ヴァージン・スーサイズ
The Virgin Suicides
(カナダ・フランス・イギリス 1999)
[製作総指揮] ウィリー・バール/フレッド・フークス
[製作] フランシス・フォード・コッポラ/ジュリー・コスタンゾ/ダン・ハルステッド/クリス・ハンリー/ゲイリー・マーカス/フレッド・ルース/スザンヌ・コルヴィン/ジョーダン・ガートナー
[監督] ソフィア・コッポラ
[原作] ジェフリー・ユーゲナイデス
[脚本] ソフィア・コッポラ
[撮影] エドワード・ラッシュマン
[音楽] リチャード・ベッグス/エア
[ジャンル] コメディ/ドラマ/恋愛
キャスト

ジェームズ・ウッズ
(リズボン氏)

キャスリーン・ターナー
(リズボン夫人)

キルスティン・ダンスト
(ラックス・リズボン)

ジョシュ・ハートネット
(トリップ・フォンテイン)

マイケル・パレ
(トリップ・フォンテイン(成人後))

スコット・グレン
(ムーディ神父)

ダニー・デヴィート
(Dr.ホーニカー)
A・J・クック (メアリー・リズボン)
ハンナ・R・ホール (セシリア・リズボン)
レスリー・ヘイマン (テレーズ・リズボン)
チェルシー・スウェイン (ボニー・リズボン)
ジョナサン・タッカー (ティム・ワイナー)

ジョヴァンニ・リビシ
(ナレーター)

ヘイデン・クリステンセン
(ジェイク・ヒル・コンリー)
概要
『ヴァージン・スーサイズ』(The Virgin Suicides)は、ソフィア・コッポラ監督のデビュー作で、ジェフリー・ユージェニデスの小説を原作としたドラマ映画。
1970年代のアメリカ郊外を舞台に、厳格な家庭環境で育った5人姉妹の悲劇的な人生を、彼女たちに惹かれる少年たちの視点から描く。
美しくも儚い映像美と、成長期特有の痛みが静かに交錯する作品で、若者の繊細な心理を表現した青春ドラマ。
ストーリー
1970年代のアメリカ、郊外の静かな町。リスボン家には5人の美しい姉妹が暮らしていた。彼女たちは厳格な両親、特に母親(キャスリーン・ターナー)の厳しい規則のもとで育ち、外の世界と隔絶されていた。ある日、末娘セシリア(ハンナ・R・ホール)が自殺を図り、家族の生活は一変する。
その後もリスボン家の生活はどこか不穏な空気を漂わせる中、近所に住む少年たちは姉妹の美しさとミステリアスな雰囲気に魅了され、彼女たちを観察し、幻想的な思いを抱くようになる。少年たちは姉妹と少しずつ交流を深めようとするが、家庭内の問題は次第に深刻化していく。
学校のダンスパーティーでは、姉妹たちが一時的に自由を得るかに見えたが、それも長くは続かない。母親の過剰な管理が強まり、姉妹たちはさらに孤立していく。少年たちは彼女たちを救おうと試みるが、その行動が悲劇を避けることにはつながらない。姉妹たちの苦悩と孤独、そして彼女たちが選ぶ運命は、語り手である少年たちの心に永遠に消えない影を落とす。
物語は、少年たちが彼女たちの存在と謎を解き明かそうとする一方で、姉妹たちの内面的な苦悩や、彼女たちを取り巻く世界の冷たさを描いている。
エピソード
- 初監督作品にもかかわらず、ソフィア・コッポラは独自の映像美と繊細な演出で高い評価を得た。
- 姉妹を演じたキャスト(キルスティン・ダンスト、AJ・クックなど)は、互いに自然な絆を築き、姉妹の親密さをリアルに表現した。
- 次女ラクスを演じたダンストは、この役でその後のキャリアの基盤を築き、特に抑えた感情表現が高く評価された。
- 美術や衣装、音楽は1970年代の雰囲気を忠実に再現し、物語の郷愁的なトーンを支えた。
- フランスのエレクトロデュオ「エア」が担当したサウンドトラックが、映画の幻想的で儚い雰囲気に大きく寄与した。
- 少年たちの回想という構成が、彼女たちを救えなかった後悔と謎めいた存在感を強調している。
- リスボン家の閉ざされた世界観を強調するため、家の内部の撮影はあえて窮屈に感じられるようデザインされた。
- 母親役のターナーは、厳格な教育方針の裏にある不安や愛情を複雑に表現した。
- 原作者ユージェニデスが映画化に好意的で、制作に協力的だった。
- 少年役のキャストたちは、撮影中に互いに親しくなり、映画の中での自然な関係性を生み出した。
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