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ラ・マンチャの男 Man of La Mancha 1972

1970

ラ・マンチャの男
Man of La Mancha
(アメリカ・イタリア 1972)

[製作総指揮] アルベルト・グリマルディ
[製作] アーサー・ヒラー/サウル・チャップリン
[監督] アーサー・ヒラー
[原作] ミゲル・ド・セルヴァンテス・イ・サーヴェドラ/デイル・ワッサーマン
[脚本] デイル・ワッサーマン
[撮影] ジュゼッペ・ロトゥンノ
[音楽] ミッチ・リー/ローレンス・ローゼンサル
[ジャンル] コメディ/ドラマ/ミュージカル
[受賞]
ナショナル・ボード・オブ・レビュー主演男優賞(ピーター・オトゥール)

キャスト

ピーター・オトゥール
(ドン・キホーテ)

ソフィア・ローレン
(アルドンザ/ドゥルチネア)


ジェームズ・ココ(サンチョ・パンザ)
ハリー・アンドリュース(役人)
ジョン・キャッスル(公爵)
ブライアン・ブレスト(ペドロ)
イアン・リチャードソン(神父)
ジュリー・グレッグ(アントニア)
ロザリー・クラッチリー(家政婦)



概要

『ラ・マンチャの男』(Man of La Mancha)は、ミゲル・デ・セルバンテスの名作『ドン・キホーテ』を原作にしたミュージカル映画。

舞台劇の映画化作品であり、監督はアーサー・ヒラー、主演はピーター・オトゥールとソフィア・ローレン。

理想を追い求めるドン・キホーテと彼を取り巻く人々の物語が、幻想的で壮大な音楽に乗せて描かれる。



ストーリー

スペイン異端審問所の牢獄に投獄された作家セルバンテス(ピーター・オトゥール)は、収監された囚人たちに『ドン・キホーテ』の物語を披露し、自身の裁判を待つ間、想像力と希望を武器にした演劇を通じて自らを弁護しようとする。

セルバンテスは、物語の中で中年の紳士アロンソ・キハーナが、狂気に取り憑かれ、自らを「ドン・キホーテ」と名乗る姿を描く。彼は馬ロシナンテにまたがり、忠実な従者サンチョ・パンサ(ジェームズ・ココ)を連れて旅に出る。キホーテは正義と高貴な理想を追い求め、世の中の不正を正そうとするが、その行動は他者には奇妙で愚かなものに見える。

旅の途中、キホーテは酒場で働くアルドンサ(ソフィア・ローレン)に出会い、彼女を「ドゥルシネア姫」と呼んで理想の女性として崇拝する。アルドンサは自分を粗野で卑しい存在と考えているが、キホーテの純粋な信念と想像力によって自分の価値を見出していく。

キホーテの旅は数々の試練に満ちている。風車を巨人だと思い込んで戦いを挑むシーンや、現実世界から「狂気」とみなされる姿は、彼の理想と現実のギャップを象徴している。一方で、彼の信念に触れた周囲の人々は、次第に彼の視点や理想主義を理解し、受け入れていく。

キホーテは現実に直面し、自らの夢を失いかけるが、周囲の人々の励ましによって再び立ち上がる。セルバンテスの裁判とキホーテの旅の物語が交錯し、最終的に「不可能な夢」を追い続ける姿が描かれていく。





エピソード

  • ピーター・オトゥールの歌唱部分は本人ではなく声楽家サイモン・ギルバートが吹き替えを担当。オトゥールの迫真の演技とギルバートの歌声が巧みに融合し、キャラクターの感情を力強く表現している。
  • ソフィア・ローレンは歌唱シーンを自ら担当し、女優としての魅力だけでなく歌手としての才能も披露。彼女は役作りのために多くのリハーサルを重ね、アルドンサの苦悩と成長を説得力ある形で演じた。
  • ジェームズ・ココは役作りのためにスペイン文化を研究し、ユーモラスかつ温かみのある従者像を作り上げた。撮影現場でもコメディリリーフとして雰囲気を和ませていたという。
  • 撮影中、オトゥールとローレンはお互いに深い尊敬の念を抱きながら共演。オトゥールはローレンの歌唱力と演技力を称賛し、彼女はオトゥールの情熱的な役作りに感銘を受けた。
  • スペインの荒野でのロケは、酷暑の中で行われたため、キャストやスタッフは体力的に厳しい状況に直面。それでも、壮大な風景が映画のスケール感を高めた。
  • アルドンサ役の衣装は、ローレンの美しさを際立たせると同時に、キャラクターの貧困層出身という背景を表現するために工夫された。衣装デザイナーのロレンツォ・フリッツィによる緻密なデザインが好評を博した。
  • オトゥールは役作りのため、原作の『ドン・キホーテ』やセルバンテスの生涯について徹底的に研究。彼は自身の演技について「キホーテの狂気の中にある純粋さを表現したかった」と語っている。
  • 舞台劇の映画化にあたり、ヒラーは映像のスケールを大きくするためにスペインのロケーションを採用。舞台版とは異なるダイナミックな演出が映画ならではの魅力を引き出している。
  • テーマ曲「The Impossible Dream」
    映画の象徴的なテーマ曲「The Impossible Dream」は、ピーター・オトゥールとソフィア・ローレン両者のキャラクターを際立たせる重要な要素となった。撮影中、この楽曲が流れるたびにキャストとスタッフの士気が高まったという。

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