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ガス燈 Gaslight 1944

1940

ガス燈(字幕版)

ガス燈(字幕版)

ガス燈
Gaslight

(アメリカ 1944)

[製作] アーサー・ホーンブロー・ジュニア
[監督] ジョージ・キューカー
[原作] パトリック・ハミルトン
[脚本] ジョン・ヴァン・ドルーテン/ウォルター・ライシュ/ジョン・L・バルダーストン
[音楽] ブロニスラウ・ケイパー
[撮影] ジョゼフ・ルッテンバーグ
[ジャンル] ミステリー/スリラー
[受賞]
アカデミー賞主演女優賞(イングリッド・バーグマン)/美術監督賞
ゴールデン・グローブ賞主演女優賞(イングリッド・バーグマン)


キャスト

シャルル・ボワイエ
(グレゴリー・アントン)

イングリッド・バーグマン
(ポーラ・オルキスト)

ジョゼフ・コットン
(ブライアン・キャメロン)

デイム・メイ・ホィッティ (ミス・スウェイツ)

アンジェラ・ランズベリー
(ナンシー・オリヴァー)

バーバラ・エヴェレスト (エリザベス・トンプキンズ)
エミール・ラミュー (マエストロ・マリオ・ガルディ)
エドムンド・ブレオン (ハドルストン将軍)
ハリウェル・ホッブス (マフィン)
トム・スティーヴンソン (ウィリアムズ)



ストーリー

『ガス燈』は、1944年に公開されたアメリカのサスペンス映画で、監督はジョージ・キューカー。イングリッド・バーグマン、シャルル・ボワイエ、ジョゼフ・コットン、そして若きアンジェラ・ランズベリーが出演している。この映画は、1938年のパトリック・ハミルトンの戯曲「Gas Light」(アメリカでは「Angel Street」)を原作としており、すでに1940年にイギリスで映画化されている。物語は、結婚後に夫の巧妙な策略によって精神的に追い詰められていく妻の姿を描いている。

この映画は、心理的サスペンスの傑作として評価され、特にイングリッド・バーグマンの演技は高く評価された。彼女はこの役でアカデミー主演女優賞を受賞している。

物語は、ロンドンに住む若い女性ポーラ・アルクイスト(イングリッド・バーグマン)が、叔母の死後にイタリアへ移住し、音楽の勉強をしているところから始まる。叔母は有名なオペラ歌手で、ポーラは彼女の遺産を相続していた。イタリアでポーラは、魅力的で洗練されたグレゴリー・アントン(シャルル・ボワイエ)と出会い、急速に恋に落ち、結婚することになる。

結婚後、グレゴリーはポーラを叔母の家があるロンドンに戻るよう説得し、二人はその家に住むことになる。しかし、ロンドンに戻った後から、ポーラの周囲で奇妙な出来事が起こり始める。ポーラは物を失くしたり、記憶が曖昧になったりし始め、自分が正気でないのではないかと疑い始める。結婚後、二人の間には幸せな時期もあったが、ヘンリーの浮気癖は収まらず、マーサは失望し、家を出ることを決意する。しかし、彼女は彼に未練があり、彼が本当に彼女を愛していることを証明できるならば戻ることを考えている。ヘンリーは彼女を取り戻そうと努力し、その過程で自分の愛情の深さに気付く。

エピソード

イングリッド・バーグマンの役作り

イングリッド・バーグマンは、当初ポーラ役を引き受けることに消極的だった。彼女は自分が非常に強く自立した女性だと考えており、内気で繊細な役をうまく演じられるか心配だった。

バーグマンはポーラ役に深く没入し、役作りのために精神病院を訪れて、実際の患者たちの様子を観察したと言われている。彼女はこの役で自身の演技の幅を広げ、アカデミー主演女優賞を獲得した。

シャルル・ボワイエのキャスティング
グレゴリー役には、当初は他の俳優も候補に挙がっていたが、最終的にはシャルル・ボワイエが選ばれた。ボワイエはフランス出身の俳優で、そのエレガントな外見と冷淡な演技が、グレゴリーというキャラクターに完璧に合致していた。

アンジェラ・ランズベリーの映画デビュー
本作でメイドのナンシーを演じたアンジェラ・ランズベリーは、当時わずか18歳で、この役が彼女の映画デビュー作となった。彼女の演技は非常に評価され、アカデミー助演女優賞にノミネートされた。

リメイク権を巡る騒動
1940年にイギリスで制作された同名の映画が存在するため、MGMはそのリメイク権を購入し、1944年版を制作した。さらに、MGMは1940年版のすべてのプリントを回収し、公開を妨害しようとした。これにより、オリジナル版が長い間一般に見られない状況となった。

ガスライティングの語源
この映画が公開された後、「ガスライティング」という言葉が広まり、心理的操作や虐待の手法を指す用語として現在でも使われている。映画におけるグレゴリーの行為が、その典型的な例として語られている。

身長の工夫
イングリッド・バーグマンがシャルル・ボワイエに初めて出会ったのは、駅で会って情熱的にキスするシーンを撮影した日だった。ボワイエはバーグマンと同じ身長だったので、背が高く見えるように箱の上に立っていた。ボワイエはまた、映画の中でずっと2インチヒールの靴やブーツを履いていた。

シャルル・ボワイエ評
イングリッド・バーグマンは自伝の中で、シャルル・ボワイエを、これまで共演した俳優の中で最も聡明で博学で教養があり、最も優しい俳優であったと記している。



『ガス燈』は公開と同時に大きな成功を収め、批評家からも高い評価を受けた。特に、イングリッド・バーグマンの演技は絶賛され、彼女の繊細で感情豊かなパフォーマンスが映画全体を支えていると言われた。また、ジョージ・キューカーの演出も評価され、サスペンスを緊張感たっぷりに描き出すことに成功しているとされた。

一方で、一部の批評家は映画の展開がやや冗長であると感じ、グレゴリーの計画が現実的に見えないという意見もあった。しかし、それらの批判を上回る形で映画は大ヒットし、心理サスペンス映画の名作として今なお語り継がれている。

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