PR

心の旅路 Random Harvest 1942

1940

心の旅路(字幕版)

心の旅路
Random Harvest

(アメリカ 1942)

[製作] シドニー・フランクリン
[監督] マーヴィン・ルロイ
[原作] ジェームズ・ヒルトン
[脚本] クローディン・ウエスト/ジョージ・フローシェル/アーサー・ウィンペリス
[撮影] ジョゼフ・ラッテンバーグ
[音楽] ハーバート・ストザート
[ジャンル] ドラマ/恋愛


キャスト

ロナルド・コールマン
(チャールズ・レイニア/ジョン・‘スミシー’・スミス)

グリア・ガーソン
(ポーラ・リッジウェイ/マーガレット・ハンセン)

フィリップ・ドーン (Dr.ジョナサン・ベネット)
スーザン・ピーターズ (キティ)
ヘンリー・トレイヴァーズ (Dr.シムズ)
レジナルド・オーウェン (ビファー)
ブラムウェル・フレッチャー (ハリソン)
リス・ウィリアムズ (サム)



ストーリー

『心の旅路』は、1942年に公開されたアメリカのロマンティックドラマ映画。監督はマーヴィン・ルロイで、主演はロナルド・コールマンとグリア・ガーソン。映画は、ジェームズ・ヒルトンの小説を基にしており、第一次世界大戦で記憶喪失になった兵士が、愛と記憶を巡る複雑な運命に翻弄される様子を描いている。映画は大ヒットし、アカデミー賞で7部門にノミネートされた。

物語は、第一次世界大戦の終結後、イギリスの病院で記憶を失った兵士、チャールズ・レイニア(ロナルド・コールマン)が、自分の過去をまったく思い出せないまま「スミシー」という仮の名前で生活しているところから始まる。彼は精神病院を脱走し、ロンドンで歌手のポーラ(グリア・ガーソン)と出会い、二人は恋に落ち、結婚する。彼らは幸せな日々を過ごすが、チャールズはある日、交通事故に遭い、そのショックで記憶が回復するが、ポーラとの記憶を完全に失ってしまう。

チャールズは、元の家族と再会し、裕福な実業家としての生活に戻るが、ポーラは彼のことを諦めず、彼の秘書として彼のそばに留まる。彼女は、再び彼が自分を思い出す日が来ることを信じて待ち続ける。映画の中盤では、チャールズが自分の失われた過去と新しい生活の狭間で苦悩し、ポーラの存在に気づき始めるが、彼女との関係が明らかになるまでにはまだ多くの障害が立ちはだかる。

エピソード

アカデミー賞の栄光:
『心の旅路』はアカデミー賞で7部門にノミネートされた。主演のロナルド・コールマンと助演女優のスーザン・ピーターズがそれぞれノミネートされたほか、作品賞、監督賞、脚本賞などの主要部門にも名を連ねた。

グリア・ガースンの成功:
グリア・ガースンは、この映画での演技が高く評価され、彼女のキャリアの絶頂期を象徴する作品の一つとなった。同じ年に彼女は『ミニヴァー夫人』でも主演しており、その作品でアカデミー賞主演女優賞を受賞している。

ロナルド・コールマンの意欲:
撮影が終了した際、通常は控えめなロナルド・コールマンが「この映画を終わらせたくない」と語ったことが記録に残っている。この作品への深い思い入れがうかがえる。

興行成績:
映画は大ヒットし、アメリカ国内で465万ドル、全世界で817万ドルの興行収入を記録。MGMにとって、その年の最大のヒット作となった。

批評の賛否:
当時の批評家からは賛否両論があった。『ニューヨーク・タイムズ』のボズレー・クラウザーは、「感情過多でありながらも、どこか空虚な映画」と評価。一方で、後世の批評家たちからは、その感情豊かで誠実な語り口が再評価され、今ではロマンティック映画のクラシックとして愛されている。

撮影の挑戦:
ロナルド・コールマンが演じたチャールズ・レイニアは、記憶を失った後に再び記憶を取り戻すという難しい役柄だった。コールマンは、二つの異なる人物を演じ分けるために、微妙な演技を要求され、この役に取り組む際に大きなプレッシャーを感じたという。

グリア・ガーソンの二重生活:
1942年はグリア・ガースンにとって非常に忙しい年であり、『心の旅路』と同時期に『ミニヴァー夫人』も撮影していた。両作品が大ヒットしたため、彼女はその年のハリウッドで最も注目された女優の一人となった。

スーザン・ピーターズの助演女優賞ノミネート:
スーザン・ピーターズは、チャールズの新しい生活の中で彼に恋する女性、キティを演じ、助演女優賞にノミネートされた。彼女のキャリアはこの映画で大きく飛躍したが、その後、交通事故により半身不随となり、キャリアは短命に終わった。

サウンドトラック:
音楽はハーバート・ストサートが担当しており、映画の感動的な場面を盛り上げる重要な要素となっている。特に、ポーラとチャールズの再会シーンで使われた音楽は、観客に強い印象を与えた。

海外での評価:
『心の旅路』はアメリカだけでなく、イギリスをはじめとする多くの国で高い評価を得た。特に、戦争で傷ついた人々に対する共感を呼び起こす作品として、ヨーロッパでも大きな反響を呼んだ。



『心の旅路』は、感情的な深みと人間ドラマの強さで観客を魅了する一方で、時にはストーリーの展開がやや不自然に感じられることもある。特に、アムネシア(記憶喪失)というテーマが中心に据えられているため、物語の進行に無理があるという意見もあった。それでも、ロナルド・コールマンとグリア・ガーソンの名演技は、それらの欠点を補って余りある。

コールマンの繊細で内省的な演技は、彼のキャリアの中でも特に評価が高く、彼の苦悩を見事に表現している。ガーソンも、愛する人を静かに支える強い女性を演じ、観客に深い印象を残した。

コメント

タイトルとURLをコピーしました