海外特派員
Foreign Correspondent
(アメリカ 1940)
[製作] ウォルター・ウェンジャー
[監督] アルフレッド・ヒッチコック
[脚本] チャールズ・ベネット/ジョーン・ハリソン/ロバート・ベンチリー/ハロルド・クラーマン/ベン・ヘクト/ジェームズ・ヒルトン/ジョン・ハワード・ローソン/ジョン・リー・メイヒン/リチャード・メイバウム/バド・シュルバーグ
[撮影] ルドルフ・マテ
[音楽] アルフレッド・ニューマン
[ジャンル] スリラー
ジョエル・マクリー (ジョン・ジョーンズ)
ジョージ・サンダース
(スコット・フォリオット)
ラレイン・デイ (キャロル・フィッシャー)
ハーバート・マーシャル (スティーヴン・フィッシャー)
アルバート・バサーマン (ヴァン・ミア)
ロバート・ベンチリー (ステビンス)
エドムンド・グウェン (ローリー)
エドゥアルド・チャネリ (クラッグ)
ハリー・ダヴェンポート (パワーズ)
アルフレッド・ヒッチコック
(新聞を読む男)
『海外特派員』は1940年に公開されたアメリカのスリラー映画。監督はアルフレッド・ヒッチコック、主演はジョエル・マクリー、ラレイン・デイ、ハーバート・マーシャル。映画は、第二次世界大戦前夜のヨーロッパで、アメリカ人ジャーナリストが国際的な陰謀に巻き込まれる物語を描いている。ヒッチコックのスリルとサスペンスの要素が光る作品として評価されている。
物語は、ニューヨークの新聞社が、ヨーロッパの緊張を報道するために新しい視点を持つ記者を派遣することを決定するところから始まる。選ばれたのは、タフで率直な犯罪記者ジョニー・ジョーンズ(ジョエル・マクリー)。彼は「ハントリー・ハヴァーストック」というペンネームで、海外特派員として活動を開始する。
ジョニーはヨーロッパに到着し、和平交渉を担当している重要人物、ファン・メヒューズ(アルバート・バッサーマン)に関するスクープを狙う。しかし、メヒューズが暗殺される現場を目撃し、彼の死が単なる事故ではないことに気づく。ジョニーは、メヒューズの死の背後にある陰謀を暴こうと決意する。
ヒッチコックのスタイル:
『海外特派員』は、ヒッチコック特有のサスペンスとユーモアが融合した作品で、彼の後の作品に見られるスタイルの礎を築いた。
アカデミー賞:
映画は第13回アカデミー賞で6部門にノミネートされ、特に特殊効果の部門で評価された。
戦時中の制作:
映画は第二次世界大戦の勃発直後に公開され、アメリカにおける戦争への関心を反映している。
実在の出来事の影響:
映画のいくつかのエピソードは、実際のスパイ事件や戦時の出来事にインスパイアされている。
キャスティング:
ジョエル・マクリーは、ヒッチコックと初めての共演となったが、その後も彼との協力が続いた。
ゴシップ:
撮影中、ラレイン・デイとジョエル・マクリーの間には一時的なロマンスが噂され、映画の宣伝にも利用されたと言われている。
有名なシーン:
映画には有名な風車のシーンがあり、視覚的に印象的な演出が観客に強い印象を与えた。
ヒッチコックのカメオ出演:
監督のヒッチコックは、映画の中でカメオ出演しており、新聞を持った人物として登場する。
ロケ地とセット:
映画の多くはスタジオセットで撮影されたが、ヨーロッパの雰囲気を再現するために細部にわたってリアリズムを追求した。
音楽:
映画音楽はアルフレッド・ニューマンが担当し、映画のサスペンスフルな雰囲気を強調している。
製作背景:
制作中、ヒッチコックは英国からアメリカに移住し、その影響が映画のトーンに表れている。
批評家の評価:
映画はそのサスペンスフルなストーリーと巧妙な演出で批評家から高い評価を受けた。
政治的背景:
映画は、アメリカの中立政策が転換期を迎える直前に公開され、そのタイミングが話題となった。
視覚効果:
特殊効果や視覚的トリックが多用されており、当時としては革新的な技術が使用された。
興行成績:
映画は商業的にも成功し、ヒッチコックのキャリアの中で重要な作品となった。
ゲイリー・クーパー:
アルフレッド・ヒッチコック卿はジョエル・マクリーの代わりにゲイリー・クーパーを主役に起用したいと考えていたが、クーパーはスリラー映画には興味がなかった。彼は後にこの映画を断ったことを後悔している。
『海外特派員』は、アルフレッド・ヒッチコックの緻密な演出と巧妙なストーリーテリングが光る作品として高く評価されている。ジョエル・マクリーの演技は、タフで賢いジャーナリストとしてのキャラクターを魅力的に描き、ラレイン・デイとの相性も絶妙である。映画は、視覚効果と緊張感のあるシーンで観客を引きつけ、サスペンス映画の典型として後世に影響を与えた。この映画は、戦争前夜の緊張感を背景に、スリルとドラマを見事に融合させた一作である。
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