女だけの都
La Kermesse heroique
(フランス・ドイツ 1935)
[監督] ジャック・フェデー
[原作] シャルル・スパーク
[脚本] ロベール・A・ステムル/ベルナール・ジマー
[撮影] ハリー・ストラドリング
[音楽] ルイ・ベイツ
[ジャンル] コメディ/戦争/恋愛
[受賞]
ナショナル・ボード・オブ・レビュー外国映画賞
NY批評家協会賞外国語映画賞
ヴェネツィア映画祭監督賞
フランソワーズ・ロゼー
(ブールムストル夫人)
ジャン・ミュラー (ドリヴェール)
アンドレ・アレルム (ブールムストル)
ミシュリーヌ・シェイレル (シスカ)
ベルナール・ランクレ (ジャン)
「女だけの都」は、ジャック・フェデー監督によるフランスのコメディ映画。17世紀のフランダース地方を舞台に、スペイン軍が街を占拠しようとする中で、女性たちが巧みに立ち回り、危機を回避する姿を描いている。
17世紀のフランダース地方。スペイン軍が街に入るという噂が広がり、街の男性たちは恐怖に陥る。市長(アンドレ・アルヴィル)は対抗するための計画を立てるが、スペイン軍の規模に怯え、病気を理由に自宅に引きこもる。そんな中、市長夫人のコルネリーヌ(フランソワーズ・ロゼー)が、街の女性たちを集めて秘密の会合を開く。
女性たちは、軍の指揮官ドン・アンドレ(ジャン=ルイ・バロー)を歓迎し、宴会を開くことで戦闘を避ける計画を立てる。コルネリーヌは自身の美貌と機知を駆使し、ドン・アンドレと交渉しながら、街の安全を確保しようとする。中盤では、女性たちが宴会でドン・アンドレとその部下たちをもてなす様子が描かれ、彼らの人間関係や性格が明らかになる。女性たちの機転と団結力が、戦争を回避するための鍵となっていく。
フランソワーズ・ロゼーの多才さ:
ロゼーは映画のために、歌や踊りといったパフォーマンススキルも披露し、その多才さが映画の魅力の一部となった。
ジャン=ルイ・バローの演技の転換点:
バローにとって、この映画は彼の演技キャリアにおける転換点となり、後のフランス映画界での成功への道を開いた。
衣装と美術:
映画は17世紀のフランダース地方の衣装とセットを忠実に再現し、その視覚的な美しさが評価された。
ジャック・フェデーの監督手法:
フェデーは、コメディの要素を巧みに取り入れ、登場人物たちのユーモアと人間関係を豊かに描き出した。
撮影の裏話:
撮影中、フランソワーズ・ロゼーは特に感情表現において監督から細かい指導を受け、その結果、彼女の演技が映画のコメディ要素を強調する役割を果たした。
映画の音楽:
映画の音楽は、物語の軽快さと登場人物たちの陽気さを反映するために、当時のバロック音楽の影響を受けた楽曲が使用された。
公開後の評価:
映画は公開後、フランス国内外で好評を博し、特に女性たちの機知と勇気を描いた点が評価された。
フェデーのビジュアルスタイル:
ジャック・フェデーは、視覚的に華やかなスタイルを採用し、色彩と構図にこだわっている。
フランソワーズ・ロゼーの影響力:
ロゼーは撮影中、キャストやスタッフの間で非常に影響力のある存在だった。彼女のプロフェッショナリズムと演技への情熱が、現場の士気を高めた。
アンドレ・アルヴィルの役柄:
アンドレ・アルヴィルが演じた市長役は、当初はコメディ的な要素が強調されていなかったが、彼の演技により、キャラクターがより風刺的でユーモラスなものとなった。
コメディシーンの即興:
キャストの一部は、撮影中に即興でコメディシーンを追加することがあり、これが映画のユーモアを増幅させた。
撮影現場でのエピソード:
撮影中、特に寒い日には、ロゼーが他のキャストに温かい飲み物を提供し、チームの士気を高めるためのリーダーシップを発揮した。
キャストの国際的な背景:
一部のキャストはフランス国外からの出身であり、多様な文化背景を持っていた。この多様性が映画の国際的な魅力に貢献した。
「女だけの都」は、ジャック・フェデー監督のユーモアと機知に富んだ演出が光るコメディ映画だ。フランソワーズ・ロゼーをはじめとするキャストの演技が、映画の中心的な魅力となっている。特に、女性たちが団結して危機を乗り越える姿が描かれ、当時としては革新的な視点を提供している。
映画の美術と衣装は17世紀のフランダース地方を見事に再現しており、視覚的にも楽しめる作品だ。フェデーの演出は、登場人物の内面を巧みに描き出し、観客に笑いと共感をもたらす。全体として、「女だけの都」は、軽快なコメディでありながらも、深い社会的テーマを含んだ作品で、今なお評価され続けているクラシックな映画だ。
コメント