アリダ・ヴァリ
Alida Valli
1921年5月31日、イタリア・ポーラ生まれ。
2006年4月22日、イタリア・ローマで死去。享年84歳。
本名アリダ・マリア・ローラ・フォン・アルテンバーガー。
身長165cm。
父はオーストリア人、母はイタリア人。
15歳で映画実験センターに入る。
「第三の男」「夏の嵐」などで世界的に有名になる。
アリダ・ヴァリは、イタリアの女優で、ヨーロッパ映画史において最も象徴的な存在の一人とされる。1930年代から2000年代までの長いキャリアを持ち、ルキノ・ヴィスコンティをはじめとした名監督たちと仕事をし、映画史に残る名作に出演した。彼女の神秘的な美しさと、冷たさと情熱を同時に感じさせる独特の存在感は、観客を魅了し続けた。
アリダ・ヴァリは、イタリア北部のポーラ(現在のクロアチア・プーラ)に生まれた。名門貴族の家系に生まれ育つが、映画に強い情熱を抱き、ローマの映画学校で学んだ。
1930年代後半にイタリア映画界で頭角を現し、1940年代には「イタリア映画の顔」として国民的な人気を誇るスターとなる。特に「ピッコロ・モンド・アンティーコ」(1941年)での演技は絶賛され、彼女はこの作品でヴェネツィア国際映画祭の最優秀女優賞を受賞した。
その後、第二次世界大戦中のファシズム政権下でイタリア映画界が混乱する中、彼女はハリウッドに渡り、デヴィッド・O・セルズニックの支援を受けることになる。セルズニックは彼女を「第二のイングリッド・バーグマン」として売り出し、「アリダ・ヴァリ」の名で国際的に活動させる。
第三の男
キャロル・リード監督のフィルム・ノワールで、オーソン・ウェルズやジョセフ・コットンと共演。ウィーンを舞台にしたサスペンス映画で、彼女は謎めいたヒロイン、アンナ・シュミットを演じた。この作品は映画史上最高のサスペンス映画の一つとされ、ヴァリのクールで神秘的な存在感は伝説的なものとなった。
夏の嵐
ルキノ・ヴィスコンティ監督のイタリア映画で、19世紀のイタリア統一運動を背景にした壮大なラブストーリー。ヴァリは、貴族の女性ルイザを演じ、悲劇的な愛の行方を熱演。彼女の成熟した演技力が際立ち、キャリアの頂点と評される。
サスペリア
ダリオ・アルジェント監督のカルト的ホラー映画で、ミステリアスな学園長役を演じた。晩年の彼女の出演作の中でも特に印象的な役柄で、ホラー映画ファンの間でも語り継がれている。
アリダ・ヴァリの演技は、冷たさと情熱を絶妙に融合させたものだった。彼女は決して典型的な「感情をあらわにする」女優ではなく、微妙な表情や沈黙の中に強い感情を込める演技が特徴的だった。フィルム・ノワールや歴史ドラマ、ホラーといった多様なジャンルで活躍し、その独特な存在感が作品に深みを与えた。
ヴァリはプライベートでは謎めいた人物として知られ、私生活をあまり公にしなかった。しかし、映画界では完璧主義者であり、自らの演技に妥協を許さないプロフェッショナルな姿勢を貫いた。
1950年代には作曲家オスカル・デ・メーヨと結婚し、2人の息子をもうけたが、その後離婚。彼女は晩年まで映画と演劇に情熱を注ぎ、プライベートでは比較的孤独な生活を送っていたと言われている。
- エピソード
- 1941 年 20 歳
- 1942 年 21 歳
- 1947 年 26 歳
- 1948 年 27 歳
- 1949 年 28 歳
- 1950 年 29 歳
- 1951 年 30 歳
- 1953 年 32 歳
- 1954 年 33 歳
- 1957 年 36 歳
- 1958 年 37 歳
- 1960 年 39 歳
- 1961 年 40 歳
- 1963 年 42 歳
- 1967 年 46 歳
- 1970 年 49 歳
- 1972 年 51 歳
- 1974 年 53 歳
- 1975 年 54 歳
- 1976 年 55 歳
- 1977 年 56 歳
- 1979 年 58 歳
- 1980 年 59 歳
- 1985 年 64 歳
- 1987 年 66 歳
- 1995 年 74 歳
- 1996 年 75 歳
- 2002 年 81 歳
エピソード
「第三の男」でのアイコン的なラストシーン
「第三の男」のラストシーンで、彼女が何も言わずに道を歩き続けるシーンは、映画史に残る名場面として評価されている。キャロル・リード監督は、ヴァリの演技の中に「説明のいらない感情の深みがある」と称賛した。
ルキノ・ヴィスコンティとの関係
ヴィスコンティは「夏の嵐」でヴァリを主演に起用し、「彼女は歴史の中に生きる女性を最も美しく演じられる女優」と評価していた。撮影中、ヴィスコンティは彼女に対して厳しい指導を行ったが、ヴァリはそれに耐え抜き、最高の演技を見せた。
カルト的ホラー映画「サスペリア」での存在感
1977年に出演した「サスペリア」では、ミステリアスな学園長を演じ、彼女の冷徹な演技が新たな世代の観客にも印象を残した。
[出演作品]
1941 年 20 歳
Piccolo mondo antico
ヴェネツィア国際映画祭女優賞
1942 年 21 歳
われら生きるもの Noi Vivi
1947 年 26 歳
1948 年 27 歳
1949 年 28 歳
1950 年 29 歳
白銀の嶺 The White Tower
追い詰められた男 Walk Softly, Stranger
1951 年 30 歳
奇蹟は一度しか起こらない Les miracles n’ont lieu qu’une fois
1953 年 32 歳
わたしの罪ではない Il mondo le condanna
われら女性 Siamo Donne
1954 年 33 歳
1957 年 36 歳
旅路はるか L’amore più bello
さすらい Il grido
青い大きな海 La grande strada azzurra
月夜の宝石 Les bijoutiers du clair de lune
1958 年 37 歳
1960 年 39 歳
かくも長き不在 Une aussi longue absence
1961 年 40 歳
楽しい泥棒日記 The Happy Thieves
1963 年 42 歳
竜騎兵総攻撃 El valle de las espadas
1967 年 46 歳
1970 年 49 歳
1972 年 51 歳
1974 年 53 歳
新エクソシスト/死肉のダンス Lisa e il diavolo
レディ・イポリタの恋人/夢魔 L’anticristo
1975 年 54 歳
1976 年 55 歳
カサンドラ・クロス The Cassandra Crossing
1977 年 56 歳
1979 年 58 歳
レイプ・ショック Suor Omicidi
ルナ La Luna
1980 年 59 歳
1985 年 64 歳
1987 年 66 歳
背徳の女/地獄を見た女たち Le jupon rouge
1995 年 74 歳
1996 年 75 歳
サスペリア2000 Fatal frames: Fotogrammi mortali
2002 年 81 歳
セマナ -血の7日間- Semana Santa
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