ダンサー・イン・ザ・ダーク
Dancer in the Dark
(デンマーク・独・蘭・米・英・仏・スウェーデン・フィンランド・アイスランド・ノルウェイ 2000)
[製作総指揮] ペーター・アルバック・ヤンセン／ラース・ヨンソン／マリアンヌ・スロット
[製作]
ヴィベック・ウィンドロー／エルス・ファンデフォルスト／ポール・エリック・リンドボルグ／テロー・カウコマー／トーレフ・ハウジ／トニー・グロブ／アンヤ・グラファルス／モーゲンス・グラッド／フィン・ジェルドラム／フロイク・リクソン／マルト・フォーセル
[監督] ラース・フォン・トリアー
[脚本] ラース・フォン・トリアー
[撮影] ロビー・ミュラー
[音楽] ビョーク
[ジャンル] ミュージカル／ドラマ
[受賞]
カンヌ映画祭 グランプリ／主演女優賞（ビョーク）
ヨーロピアン映画賞 主演女優賞（ビョーク）／作品賞
ナショナル・ボード・オブ・レビュー 主演女優賞（ビョーク）
キャスト
ビョーク （セルマ・エスコヴァ）
カトリーヌ・ドヌーヴ （キャシー）
デヴィッド・モース （ビル）
ピーター・ストーメア （ジェフ）
ジョエル・グレイ （オルドリッチ・ノヴィ）
カーラ・シーモア （リンダ・ヒューストン）
ヴラディカ・コスティク （ジーン・エスコヴァ）
ジャン・マルク・バール （ノーマン）
ヴィンセント・パターソン （サミュエル）
ウド・キアー （Dr.ポーコーニー）
ステラン・スカルスガルド （医師）
ストーリー
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」は、ラース・フォン・トリアー監督によるミュージカルドラマ映画。アイスランドの歌手ビョークが主演を務め、その独特のビジュアルスタイルと感情的なストーリーで多くの観客と批評家に衝撃を与えた。
物語の主人公、セルマ・イェスコヴァ（ビョーク）は、チェコからアメリカに移住してきたシングルマザー。彼女は工場で働きながら、息子ジーンのためにお金を貯めている。ジーンはセルマと同じ遺伝性の病気で視力を失う運命にあり、彼の手術費用を捻出することがセルマの最大の目的だ。
セルマは日々の辛さから逃れるために、ミュージカル映画の中のような幻想的な世界に入り込むことがある。彼女の唯一の楽しみは、友人たちと一緒に音楽を楽しむこと。工場での労働や生活の困難が続く中、セルマは隣人のビル（デヴィッド・モース）が彼女の貯金を盗んでいることに気づく。ビルは警察官であり、彼の行為はセルマの人生に大きな影響を及ぼす。
エピソード
ビョークの演技：
ビョークは女優としての経験がほとんどなかったが、その演技は圧倒的であり、カンヌ国際映画祭で主演女優賞を受賞した。
キャスティングの難航：
ラース・フォン・トリアー監督は、セルマ役にビョークをキャスティングする前に、何人かの女優にオファーを出したが、彼のビジョンに合う女優を見つけるのに苦労した。最終的にビョークに決定したが、彼女も当初は乗り気ではなかった。
ビョークとトリアーの対立：
ビョークとラース・フォン・トリアー監督は撮影中に頻繁に対立し、ビョークは撮影終了後に女優業を引退すると発表した。
撮影手法：
映画はデジタルカメラを多用し、ドッグマ95運動の影響を受けたリアルなスタイルで撮影された。
視覚効果：
映画では、セルマの視力が徐々に低下する様子を視覚的に表現するために、特別なカメラ技術が使われた。これにより、観客は彼女の視点を体験できる。
ミュージカルシーン：
ミュージカルシーンは、ビョークの音楽と独特の視覚スタイルが融合し、現実の厳しさから一時的に逃れるための幻想的な世界を描いている。
音楽の制作過程：
ビョークは、映画の音楽制作において徹底的なアプローチを取り、全ての曲をセルマの視点と感情に基づいて書き上げた。
ラース・フォン・トリアーの撮影手法：
ラース・フォン・トリアー監督は、俳優たちに自由に動くことを許可し、カメラが彼らを追いかけるスタイルを採用した。これにより、映画の自然な流れとリアルな感情表現が実現した。
制作の困難：
撮影は非常に過酷で、ビョークは頻繁に感情的な消耗を感じていた。彼女は役に深く没頭し、撮影後には精神的なリセットが必要だった。
舞台化：
映画の成功により、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」は舞台ミュージカルとしても制作され、ヨーロッパを中心に上演された。
エンディングの影響：
映画のエンディングは非常に衝撃的であり、多くの観客に強い印象を残した。このエンディングは、セルマの絶望と希望を象徴している。
カンヌでの反響：
カンヌ国際映画祭での上映後、映画はスタンディングオベーションを受け、ラース・フォン・トリアーとビョークのパフォーマンスが絶賛された。
ビョークの衣装：
映画の中でビョークが着用する衣装は、彼女自身のアイデアが反映されており、セルマの個性を強調する役割を果たしている。
ビョークの特殊な歌唱シーン：
映画の中で、ビョークは歌唱シーンをすべてライブで撮影した。通常、映画のミュージカルシーンは事前に録音された音楽に合わせてリップシンクするが、ビョークは感情を込めるために現場で歌った。
ビョークの変わったアプローチ：
ビョークは役作りのために、自分自身を徹底的に役に重ね合わせた。彼女はセルマの感情に深く入り込み、撮影期間中は常にそのキャラクターのままで過ごした。
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」は、ラース・フォン・トリアーの独特な監督スタイルとビョークの圧倒的な演技が光る感動的なミュージカルドラマだ。映画は、視覚的なスタイルと感情的な物語が融合し、観客に深い印象を与える。
社会的なテーマや人間の絶望と希望を描いたストーリーは、多くの観客に共感を呼び起こし、映画のエンディングは強烈な余韻を残す。ビョークの音楽と演技が映画を支え、全体として非常に完成度の高い作品となっている。
コメント