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悲しみよこんにちは Bonjour tristesse 1958 |キャスト・あらすじ【ネタバレ】| ジーン・セバーグ

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南仏のリゾートに漂う自由と退廃。少女の無邪気な企みが招いた、二度と戻らない夏の終わり。

フランソワーズ・サガンの世界的なベストセラー同名小説を、ハリウッドの名匠オットー・プレミンジャー監督が映画化。

南仏リヴィエラの陽光あふれる別荘を舞台に、プレイボーイの父親と気ままな日々を送る17歳の少女が、父の再婚を阻止しようと企てたイタズラが招く悲劇を描く。

セシル・カットで一世を風靡したジーン・セバーグの洗練された魅力と、モノクロとカラーを対比させたスタイリッシュな演出が冴え渡る青春愛憎ドラマ。

悲しみよこんにちは
Bonjour tristesse
(アメリカ・イギリス 1958)

[製作] オットー・プレミンジャー/ジョン・パーマー
[監督] オットー・プレミンジャー
[原作] フランソワーズ・サガン
[脚本] アーサー・ローレンツ
[撮影] ジョルジュ・ペリナール
[音楽] ジョルジュ・オーリック
[ジャンル] ドラマ

キャスト

ジーン・セバーグ
(セシル)

デヴィッド・ニーヴン
(レイモン)

デボラ・カー
(アンヌ・ラーソン)

ジェフリー・ホーン (フィリップ)
ジュリエット・グレコ (ジュリエット・グレコ)
ウォルター・チアリ (パブロ)


受賞・ノミネートデータ

受賞年部門結果
1958BAFTA賞(英国アカデミー賞)最優秀新人賞(ジーン・セバーグ)ノミネート



評価

発表当時に世界中にサガン・ブームを巻き起こした原作の持つ「若者の虚無感とアンニュイな空気感」を、プレミンジャー監督が鮮やかな映像美で再現しました。 特にジーン・セバーグのベリーショート(セシル・カット)と斬新なファッションは、世界中の若者文化やスタイルに絶大な影響を与えました。

また、パリでの「退屈な現在」をモノクロームで、南仏での「輝かしい過去」を鮮やかなテクニカラーで描く演出手法は、ヌーヴェルヴァーグの映画人たちからも高く評価されました。

あらすじ:地中海の夏と自由気ままな父娘

パリの夜の街で、若くして憂鬱な日々を送る少女セシル(ジーン・セバーグ)。彼女の脳裏には、一年前のあのみずみずしくも残酷な南仏リヴィエラでの夏の記憶が蘇っていた。

当時17歳だったセシルは、妻を亡くした裕福なプレイボーイの父レイモン(デヴィッド・ニーヴン)、そして父の若く賑やかな愛人エルザ(ミレーヌ・ドモンジョ)とともに、地中海沿岸の豪華な別荘で怠惰で自由なバカンスを楽しんでいた。地元の青年フィリップ(ジェフリー・ホーン)との恋も芽生え、セシルにとってその夏は幸福そのものだった。

しかし、亡き母の親友で知性あふれる洗練されたドレスデザイナーのアンヌ(デボラ・カー)が別荘に招かれたことで、穏やかな空気は一変する。レイモンとアンヌは急速に惹かれ合い、ついに再婚を決意。厳格なアンヌは、怠惰だった父娘の生活を正そうとし、セシルの勉強や交友関係にも干渉し始める。自由を奪われることを恐れたセシルは、父とアンヌの結婚を阻止するため、密かに恐ろしい計略をめぐらせるのだった。

セシルは、父に追い出された元愛人エルザと青年フィリップに協力を仰ぎ、二人があたかも恋人同士であるかのように装わせる。レイモンの独占欲と嫉妬心を刺激し、彼の目を再びエルザに向けさせようという作戦だった。

策略は狙い通りに進み、レイモンの嫉妬心は嫉妬の炎となって激しく燃え上がる。ある日、レイモンが林の奥でエルザと密会している現場を、アンヌが目撃してしまう。衝撃を受けたアンヌは絶望に打ちひしがれ、涙を流しながら車に乗り込み、別荘を飛び出していってしまう。

