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ショウほど素敵な商売はない There’s No Business Like Show Business 1954 |キャスト・あらすじ【ネタバレ】

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喝采の裏側に流れる涙、絆の調べ。三代にわたる芸人一家が捧げる、究極のエンターテインメント。

『ドナヒュー親子五人組』として、全米の劇場を沸かせる一家。しかし、子供たちの成長と共に、家族の絆はショウビジネスの厳しい荒波にさらされていく。次男ティムが魅惑的な歌手ヴィッキーに恋をしたことから、完璧だった一家の歯車が狂い始め……。

豪華キャストが歌い踊るアーヴィング・バーリンの名曲群と共に、家族の再生と芸道の厳しさを謳い上げるミュージカル映画の決定版。

ショウほど素敵な商売はない
There’s No Business Like Show Business
(アメリカ 1954)

[製作] ソル・C・シーゲル
[監督] ウォルター・ラング
[原作] ラマー・トロッティ
[脚本] フィービー・エフロン/ヘンリー・エフロン
[撮影] レオン・シャムロイ
[音楽] アーヴィング・バーリン
[ジャンル] ミュージカル

キャスト

エセル・マーマン (モリー・ドナヒュー)
ドナルド・オコナー (ティム・ドナヒュー)

マリリン・モンロー
(ヴィッキー・ホフマン/パーカー)

ダン・デイリー (テレンス・ドナヒュー)
ジョニー・レイ (スティーヴ・ドナヒュー)
ミッツィ・ゲイナー (ケイティ・ドナヒュー)
リチャード・イースタム (リュー・ハリス)
ヒュー・オブライエン (チャールズ・ビッグズ)
フランク・マクヒュー (エディ・デューガン)
リス・ウィリアムズ (ディニーン神父)
リー・パトリック (マージ)
イヴ・ミラー (ハット・チェック・ガール)
ロビン・レイモンド (リリアン・ソーヤー)

ジョージ・チャキリス
(ダンサー)



受賞・ノミネートデータ

受賞年部門結果
1955第27回アカデミー賞ミュージカル映画音楽賞/衣装デザイン賞(カラー)/原案賞ノミネート
1955第7回全米脚本家組合賞ミュージカル脚本賞ノミネート

評価

1950年代のハリウッドが誇る「シネマスコープ」のワイド画面を最大限に活かし、目もくらむような色彩と豪華なセットで彩られた娯楽大作です。ブロードウェイの女王エセル・マーマンのパワフルな歌声と、当時絶大な人気を誇ったマリリン・モンローの競演は、映画ファンにとって最高の贈り物となりました。

アーヴィング・バーリンが手がけた珠玉の楽曲たちが物語を牽引し、ショウビジネスという世界の光と影、そして何よりも「家族」という不変のテーマを明るく描き切った一作として親しまれています。


あらすじ:喝采の日々、揺れる絆

テレンス(ダン・デイリー)とモーリー(エセル・マーマン)のドナヒュー夫妻は、3人の子供たちと共に「ドナヒュー五人組」として大成功を収めていた。しかし、長男スティーヴ(ジョニー・レイ)は神職の道を選び、次男ティム(ドナルド・オコナー)は野心家の若手歌手ヴィッキー(マリリン・モンロー)に夢中になり、夜遊びを繰り返すようになる。

ヴィッキーに振り回されたティムは、ショウの最中に大失態を演じ、家族の前から姿を消してしまう。バラバラになった一家。それでも幕は上がる。モーリーは悲しみを胸に秘め、舞台に立ち続けるが、物語は奇跡のような再会へと向かっていく。


ティムの行方がわからぬまま、ドナヒュー一家は軍の慈善興行のステージに立っていた。かつての「五人組」は欠け、家族の心には穴が空いたままだったが、そこへ海軍に入隊していたティムが制服姿で現れる。

ステージ上で再会を果たした一家は、わだかまりを捨てて一つになり、ヴィッキーも加わって圧巻のフィナーレ「ショウほど素敵な商売はない」を歌い上げる。客席の熱狂的な拍手に包まれながら、どんな困難があっても「ショウは続けなければならない(Show Must Go On)」という芸人の魂を証明し、物語は最高のハッピーエンドを迎える。


