時計じかけのオレンジ
A Clockwork Orange
(イギリス 1971)
[製作総指揮] シー・リトヴィノフ/マックス・L・ラーブ
[製作] スタンリー・キューブリック/バーナード・ウィリアムズ
[監督] スタンリー・キューブリック
[原作] アンソニー・バージェス
[脚本] スタンリー・キューブリック
[撮影] ジョン・オルコット
[音楽] ウェンディ・カーロス/レイチェル・エルキンド
[ジャンル] クライム/ドラマ/SF
[受賞] NY批評家協会賞 監督賞/作品賞
マルコム・マクダウェル (アレクサンダー・デラージ/アレックス・バージェス/ナレーター)
パトリック・マギー (フランク・アレクサンダー)
マイケル・ベイツ (バーンズ)
ウォーレン・クラーク (ディム)
ジョン・クライヴ (舞台俳優)
アドリアンヌ・コリー (アレクサンダー夫人)
カール・ダリング (Dr.ブロスキー)
ポール・ファレル (浮浪者)
クライヴ・フランシス (ジョー)
ミリアム・カーリン (ミス・ウェザリー)
ジェームズ・マーカス (ジョージー)
オーブリー・モリス (デルトイド)
スティーヴン・バーコフ (トム)
「時計じかけのオレンジ」は、スタンリー・キューブリック監督によるSFディストピア映画で、アンソニー・バージェスの同名小説を原作としている。その独創的なビジュアルスタイルと挑発的なテーマで高く評価されており、映画史における重要な作品の一つである。
物語の舞台は、近未来のイギリス。主人公のアレックス・デラージ(マルコム・マクダウェル)は、快楽と暴力を愛する若者で、仲間と共に夜な夜な犯罪行為を繰り返している。彼らの行動はエスカレートし、アレックスは最終的に逮捕される。
刑務所での生活の中で、アレックスは政府の「ルドヴィコ療法」と呼ばれる矯正プログラムの被験者として選ばれる。この療法は、暴力的な行動を抑制するために、患者に強制的に暴力的な映像を見せ続けるというものだ。アレックスはこのプログラムに耐え、次第に暴力に対する強い嫌悪感を抱くようになる。
マルコム・マクダウェルの役作り:アレックス役を演じたマルコム・マクダウェルは、役作りのために多くの準備を行った。彼はアレックスのキャラクターに深く没入し、その冷酷さと魅力を見事に表現した。
キューブリックの演出:
スタンリー・キューブリックは、映画の全体的なトーンとビジュアルスタイルを非常に細かくコントロールした。特に、ルドヴィコ療法のシーンでは、マクダウェルの目に固定具を装着し、実際に目薬を使うことでリアリティを追求した。
音楽の選択:
映画の音楽は、ベートーヴェンの「第9交響曲」や電子音楽が特徴的に使用されている。この音楽の選択が、映画の不気味な雰囲気を一層強調している。
暴力描写への批判:
映画の公開当初、その過激な暴力描写が多くの批判を呼び、一部の国では上映禁止となった。しかし、時間が経つにつれてその芸術的価値が認められるようになった。
原作との違い:
映画はアンソニー・バージェスの小説を基にしているが、結末が原作と異なる。キューブリックは、原作の最終章を省略することで、より暗い結末を描いている。
キャラクターの衣装:
アレックスと彼の仲間たちが着用する白い服とボウラーハット、そして一つだけの義眼は、映画のビジュアルアイコンとなり、後の多くのメディアでオマージュされている。
撮影のロケーション:
映画の多くのシーンはロンドン周辺で撮影されており、特に未来的な建築物や荒廃した風景が選ばれた。これにより、ディストピア的な世界観が効果的に表現されている。
視覚効果:
映画の視覚効果は当時としては斬新で、特にスローモーションやワイドレンズの使用が印象的だ。これらの技法が、アレックスの狂気と世界の歪みを視覚的に表現している。
批評家の評価:
公開当初、批評家からの評価は賛否両論だったが、次第にその芸術的価値が認められ、現在では映画史に残る名作とされている。
文化的影響:
「時計じかけのオレンジ」は、その後の映画や音楽、ファッションに大きな影響を与えた。アレックスのキャラクターや映画のスタイルは、ポップカルチャーにおいて象徴的な存在となっている。
「時計じかけのオレンジ」は、その挑発的なテーマとスタンリー・キューブリックの独特の演出で観客を魅了し続けている。アレックスのキャラクターと物語の深さは、観る者に倫理や自由意志について深く考えさせる。この映画は、ディストピア映画の古典として、映画史における重要な位置を占めている。
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