ローレンス・オリヴィエ
Laurence Olivier
1907年5月22日、イギリス・サリー・ドーキング生まれ。
1989年7月11日、イギリス・ウエストサセックスで死去（腎不全）。享年82歳。
15歳で「じゃじゃ馬ならし」のヒロイン役で舞台デビューし、シェイクスピア俳優として活躍。
23歳の時映画デビュー。
ヴィヴィアン・リーと大恋愛の末結婚したが、その後彼女が精神不安定になり、やがて破局した。
その後はジョーン・プローライトと連れ添った。
ローレンス・オリヴィエは、イギリスの俳優、映画監督、舞台監督であり、その卓越した演技力と幅広い役柄で20世紀を代表する俳優の一人とされている。彼はシェイクスピア劇の名優として知られる一方、ハリウッドでも多くの名作映画に出演し、演劇と映画の両方でその才能を発揮した。
オリヴィエは、イングランドのサリー州ドーキングで生まれた。彼の父親は聖公会の司祭であり、厳格な家庭で育った。オリヴィエは幼少期から演技に興味を持ち、ロンドンのセント・エドワーズ・スクールで演技を学び、その後、ロンドンのセントラル・スクール・オブ・スピーチ・アンド・ドラマに進学した。
オリヴィエは1920年代に舞台俳優としてキャリアをスタートさせ、1930年代にはイギリスの舞台と映画で注目を集めるようになった。
彼の演技スタイルは初期から多才であり、シェイクスピアの舞台やモダンな演劇においてもその才能を発揮した。特に1930年代のシェイクスピア劇「ハムレット」や「ヘンリー五世」の舞台演出と主演でその名声を確立した。
1939年、彼はハリウッドに進出し、映画『嵐ヶ丘』でヒースクリフ役を演じ、その演技でアカデミー主演男優賞にノミネートされた。続く1940年の『レベッカ』では、アルフレッド・ヒッチコック監督の下で主演を務め、再びアカデミー主演男優賞にノミネートされた。
1944年、彼は『ヘンリー五世』（Henry V）で監督デビューし、シェイクスピア劇を映画化したこの作品で高い評価を受けた。この映画はアカデミー賞で名誉賞を受賞し、オリヴィエはその後も『ハムレット』、『リチャード三世』など、シェイクスピア劇の映画化を続けた。
映画での成功と並行して、彼は舞台でも際立った業績を残した。彼は英国の名門劇団であるナショナル・シアター・カンパニーの初代芸術監督を務め、シェイクスピア作品を中心に数多くの舞台を手掛けた。その演技は常に深みと説得力を持ち、観客を魅了した。
彼は「シェイクスピア俳優の頂点」と評される一方で、コメディからドラマ、現代劇まで幅広い役柄を演じ分けた。完璧主義者であり、映画や舞台の演出においても細部に至るまで妥協しなかった。
オリヴィエはアカデミー賞で13回ノミネートされ、主演男優賞、作品賞などを含む複数の賞を受賞。また、1979年には生涯功労賞を受けた。
彼は女優ジル・エズモンドと結婚したが、後にヴィヴィアン・リーと出会い、彼女と恋愛関係に発展した。オリヴィエとエズモンドは1940年に離婚し、同年にヴィヴィアン・リーと再婚した。しかし、オリヴィエの女性問題、さらにヴィヴィアンの精神的な不安定さや、二人のキャリアにおけるプレッシャーが原因で、関係は次第に悪化し、離婚に至った。
彼は1961年にジョーン・プロウライトと結婚し、彼女との間に3人の子供をもうけた。ジョーンもまた舞台や映画で活躍する実力派女優であり、彼らは演劇という共通の情熱を共有していた。プロウライトとの結婚生活は、ヴィヴィアン・リーとの関係に比べて穏やかなものであったとされ、オリヴィエは家族と過ごす時間を大切にするようになった。
ヴィヴィアン・リーとの離婚後も二人の関係は完全には途絶えなかった。オリヴィエはヴィヴィアンの才能を深く尊敬しており、彼女の健康状態を気にかけ続けたと言われている。ヴィヴィアンの死後、オリヴィエは彼女への哀悼を示すコメントを出し、彼女の才能と個性を讃えた。また、自伝の中でヴィヴィアンとの結婚生活についても語っており、彼女が持つ「恐ろしい美しさ」と「壊れやすさ」を表現した。
彼はしばしば他の名優とのライバル関係が取り沙汰された。特にジョン・ギールグッドやラルフ・リチャードソンとの関係は、友好と競争心が入り混じったものであったと言われている。
1960年代以降、彼は映画とテレビの両方で活躍を続け、その演技はますます円熟味を増した。彼は1970年代に多くの映画やテレビに出演し、1984年には『リア王』で主演を務め、エミー賞を受賞した。