エピソード・背景

  • マリリン・モンローの起用と葛藤
    彼女はこの作品への出演を当初渋っていましたが、会社側から『七年目の浮気』の主演を条件に出され、出演を承諾しました。しかし、劇中で彼女が披露する「ヒート・ウェイヴ」などのパフォーマンスは、彼女のキャリアの中でも特に妖艶で洗練されており、ミュージカル女優としての類まれな才能を世に知らしめる結果となりました。
  • エセル・マーマンの圧倒的声量
    ブロードウェイ初演の『アニーよ銃をとれ』でこの主題歌を歌った本人であるマーマンは、映画版でもその圧倒的な存在感を見せつけました。マイクが不要と言われた彼女の歌声は、シネマスコープの壮大なスケールに負けない力強さを作品に与え、一家の屋台骨としての説得力を生んでいます。
  • ドナルド・オコナーの超絶技巧
    『雨に唄えば』で知られるオコナーは、本作でもその身軽なダンスとコメディセンスを存分に発揮しました。特に、彫像と踊る独創的なナンバーや、マリリンとのデュエットシーンで見せる軽やかなステップは、当時のハリウッド・ミュージカルの技術水準の高さを示す貴重な記録です。
  • 豪華な衣装デザイン
    アカデミー賞にノミネートされた衣装の数々は、巨匠トラヴィラが手がけました。マリリンの伝説的な「ヒート・ウェイヴ」の衣装をはじめ、一家が舞台で着用する華やかなコスチュームは、当時のカラー映画の鮮やかさを象徴する視覚的な楽しみの一つとなっています。
  • アーヴィング・バーリンの集大成
    アメリカ音楽界の至宝バーリンは、自身の過去の名曲を本作のために惜しみなく提供しました。主題歌はもちろん、「アレキサンダーズ・ラグタイム・バンド」などの名曲が、ドナヒュー一家の歴史を語る重要な要素として効果的に配置されています。
  • ジョニー・レイの異色の存在感
    1950年代に「泣きのジョニー」として熱狂的な人気を誇った歌手ジョニー・レイが、聖職者を目指す長男役で出演しています。彼の独特な歌唱スタイルは、伝統的なミュージカルの枠組みの中に、当時台頭し始めていた新しい音楽の潮流を感じさせ、作品に多様な魅力を加えました。

まとめ:作品が描いたもの

本作は、ショウビジネスという虚飾に満ちた世界を舞台にしながら、その根底にある「家族の愛」と「プロフェッショナリズム」を、音楽とダンスを通じて力強く総括したエンターテインメントの傑作でした。

ウォルター・ラング監督は、豪華キャストの個性をぶつけ合わせることで、舞台裏の苦悩さえも華やかな旋律へと昇華させました。どんな時代も人々を励まし続ける音楽の力を信じ、芸に生きる人々の誇りを描き切った本作は、ハリウッド黄金時代の自信と活力を今に伝える記録となっています。


〔シネマ・エッセイ〕

幕が開いた瞬間の、あの胸の高鳴り。エセル・マーマンの張りのある声が劇場に響き渡ると、一気に別世界へと引き込まれます。マリリン・モンローが真っ白なドレスで現れ、甘い歌声で誘惑するシーンの煌びやかさは、まさに銀幕の魔法そのもの。彼女の持つ無垢な輝きと、ドナルド・オコナーの軽快なタップが交差する瞬間、映画は最高の幸福感に包まれます。

物語の中で、家族がバラバラになり、楽屋での会話が刺々しくなる場面には、華やかな世界の裏にある孤独や厳しさが滲みます。だからこそ、ラストで全員が揃い、あの有名な主題歌を大合唱する姿には、理屈抜きの感動が込み上げてくるのです。

「ショウほど素敵な商売はない」。そのタイトル通り、人生の苦難さえも飲み込んで、最後は笑顔で観客の前に立つ。そんな芸人たちの不屈の精神が、極彩色の映像と共に心に深く刻まれます。見終わった後、自分の人生というステージでも、一歩前に踏み出したくなるような勇気をくれる名作です。

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