパリの自由と恋愛を通じて自分の殻を破っていく姿に共感した。特に、レオンとの軽妙なやり取りは見ていて楽しく、堅物だった彼女が徐々に感情を解放していく過程がとても魅力的だった。グレタ・ガルボの存在感は圧倒的。
コメント