ローレンス・オリヴィエは、シェイクスピア演劇の伝統と映画芸術を結びつけた先駆者として、20世紀の舞台と映画の歴史に不滅の足跡を残した。彼の名を冠した「ローレンス・オリヴィエ賞」は、現在も英国演劇界で最も権威のある賞として知られている。彼の作品と情熱は、未来の俳優たちにとって永遠のインスピレーションとなっている。
[出演作品]
1930 23歳
Too Many Crooks
The Temporary Widow
1935 28歳
勇気ある男 Moscow Nights
1936 29歳
お気に召すまま As You Like It
1937 30歳
無敵艦隊 Fire Over England
淑女は離婚がお好き The Divorce of Lady X
1939 32歳
スパイは暗躍する Q Planes
嵐が丘 Wuthering Heights
1940 33歳
21日間 21 Days
レベッカ Rebecca
高慢と偏見 Pride and Prejudice
1941 34歳
美女ありき That Hamilton Woman
潜水艦轟沈す 49the Parallel
1944 37歳
ヘンリィ五世 Henry V （製・監）
アカデミー賞主演男優賞
1948 41歳
ハムレット Hamlet （製・監・脚）
ゴールデン・グローブ賞主演男優賞
1952 45歳
黄昏 Carrie
1953 46歳
三文オペラ The Beggar’s Opera （製）
1955 48歳
リチャード三世 Richard III（監）
1957 50歳
王子と踊子 The Prince and the Showgirl （製・監）
1959 52歳
悪魔の弟子 The Devil’s Disciple
1960 53歳
寄席芸人 The Entertainer
スパルタカス Spartacus
1962 55歳
可愛い妖精 Term of Trial
1965 58歳
バニー・レークは行方不明 Bunny Lake is Missing
オセロ Othello
1966 59歳
カーツーム Khartoum
栄光の座 The Shoes of the Fisherman
1968 61歳
ロミオとジュリエット Romeo and Juliet （声）
1969 62歳
素晴らしき戦争 Oh! What a Lovely War
空軍大戦略 Battle of Britain
さすらいの旅路 David Copperfield
1970 63歳
三人姉妹 Three Sisters
1971 64歳
ニコライとアレキサンドラ Nicholas and Alexandra
1972 65歳
探偵スルース Sleuth
レディ・カロライン Lady Caroline Lmb
1975 68歳
恋の旅路 Love Among the Ruins
1976 69歳
シャーロック・ホームズの素敵な挑戦 The Seven-Per-Cent Solution
マラソンマン Marathon Man
ゴールデン・グローブ賞助演男優賞
1977 70歳
遠すぎた橋 A Bridge Too Far
1978 71歳
ベッツィー The Betsy
ブラジルから来た少年 The Boys from Brazil
1979 72歳
リトル・ロマンス A Little Romance
ドラキュラ Dracula
1980 73歳
ジャズ・シンガー The Jazz Singer
1981 74歳
インチョン！ Inchon
タイタンの戦い Clash of the Titans
華麗なる貴族 Brideshead Revisited (TV)
1983 76歳
ミセス・アン／殺しのシナリオ A Talent for Murder (TV)
リア王 King Lear (TV)
ワーグナー／偉大なる生涯 Wagner (TV)
1984 77歳
わが父を巡る航海 A Voyage Round My Father (TV)
バウンティ 愛と反乱の航海 The Bounty
ジグソーマン The Jigsaw Man
1985 78歳
ワイルド・ギースII Wild Geese II
画家と美女の奇妙な生活 The Ebony Tower
1986 79歳
愛と闘いの日々 ロマノフ王朝大帝ピョートルの生涯 Peter the Great (TV)
1989 81歳
ウォー・レクイエム War Requiem
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