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外套と短剣 Cloak and Dagger 1946

外套と短剣
Cloak and Dagger
(アメリカ 1946)

[製作] ミルトン・スパーリング
[監督] フリッツ・ラング
[原作] コリー・フォード/ボリス・イングスター/ジョン・ラーキン/アラステア・マクベイン
[脚本] アルバート・モルツ/リング・ラードナーJr.
[撮影] ソル・ポリト
[音楽] マックス・スタイナー
[ジャンル] ドラマ/恋愛

キャスト

ゲイリー・クーパー
(アルヴァ・ジェスパー教授)

ロバート・アルダ (ピンキー)
リリー・パルマー (ジーナ)
ウラジミール・ソコロフ (ポルダ)
J・エドワード・ブロンバーグ (トレンク)
マージョリー・ホシェール (アン・ドーソン)



概要

『外套と短剣』(Cloak and Dagger)は、1946年公開のスパイ・スリラー映画。フリッツ・ラング監督が手掛け、主演はゲイリー・クーパーとリリ・パルマー。第二次世界大戦中のアメリカの科学者が、ナチスの原子爆弾開発計画を阻止するためにスパイ活動に身を投じる姿を描く。実際の戦時中の諜報活動を元にしたストーリーが展開され、ラング監督らしい緊迫感あふれる演出が光る作品。

ストーリー

第二次世界大戦の最中、アメリカの物理学者アルヴァ・ジェスパー(ゲイリー・クーパー)は、ナチス・ドイツが原子爆弾の開発を進めているとの情報を得る。政府の要請を受けたジェスパーは、科学者としての立場を利用し、ナチスの核開発の真相を探るスパイ活動に加わる。

彼はスイスへ向かい、亡命したドイツ人科学者たちから情報を収集するが、ナチスの監視が厳しく、思うように動けない。そこで、ジェスパーはレジスタンスと接触し、ナチスに捕らえられている科学者マリア・セヴェリン(リリ・パルマー)の救出を試みる。

ジェスパーとレジスタンスは、イタリアのミラノへ潜入。そこで彼はマリアと出会い、彼女からナチスの核開発の進行状況を聞き出す。マリアは亡命を望んでいたが、ナチスの監視下にあるため、脱出は困難を極める。ジェスパーは彼女を救うため危険な作戦を決行するが、途中でナチスのスパイに追われることになる。

激しい銃撃戦と命がけの逃走劇の末、ジェスパーはマリアと共に脱出を果たす。そして、彼が持ち帰った情報は、アメリカの原子爆弾開発(マンハッタン計画)にとって極めて重要なものとなる。

エピソード

フリッツ・ラングのスパイ映画への挑戦
ラング監督はドイツ出身で、ナチスを批判した映画『M』や『暗黒街の弾痕』などを手掛けていた。本作ではより現実的なスパイ活動を描こうとした。

実際の戦争スパイを参考にした脚本
映画のストーリーは、戦時中のOSS(戦略諜報局、CIAの前身)の活動をモデルにしている。

リリ・パルマーの実体験が影響
ドイツ生まれのリリ・パルマーは、ナチス政権から逃れた経験を持ち、役柄にもリアリティが加わった。

実際のスパイ技術を映画に取り入れた
映画内で使われる暗号や隠しメッセージの技術は、実際のOSSで使用されていたものに基づいている。

ラング監督がラストを変更
オリジナルのエンディングでは、ジェスパーの任務が終わらないことを示唆する暗い結末だったが、スタジオ側の意向で変更された。

イタリアのロケーション撮影は不可能だった
戦後間もないため、イタリアのシーンはすべてセットで撮影された。

銃撃戦シーンのリアルな演出
ラングは銃撃シーンのリアリティにこだわり、撃たれた兵士が倒れる動きを何度もリハーサルした。

リリ・パルマーの演技指導
ラング監督はパルマーに「演技ではなく、実際に戦争を生き抜いた女性として演じろ」と指導した。

脚本の変更が多発
スタジオ側はよりロマンチックな要素を増やそうとし、最初の脚本から大幅に変更が加えられた。

ゲイリー・クーパーのリアリティ重視の演技
クーパーは「スパイらしくないスパイ」を演じるため、あえてぎこちない動きを取り入れた。

レジスタンスの描写が話題に
映画の中でレジスタンスが重要な役割を果たし、戦後のヨーロッパでは高く評価された。

公開時の批評の分かれ方
一部の評論家は「政治的プロパガンダ」と批判したが、スリラー映画としての出来は評価された。

映画タイトルの意味
「Cloak and Dagger(外套と短剣)」は、スパイ活動を指す英語の慣用句であり、密偵や諜報の世界を象徴する。


原作は小説ではなく漫画
本作は、コロンビア大学の物理学者コミック『Cloak and Dagger』に着想を得ている。


実際の戦争犯罪をほのめかすシーン
ナチスの科学者が原爆を開発しようとしているという設定は、現実の「ペーネミュンデ研究所」の計画に基づいている。


フリッツ・ラングのナチス批判
彼はドイツから亡命し、ハリウッドでナチスを批判する映画を多く手掛けた。


ラング監督の撮影手法
照明のコントラストを活かし、フィルム・ノワールの影響を強く反映させた。


ゲイリー・クーパーのスタント
クーパーはアクションシーンの多くを自ら演じ、リアリティを追求した。


戦争映画からスパイ映画へとジャンル転換
当初は戦争映画として企画されたが、よりサスペンス要素を強調する方向へ変更された。

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