犯罪王リコ
Little Caesar
(アメリカ 1931)
[製作] ハル・B・ウォリス/ダリル・F・ザナック
[監督] マーヴィン・ルロイ
[原作・脚本] W・R・バーネット/フランシス・エドワード・ファーゴー/ロバート・N・リー/ロバート・ロード/ダリル・F
[撮影] トニー・ガウディオ
[ジャンル] クライム/ギャング/ドラマ
エドワード・G・ロビンソン
(シーザー・エンリコ・“リコ”・バンディエロ)
ダグラス・フェアバンクス・ジュニア
(ジョー・マッシェッリ)
グレンダ・ファレル (オルガ・ストラソフ)
ウィリアム・コリア・ジュニア (トニー・パッサ,運転手)
シドニー・ブラックマー (ビッグ・ボーイ)
ラルフ・アインス (ダイアモンド・ピート・モンタナ)
トーマス・E・ジャクソン (トム・フラーティ刑事)
「犯罪王リコ」は、マーヴィン・ルロイ監督によるギャング映画の古典的名作である。
ウィリアム・R・バーネットの小説を原作としており、エドワード・G・ロビンソンが主演を務めている。
彼の演じるキャラクター、シーザー・エンリコ・”リコ”・バンディエロは、映画史に残る代表的なギャング像を確立した。
物語は、シカゴの小さな犯罪者シーザー・エンリコ・バンディット(通称リコ、エドワード・G・ロビンソン)が、ギャングの頂点を目指して上り詰めていく様子を描く。リコは野心的で無慈悲な男で、成功のためには手段を選ばない。彼の親友ジョー・マッシェッリ(ダグラス・フェアバンクス・ジュニア)は、犯罪の道から足を洗い、ダンサーとして新しい人生を始めようとするが、リコはそれを許さない。
リコは、次第に組織のトップに上り詰めるが、その過程で多くの敵を作り、警察からの追跡も厳しくなる。リコの権力欲と暴力がエスカレートする中で、彼の運命は急速に崩れ始める。
原作:
映画は、W・R・バーネットの同名小説を原作としている。バーネット自身もギャングや犯罪の世界に詳しく、リアリティのある描写が映画に反映されている。
エドワード・G・ロビンソンのブレイク:
ロビンソンはこの映画で一躍スターとなり、その後も多くのギャング映画で主演を務めるようになった。彼のリコ役は、犯罪映画の悪役像の原型となった。
撮影スタイル:
マーヴィン・ルロイ監督は、映画のリアリティを高めるために、ロケーション撮影やドキュメンタリースタイルのカメラワークを多用した。
名セリフ:
リコの「Mother of mercy, is this the end of Rico?」(「慈悲深き母よ、これがリコの終わりなのか?」)というセリフは、映画史に残る名セリフとして広く知られている。
社会的影響:
映画は、当時の社会における犯罪とその影響を鋭く描いており、特に大恐慌時代のアメリカにおけるギャングの存在感を強調している。
検閲問題:
暴力的な内容と犯罪を美化する描写が問題視され、一部のシーンが検閲された。しかし、この検閲が逆に映画の話題性を高めた。
ロビンソンの役作り:
エドワード・G・ロビンソンは、リコ役を演じるために多くの実在のギャングを研究し、その言動や仕草を取り入れた。
続編の計画:
映画の成功を受けて、続編の制作が検討されたが、ロビンソンがリコ役を再演することに消極的だったため、実現しなかった。
リアリズムの追求:
映画のリアリズムを高めるために、実際の警察署や犯罪現場を再現したセットが使用された。
文化的影響:
「犯罪王リコ」は、その後の多くのギャング映画や犯罪ドラマに影響を与えた。リコのキャラクターは、後の映画における悪役のモデルとなり、多くの俳優がその演技を参考にした。
「犯罪王リコ」は、そのリアリズム、エドワード・G・ロビンソンの名演技、そしてマーヴィン・ルロイの巧みな監督技術で観客を魅了し続けている。この映画は、ギャング映画の古典として、今なお多くの人々に影響を与え続けている。映画史における重要な作品として、その地位を確立している。
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