ビリー・ワイルダー
Billy Wilder
1906年6月22日、オーストリア生まれ。
2002年3月27日、アメリカ・カリフォルニア・ロサンゼルス・ビヴァリーヒルズで死去(肺炎)。享年95歳。
本名サミュエル・ワイルダー。
新聞記者を経て脚本家となり、喜劇の名シナリオライターと呼ばれ成功する。
28歳の時監督デビュー。
コメディを中心に様々なジャンルでも活躍した職人監督。
ほぼすべての作品で、脚本を書いている。
ビリー・ワイルダーは、オーストリア生まれのアメリカの映画監督、脚本家、プロデューサーで、ハリウッド黄金時代を代表する人物の一人である。彼のキャリアは50年以上にわたり、コメディ、フィルム・ノワール、ドラマなど、さまざまなジャンルで傑作を生み出した。
ワイルダーはウィーン大学で法律を学んだ後、ジャーナリストとして働き始めたが、やがてベルリンに移り、そこで映画のシナリオを書くようになった。1933年にナチスが権力を握ったことで、ユダヤ系で左翼的な思想を持つワイルダーはドイツを離れ、パリを経てハリウッドに移住した。
ハリウッドでは、最初は英語がほとんどできなかったものの、脚本家として頭角を現し、やがて監督としても活動するようになる。1944年の『深夜の告白』や1945年の『失われた週末』などでその名声を確立し、後に『サンセット大通り』、『麗しのサブリナ』、『お熱いのがお好き』など、数多くの名作を手掛けた。
ワイルダーの作品は、しばしばアメリカ社会の偽善や人間の弱さを鋭く風刺するものであり、時には物議を醸すテーマを扱った。彼の監督スタイルは、脚本の完成を待たずに撮影を始め、即興でシーンを作り上げるという独特なものだった。彼はまた、脚本家チャールズ・ブラックェットと長くコンビを組んでおり、13本の映画を共に作り上げている。
彼はプライバシーを大切にしていたが、彼の人生にはいくつかの興味深いエピソードがある。
彼は1949年に女優であり歌手でもあるオードリー・ヤングと結婚した。二人の結婚生活は非常に安定しており、ワイルダーが亡くなるまで続いた。オードリー・ヤングは彼を献身的に支え、彼のキャリアにおいて重要な存在であった。彼らの間には二人の娘がいる。
彼はポーランドのユダヤ系家族の出身で、母親、祖母、そして継母がホロコーストで命を落とした。この悲劇的な出来事は、ワイルダーの人生と仕事に深い影響を与えた。彼はナチスの台頭を逃れてアメリカに移住したが、家族の一部を失った痛みは彼の生涯を通じて続いた。
彼はフランク・シナトラやマリリン・モンローといった大スターとも交流があり、彼らと一緒に仕事をすることも多かった。
ワイルダーは映画の中でしばしばアメリカ社会の偽善を批判し、風刺的なスタイルで知られていた。彼の作品には、彼自身の経験や思想が色濃く反映されており、第二次世界大戦中の彼の経験や失われた家族の影響が作品に現れている。
彼はまた、映画業界における脚本家の地位向上にも努めた。彼は自らが書いた脚本を忠実に映像化するために監督業に乗り出し、その結果として、彼の映画は一貫して質の高いものとなった。
彼の私生活は、彼がスクリーン上で描いた物語同様、複雑で多面的なものであり、その生涯は彼の映画作品を通じて感じ取ることができる。
ワイルダーは1980年代に映画製作を引退し、2002年に95歳で亡くなった。彼の作品は今もなお映画ファンに愛され続けており、彼が手掛けた映画のいくつかはアメリカ国立フィルム登録簿に登録され、映画史において重要な遺産となっている。ワイルダーはアカデミー賞を7回受賞し、その業績は映画史において今なお高く評価されている。
[脚本作品]
1929 23歳
悪魔の記者 Der Teufelsreporter
日曜日の人々 Menschen am Sonntag
1931 25歳
人間廃業 Der Mann, der seinen Mörder sucht
女王様御命令 ihre hoheit befiehit
浮気 Seitensprünge
にせの夫 Der falsche Ehemann
少年探偵団 Emil und die Detektive
1932 26歳
かつてワルツありき Es War einmal ein Walzer
ブロンドの夢 Ein blonder Traum
街の子スカンポロ Scampolo, ein Kind der Straße
空の青さ Das Blaue vom Himmel
1933 27歳
マダムは子供をお望みでない Madame wünscht keine Kinder
女たちの夢見ること Was Frauen träumen
アドーラブル Adorable
1934 28歳
刺激的な冒険 One Exciting Adventure
空飛ぶ音楽 Music in the Air
1935 29歳
麗はしの巴里 Lottery Lover
男の魂 Under Pressure
エミールと探偵たち Emil and the Detectives
1937 31歳
シャンパン・ワルツ Champagne Waltz
1938 32歳
青髭八人目の妻 Blubeard’s Eighth Wife
1939 33歳
ミッドナイト Midnight
ウォット・ア・ライフ What a Life
ニノチカ Ninotchka
1940 34歳
リズム・オン・ザ・リバー Rhythm on the River
囁きの木陰 Arise My Love
1941 35歳
Hold Back the Dawn
教授と美女 Ball of Fire
市民ケーン Citizen Kane (原作)
1942 36歳
運命の饗宴 Tales of Manhattan
1947 41歳
気まぐれ天使 The Bishop’s Wife
1948 42歳
1967 61歳
[監督・脚本作品]
1934 28歳
ろくでなし Mauvaise Graine
1942 36歳
少佐と少女 The Major and the Minor
1943 37歳
熱砂の秘密 Five Graves to Cairo
1944 38歳
深夜の告白 Double Indemnity
1945 39歳
死のひきうす Die Todesmühlen
失われた週末 The Lost Weekend
アカデミー賞監督賞/脚本賞
カンヌ映画祭グランプリ
1948 42歳
皇帝円舞曲 The Emperor Walts
異国の出来事 A Foreign Affair
1950 44歳
アカデミー賞脚本賞
1951 45歳
地獄の英雄 Ace in the Hole
1953 47歳
1954 48歳
1955 49歳
1957 51歳
翼よ!あれが巴里の灯だ The Spirit of St. Louis
情婦 Witness for the Prosecution
1959 53歳
1960 54歳
アカデミー賞作品賞/監督賞/オリジナル脚本賞
1961 55歳
ワン・ツー・スリー ラブ・ハント作戦 One, Two, Three
1963 57歳
1964 58歳
ねえ!キスしてよ Kiss Me, Stupid
1966 60歳
1970 64歳
シャーロック・ホームズの冒険 The Private Life of Sherlock Holmes
1972 66歳
お熱い夜をあなたに Avanti!
1974 68歳
1978 72歳
悲愁 Fedora
1981 75歳
新・おかしな二人 バディ・バディ Buddy Buddy
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