自分の浅はかな企みが取り返しのつかない事態を引き起こしたことに気づいたセシルは、激しい後悔に苛まれながらアンヌの後を追う。しかし、絶望に満ちたアンヌの車は、崖沿いの危険な沿岸道路から真っ逆さまに海へと転落してしまうのだった。

事故か自殺かも分からぬままアンヌを失った父娘は、罪悪感を胸に抱えたままパリの邸宅へと戻る。レイモンは相変わらず夜の街で別の女性たちと遊興に耽り、セシルもまたパーティで微笑みを浮かべるが、鏡の前に一人立った彼女の瞳から静かに涙がこぼれ落ちる。失われたかけがえのない時間と、一生消えることのない罪の意識を感じながら、セシルは心の中で呟くのだった。「悲しみよ、こんにちは」と。


エピソード・背景

  • 時代を象徴するアイコン「セシル・カット」
    ジーン・セバーグが本作で見せたボーイッシュなベリーショートは「セシル・カット」と呼ばれ、世界的なトレンドとなりました。彼女のファッションやスタイルは、後の「スウィンギング・ロンドン」やモッズ・文化にも多大な影響を与えました。
  • モノクロとカラーの鮮烈な対比
    「アンニュイな現在のパリ」を悲哀に満ちたモノクローム映像で、「眩しかった過去の南仏」を色彩豊かなシネマスコープ(テクニカラー)で表現。時間軸と感情の変化を視覚的に浮き彫りにする演出が称賛を受けました。
  • ジャン=リュック・ゴダールへの影響
    ヌーヴェルヴァーグの旗手ジャン=リュック・ゴダールは本作でのジーン・セバーグの演技と存在感に深い感銘を受け、自身の長編デビュー作『勝手にしやがれ』(1960年)のヒロイン役に彼女をそのまま抜擢しました。
  • 18歳のサガンが書いた衝撃のデビュー作
    原作はフランソワーズ・サガンがわずか18歳で執筆し、1954年に出版された同名小説です。早熟な感性と道徳観にとらわれない若者のリアルな心理描写は、当時の文学界に大きな衝撃を与えました。
  • キャスティングを巡るオーディション
    プレミンジャー監督はセシル役を決めるにあたり、全米で大規模なオーディションを敢行しました。前作『聖女ジャンヌ・ダーク』(1957年)で彗星のごとくデビューさせたジーン・セバーグを再び起用し、彼女の魅力を開花させました。
  • 豪華なスタイリングと衣裳
    劇中でデボラ・カー演じるアンヌが着用するエレガントな衣裳は、オートクチュールの巨匠ユベール・ド・ジバンシィ(Givenchy)が手掛けたものであり、映画の洗練された世界観をより一層際立たせています。

まとめ:作品が描いたもの

わがままな少女の幼い独占欲と戯れが、取り返しのつかない悲劇を引き起こす過程を描いた青春の破滅劇です。輝かしい青春の光と、その裏に潜む孤独や虚無感、そして大人の階段を上る瞬間に知る「真の悲しみ」の質感が、地中海の美しい風景と共に鮮烈に表現されています。

〔シネマ・エッセイ〕

青く透き通る地中海、降り注ぐ太陽の光、そして軽快なサンバの旋律。画面いっぱいに広がる南仏のバカンス風景はどこまでも魅惑的で、そこに生きるセシルの笑顔は自由そのものに見えます。

けれど、その眩しさの陰には、常に崩れ去りそうな脆さが潜んでいました。父の愛を独占したいという少女ゆえの幼いエゴイズム。それが一線を越えてしまった時、黄金色の夏は一瞬にして冷たい灰色の現実へと姿を変えます。

ラストシーン、化粧を落とした鏡の前で静かに涙を流すセシルの顔。少女時代が永遠に終わりを告げ、消えない傷を抱えて生きていく覚悟を決めたその表情は、観る者の胸に深く、切なく突き刺さります。

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