シリアナ
Syriana
(アメリカ・アラブ首長国連邦 2005)
[製作総指揮] ジョージ・クルーニー／ベン・コスグローブ／ジェフ・スコール／スティーヴン・ソダーバーグ
[製作] ジェニファー・フォックス／ジョージア・カカンデス／マイケル・ノージク／サラ・ブラッドショー／エリザベス・カークシー／シャノン・レイル
[監督] スティーヴン・ギャガン
[原作] ロバート・ベア
[脚本] スティーヴン・ギャガン
[撮影] ロバート・エルスウィット
[音楽] アレクサンドル・デスプラ
[ジャンル] ドラマ／スリラー
[受賞]
アカデミー賞 助演男優賞（ジョージ・クルーニー）
ゴールデングローブ賞 助演男優賞（ジョージ・クルーニー）
ボストン映画批評家協会賞 アンサンブルキャスト賞
キャスト
ジョージ・クルーニー
（ボブ・バーンズ／CIA職員）
マット・デイモン
（ブライアン・ウッドマン／石油アナリスト）
ジェフリー・ライト
（ベネット・ホリデイ／弁護士事務所所員）
アレクサンダー・シディグ （ナシール・アル・スバーイ／石油王子）
マザール・ムニール （ワシーム・カーン／労働者）
アマンダ・ピート
（ジュリー・ウッドマン／ブライアンの妻）
クリストファー・プラマー
（ディーン・ホワイティング／弁護士事務所所長）
クリス・クーパー
（ジミー・ポープ／キリーン社社長）
ティム・ブレイク・ネルソン （ダニー・ドールトン／CLI名誉委員）
ウィリアム・ハート
（スタン・ゴフ／元CIA職員・コンサルタント）
トム・マッカーシー （フレッド・フランクス／ボブの上司）
ジェイソン・アトキンソン （CIA本部長）
ウィリアム・C・ミッチェル （ベネットの父）
ニッキー・ヘンソン （シドニー・ヒューイット／弁護士）
ピーター・ゲレッティ （リーランド・ジャヌス／コネックス社会長）
アクバール・クルサ （メシャール・アル・スバーイ／王子）
シャヒド・アハメド （サリーム・アハメド・カーン／石油王）
マーク・ストロング （傭兵）
マックス・ミンゲラ （ロビー・バーンズ／ボブの息子）
ジェイミー・シェリダン （テリー／議長）
ロバート・フォックスワース （トミー・バートン／コネックス社社長）
概要
『シリアナ』（Syriana）は、スティーブン・ギャガン監督によるポリティカル・スリラーで、中東の石油を巡る国際的な陰謀と権力闘争を描く作品。ジョージ・クルーニー、マット・デイモン、ジェフリー・ライトらが出演し、それぞれの視点を通じて複雑に絡み合う物語が展開される。CIA、石油企業、弁護士、労働者など多様な立場の人々の行動が交錯し、世界経済と政治の裏側を鋭く描写している。ジョージ・クルーニーは本作でアカデミー賞助演男優賞を受賞した。
ストーリー
中東の石油利権を巡る国際的な陰謀が、4つの異なる視点から描かれる。
1. CIA工作員ボブ・バーンズ（ジョージ・クルーニー）
ベテランのCIA工作員ボブ・バーンズは、中東での任務中に重要な武器取引を成功させるが、その裏にはアメリカ政府の思惑が絡んでいた。帰国後、上層部から石油王子ナシール・アル＝スバーイ（アレクサンダー・シディグ）の暗殺を命じられる。しかし、任務を遂行する中で、彼自身が利用されていることに気づき、次第に組織から孤立していく。任務の失敗によって裏切られたボブは、真実を追い求めるが、命の危険が迫る。
2. 石油アナリストのブライアン・ウッドマン（マット・デイモン）
野心的な石油アナリストのブライアンは、中東の石油王子ナシールに接触し、彼の経済改革に協力するようになる。しかし、ナシールの政策はアメリカの石油企業の利益に反するものであり、彼の立場は複雑化する。さらに、ナシールとの会合中に発生したプール事故で悲劇が起き、妻との関係も悪化していく。ブライアンは悲しみを抱えながら、ナシールのビジョンに賭けるが、その選択が大きな代償を伴う。
3. 弁護士ベネット・ホリデイ（ジェフリー・ライト）
若手弁護士のベネットは、アメリカの巨大石油企業の合併を監督する任務を負う。表向きは企業の不正を調査する役割だが、実際には不正を隠蔽し、合併を成功させるよう圧力を受けている。彼は次第に上層部の権力闘争に巻き込まれ、自らの良心とキャリアの間で葛藤することになる。
4. 労働者ワシーム（マザール・ムニール）
貧困に苦しむパキスタン出身の労働者ワシームは、雇用を失い、絶望の中で過激派グループに勧誘される。彼は仲間と共にテロリストとしての訓練を受け、最終的に自爆テロの道を選ぶ。彼の行動は、石油産業が生み出す格差と絶望がどのように過激な行動を引き起こすかを象徴している。
これらのストーリーは複雑に絡み合い、巨大石油企業の汚職、CIAの暗殺計画、政治的陰謀、そして労働者の絶望が一つの悲劇的な結末に収束する。映画はそれぞれのキャラクターが直面する葛藤や選択を通じて、石油産業の闇と世界の不平等を鋭く描き出している。
エピソード
ジョージ・クルーニーの役作り
クルーニーはCIA工作員役のために体重を約14キロ増やし、怪我を負いながらも撮影を完遂。役への没入ぶりが高く評価された。
リアリティ重視の脚本
スティーブン・ギャガン監督は、CIAの実際の内部事情や石油業界のリアルな描写を徹底的に調査し、脚本に反映した。
中東ロケーション撮影
撮影はモロッコやドバイで行われ、現地のリアルな風景が映画の緊張感を高めた。
複雑なプロットの編集
撮影された多くのシーンが編集段階で削除され、物語がさらに複雑化することを防いだ。
クルーニーの怪我
撮影中、拷問シーンで椅子から落下した際に脊椎を損傷し、その後も後遺症に苦しむこととなった。
モチーフとなった実話
映画のストーリーは、CIA元工作員ロバート・ベアの回顧録を基に構築された。
多面的な視点
映画は一つの視点に偏らず、異なる立場のキャラクターを描くことで石油産業の複雑さを浮き彫りにしている。
音楽の使い方
制作チームは音楽を抑制的に使用し、重々しい雰囲気を保つことで緊張感を高めた。
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