老人と海
The Old Man and The Sea
(アメリカ 1958)
[製作] リーランド・ヘイワード
[監督] ジョン・スタージェス/ヘンリー・キング/フレッド・ジンネマン
[原作] アーネスト・ヘミングウェイ
[脚本] ピーター・ヴァーテル
[撮影] ジェームズ・ウォン・ホウ/フロイド・クロスビー
[音楽] ディミトリー・ティオムキン
[ジャンル] アドベンチャー/ドラマ
[受賞]
アカデミー賞 作曲賞
ナショナル・ボード・オブ・レビュー 主演男優賞(スペンサー・トレイシー)
キャスト
スペンサー・トレイシー
(老人サンチャゴ/ナレーター)
フェリペ・パゾス (少年)
ハリー・ベラヴァー (マーティン)
ドン・ダイアモンド (カフェオーナー)
ドン・ブラックマン (ハンドレスラー)
ジョーイ・レイ (ギャンブラー)
メアリー・ヘミングウェイ (旅行者)
概要
『老人と海』(The Old Man and the Sea)は、アーネスト・ヘミングウェイのピュリッツァー賞受賞作を原作に、ジョン・スタージェス監督、スペンサー・トレイシー主演で映画化されたドラマ作品。
孤独な老漁師が巨大なカジキとの死闘を通じて人間の強さと儚さを描き出した物語で、美しい映像と音楽が特徴。
ストーリー
舞台はキューバの小さな漁村。主人公のサンチャゴ(スペンサー・トレイシー)は、84日間も魚が釣れない日々を送っている老漁師。村では不運だと噂されるが、彼は信念を捨てずに日々海に出続けている。唯一の話し相手であり弟子でもある少年マノーリンは、親の反対で別の漁師の元で働くようになったが、サンチャゴへの尊敬と友情は変わらない。
85日目、サンチャゴは単身で海に出て、巨大なカジキを釣り上げる挑戦に挑む。3日間にも及ぶ激闘の末、彼はついにカジキを仕留め、船に括り付けて帰路につく。しかし、帰り道でサメの群れに襲われ、カジキの肉を次々と奪われてしまう。サンチャゴは全力でサメと戦うが、結局骨だけを残して帰港する。
村人たちは、サンチャゴが持ち帰った巨大なカジキの骨を見て驚嘆し、彼の信念と勇気を称える。一方で、サンチャゴ自身は疲れ果て、静かに眠りにつく。少年マノーリンは再び彼と漁に出ることを誓い、物語は希望の兆しを残して幕を閉じる。
エピソード
- スペンサー・トレイシーは、この役を演じるために原作を繰り返し読み込み、ヘミングウェイの描く老漁師の姿を忠実に再現しようと努力した。彼の静かな演技が、サンチャゴの孤独と強さを見事に表現している。
- 原作者のヘミングウェイは映画化に興味を持ち、自身の漁船や漁の経験をスタッフに提供したとされる。彼のアドバイスが、映画のリアリティに貢献した。
- 大部分はスタジオ撮影だったが、海のシーンはフロリダとカリブ海で実際に撮影され、自然の美しさと荒々しさが映像に活かされている。
- 映画の感動を高める劇的なスコアは、作曲家ティオムキンの手によるもの。音楽は物語の緊張感や孤独感を見事に補完している。
- 撮影時、トレイシーは健康を害していたが、役柄と重なる部分もあり、それが彼の演技に深みを与えた。
- 実際の海洋映像とセット撮影を組み合わせたことで、サンチャゴの孤独感と自然の壮大さが対比的に描かれている。
- 映画ではトレイシー自身によるナレーションが多く使用され、原作のモノローグを忠実に再現している。
- 少年マノーリン役は、観客に共感を呼ぶ存在として重要視され、明るく純粋な演技が評価された。
- カジキとの死闘は特殊効果を駆使し、緊張感のあるリアリスティックな映像として描かれている。
- スタージェス監督はアクションに定評のある監督だが、本作では静寂と心理描写を重視した演出に挑戦した。
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