友よ、風に抱かれて
Gardens of Stone
(アメリカ 1987)
[製作総指揮] ジェイ・エメット・フレッド・ルース/スタン・ウエストン/デヴィッド・ヴァルデス
[製作] フランシス・フォード・コッポラ/マイケル・I・レヴィ
[監督] フランシス・フォード・コッポラ
[原作] ニコラス・プロフィット
[脚本] ロナルド・バス
[撮影] ジョーダン・クローネンウェス
[音楽] カーマイン・コッポラ/フランツ・シューベルト
[ジャンル] ドラマ/戦争
キャスト
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ジェームズ・カーン
(クレル・ハザード)
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アンジェリカ・ヒューストン
(サマンサ・デイヴィス)
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ジェームズ・アール・ジョーンズ
(‘グッディ’・ネルソン)
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D・B・スウィーニー
(ジャッキー・ウィロー)
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ディーン・ストックウェル
(ホーマー・トーマス)
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メアリー・スチュアート・マスターソン
(レイチェル・フェルド)
ディック・アンソニー・ウィリアムズ (スラッシャー・ウィリアムズ)
ロネット・マッキー (ベティ・レイ)
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サム・ボトムズ
(ウェバー)
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エリアス・コティース
(ピート・デヴィバー)
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ローレンス・フィッシュバーン
(フラナガン)
ケイシー・シーマズコ (ワイルドマン)
ピーター・マスターソン (フェルド大佐)
カーリン・グリン (フェルド夫人)
概要
『友よ、風に抱かれて』(Gardens of Stone)は、フランシス・フォード・コッポラが監督したベトナム戦争を背景にしたヒューマンドラマ。
アーリントン国立墓地で働く兵士たちの日常を描き、戦争の悲劇やその影響を静かに問いかける内容になっている。
主演はジェームズ・カーン、アンジェリカ・ヒューストン、D・B・スウィーニー。
ストーリー
物語はアメリカ・バージニア州のアーリントン国立墓地を舞台に、儀仗隊の軍人たちの視点で進行する。主人公のクリーブ・“クリーヴィー”・ウィリアムズ(ジェームズ・カーン)は、退役間近のベテラン軍人。彼は戦場ではなく、戦争で命を落とした兵士たちを見送る仕事を務めている。クリーヴィーは戦争を疑問視しながらも、軍の伝統や誇りを守る役割を大切にしている。
ある日、若き兵士ジャッキー・ウィロウ(D・B・スウィーニー)が儀仗隊に配属される。ジャッキーは父親のような英雄になることを夢見ており、前線に行きたいと熱望している。クリーヴィーは彼の純粋さに共感しつつも、戦争の現実を知る者として、彼の無謀さに警鐘を鳴らす。
クリーヴィーとジャッキーの間には師弟関係のような絆が生まれるが、彼らの価値観の違いがたびたび衝突を引き起こす。一方で、クリーヴィーはジャーナリストのサマンサ(アンジェリカ・ヒューストン)と恋に落ち、彼女との関係を通じて自分の信念や人生を見つめ直すようになる。
物語が進む中で、ベトナム戦争の影響は彼らの日常を少しずつ変えていく。若い兵士たちの死が続き、クリーヴィーはジャッキーの運命に不安を抱く。戦争の悲劇と儀仗隊の兵士たちの日常が交差する中、彼らはそれぞれの選択と向き合う。
エピソード
- カーンは長いブランクを経て本作で映画業界に復帰。この役柄を演じるため、退役軍人との交流を重ねた。
- 本作は、監督のフランシス・フォード・コッポラが息子ジョアン・コッポラを失った直後に制作された。映画のテーマにもその悲しみや喪失感が反映されている。
- ヒューストンはサマンサ役を演じるにあたり、ジャーナリストの取材を受け、ベトナム戦争当時の記録を徹底的に研究した。
- 若き兵士ジャッキー役のスウィーニーは、軍隊の訓練を受けて役に備えた。
- 実際のアーリントン国立墓地で一部の撮影が行われ、その静謐な雰囲気が映画のトーンに大きく貢献した。
- 本物の儀仗兵がキャストに訓練を施し、リアルな所作を追求した。
- 撮影を通じて、カーンとスウィーニーの間に実際の師弟関係のような親密さが生まれた。
- コッポラは意図的に派手な戦闘シーンを排除し、兵士たちの日常と内面の葛藤を重視した。
- 映画はベトナム戦争後のアメリカ社会における「英雄」の概念を問い直す作品として位置付けられた。
- カーター・バーウェルによる音楽は控えめで、物語の静かなトーンを支える重要な要素となった。
感想
クリーヴィーがジャッキーに戦争の現実を語るシーンが特に印象的だった。若さゆえの無謀な情熱を持つジャッキーに対して、戦争を経験したクリーヴィーが静かに警鐘を鳴らす言葉には重みがあった。また、儀仗兵たちがアーリントン国立墓地で葬儀を行う場面は、無言の中に哀悼の念が溢れていて胸に迫った。
さらに、クリーヴィーとサマンサがバーで語り合うシーンは心が和む瞬間。戦争の影がつきまとう日々の中で、彼の感情が少し解放されるような温かさを感じた。儀式の緊張感や人間関係の機微が織り交ぜられた、印象深いシーンが随所にあった。
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