類猿人ターザン
Tarzan, the Ape Man
(アメリカ 1932)
[製作] バーナード・H・ハイマン/アーヴィング・サルバーグ
[監督] W・S・ヴァン・ダイク
[原作] エドガー・ライス・バロウズ
[脚本] シリル・ヒューム/アイヴァー・ノヴェロ
[撮影] クライド・デ・ヴィンナ/ハロルド・ロッソン
[音楽] ジョージ・リシェラヴィー
[ジャンル] アクション/アドベンチャー
ジョニー・ワイズミュラー
(ターザン)
モーリン・オサリヴァン
(ジェーン・パーカー)
ニール・ハミルトン (ハリー・ホルト)
C・オーブリー・スミス (ジェームズ・パーカー)
ドリス・ロイド (カットン夫人)
フォレスター・ハーヴェイ (ビーミッシュ)
アイヴォリー・ウィリアムズ (リアノ)
「類猿人ターザン」は、W.S.ヴァン・ダイク監督による冒険映画で、エドガー・ライス・バローズの小説「ターザン」シリーズを原作としている。この映画は、ジョニー・ワイズミュラーが初めてターザン役を演じたことで知られ、モーリン・オサリヴァンがジェーン・パーカー役で共演している。
物語は、イギリス人探検家ジェームズ・パーカーと彼の娘ジェーン・パーカー(モーリン・オサリヴァン)がアフリカのジャングルに向かうところから始まる。彼らの目的は、伝説の象牙の地「象牙の墓場」を発見することにあった。しかし、旅の途中で一行はジャングルに住む白い肌の野生児ターザン(ジョニー・ワイズミュラー)と出会う。
ターザンは幼少期に両親を失い、猿に育てられて育った。彼はジャングルでの生き残り術に優れ、人間の言葉をほとんど話さない。ジェーンはターザンに興味を持ち、次第に彼と親しくなる。ターザンもまた、ジェーンに惹かれていくが、彼女を取り巻く環境や文化の違いが二人の間に障害をもたらす。
ジョニー・ワイズミュラーの起用:
ジョニー・ワイズミュラーは、オリンピックの金メダリストとして知られており、ターザン役で映画デビューを果たした。彼の体格と運動能力がターザン役にぴったりだったと評価されている。
モーリン・オサリヴァンのキャスティング:
モーリン・オサリヴァンは、ジェーン・パーカー役としてキャスティングされ、ターザンシリーズで象徴的なキャラクターとなった。彼女の演技は、ジェーンの強さと優しさを見事に表現している。
象牙の墓場のセット:
映画の象牙の墓場のセットは非常に印象的で、当時の特撮技術を駆使して作られている。このセットは、映画のクライマックスシーンで重要な役割を果たす。
ターザンの叫び声:
ターザンの有名な叫び声は、この映画で初めて使用された。この独特の叫び声は、後のターザン作品でも象徴的な要素として引き継がれている。
ジャングルの動物たち:
映画には多くの動物が登場し、ターザンの自然との共生が強調されている。これには、ライオン、象、猿などのエキゾチックな動物が含まれる。
ラブストーリーの要素:
映画は冒険とアクションだけでなく、ターザンとジェーンのラブストーリーも重要なテーマとして描かれている。このロマンスは、多くの観客に感動を与えた。
撮影場所:
映画は主にカリフォルニアのジャングルセットで撮影され、実際のアフリカの風景に似せるために工夫された。
映画の影響:
「類人猿ターザン」は、その後の多くのターザン映画やメディアに影響を与えた。ジョニー・ワイズミュラーは、その後も多くのターザン映画に出演し、ターザン役として広く認知されることとなった。
サウンドトラック:
映画のサウンドトラックは、アフリカのジャングルの雰囲気を引き立てるために、エキゾチックな音楽が使用されている。この音楽は、映画の雰囲気を一層高める要素となっている。
文化的な描写:
映画は1930年代の文化的背景を反映しており、一部の描写には今日の視点から見ると不適切とされる要素が含まれている。特に、アフリカの先住民の描写については議論がある。
シリーズの成功:
「類猿人ターザン」は商業的にも成功し、その後の続編やスピンオフ作品が多く制作された。この映画がターザンシリーズの基礎を築いたと言える。
ターザン役の影響:
ジョニー・ワイズミュラーはターザン役で一躍有名になり、その後も映画業界で活躍した。彼のターザン像は、多くの人々に愛され、ターザンのイメージを確立した。
ターザンの言語能力:
映画の中で、ターザンは限られた言葉しか話さないが、そのコミュニケーション能力は非言語的な方法で強調されている。これは、ターザンのキャラクターの純粋さと直感を表現している。
撮影の困難さ:
ジャングルのシーンはセットで撮影され、動物とのシーンも多く含まれていたため、撮影は困難を伴った。それでも、キャストとクルーはこの挑戦を乗り越え、完成度の高い作品を作り上げた。
ターザンの象徴性:
ターザンは、野生の自由と人間の文明との間で葛藤する象徴的なキャラクターであり、このテーマは映画の中で繰り返し描かれている。
「類猿人ターザン」は、エドガー・ライス・バローズの名作を見事に映画化した作品であり、冒険とロマンス、アクションが巧妙に織り交ぜられている。ジョニー・ワイズミュラーのターザン役は、その強靭な体力と無邪気な魅力が際立ち、モーリン・オサリヴァンのジェーンとの関係が物語の中心となっている。
映画は、その時代の技術を最大限に活用し、ジャングルのセットや特殊効果を駆使してリアルな冒険の世界を創り上げている。また、音楽と音響効果も映画の雰囲気を高め、視覚的にも聴覚的にも楽しめる作品となっている。
「類猿人ターザン」は、ターザンキャラクターの魅力を存分に引き出したクラシックな冒険映画であり、その後のターザン作品やアドベンチャー映画に多大な影響を与えた。ジョニー・ワイズミュラーのターザン像は永遠に記憶され、映画史に残る名作として評価され続けている。
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